1月25日 主婦休みの日 【SS】消えた主婦
【今日は何の日】- 主婦休みの日
年中無休で家事、育児に頑張っている主婦がほっと一息つきリフレッシュしてもらうための日としてサンケイリビング新聞社が中心となり制定した。1月、5月、9月のそれぞれ25日に制定され年3回設けられている。他の家族に家事を提案する日、家族が元気になって日本も元気になる日でもある。
主婦の仕事は大変であるということを分かってもらうための日でもあるのだろう。追記するが、主夫も含んでいる。
【SS】消えた主婦
一月二十五日午前零時、全国の主婦が一斉に姿を消した。ものの見事に消え去ってしまったのだ。だが夜中だということもあり、気づかない家庭が多かった。夜が明け朝食の時間になるとあちこちの家庭が騒がしくなった。
「お母さんがいないから寝坊した」
「朝ごはんが食べられない」
「今日のお弁当はどうするの」
「今日来ていく服はどこにあるんだ」
「幼稚園の送り迎えはどうすればいい」
みんな勝手だった。自分の不便さをみんなお母さんのせいにしていた。いなくなった主婦たちは、異次元の美しい世界に集まっていた。透き通るような青空なのに日差しの心配もいらないし、たくさんのお花も咲いているけれど花粉の心配もないところだ。近所のお母さんもみんないた。男性の主夫もそれなりに集まっていた。
今日は世界中の主婦、主夫がお休みをする日と決められて初めての大集会だった。事前に各家庭や学校、幼稚園には知らされていたはずだったが、本人たち以外はすっかり忘れていたようだ。空に浮かんだモニターには各家庭の様子が映し出されて右往左往している姿をちょっとかわいそうかなという感じでみんな見ていた。そこに集会の主催者が登場した。
「皆さん、ようこそお集まりいただきました。今日は皆さんの普段の仕事は完全にお休みです。モニターを見ると不安になられるかもしれませんが、皆さんの大切さを再確認してもらいましょう。今日はすべてを忘れてここでゆっくりしてくださいね。ここでは、みなさんがやりたいことを念じるだけで実現できます。限られた時間ではありますがのんびりとお過ごしください」
主婦がいなくなった家庭にはテレビを通して、今日は「主婦おやすみの日」ということが再度通知され、家族で協力して一日を過ごすようにとメッセージが流れたのだが、一番心配したのは集まったお母さんたちだった。
お母さんの一人が立ち上がり、話し始めた。
「とってもありがたい制度なんですが、子どもたちのことが心配でたまりません。夫だけならなんとかするとは思うのですが、子どもたちには、特に小さい子どもたちには母親がいないということは耐えられないと思います。申し訳ありませんが、家に戻してもらえませんか。これでは余計に気が気ではなくて休まりません」
そうするとそれに賛同するのように「私も、私も」というお母さんが立ち上がった。主催者側は拍手をしていた。
「さすがはお母さんです。我々が間違っていたようですね。すぐに戻ってもらうように手配します。同じ主婦であったとしても、それぞれ違う事情を抱えているということを忘れていました。皆さんに強制的に休暇をとってもらおうと思ったのが浅はかでしたね。申し訳ありません」
「いいえ。お気持ちはとてもありがたいのです。でも、でも、その気持ちが家族からだったらもっと嬉しいかなと思いました」
集まった主婦たちから拍手喝采が沸き起こった。
こうして押し付けではなく、主婦たちの意向を重視した制度の運用へと変わっていった。考えてみれば、本当の大黒柱は主婦なのかもしれないと誰しもが気づいた瞬間だった。
了
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