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7月13日 オカルトの日 【SS】恐怖のタブレット

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- オカルトの日

1974年(昭和49年)のこの日、オカルトブームの火付け役となった映画『エクソシスト』(The Exorcist)が日本で初公開された。
『エクソシスト』は1973年製作のアメリカ映画で、ホラー作品でありながらアカデミー賞の脚色賞と音響賞を受賞した。少女に憑依した悪魔と神父の戦いを描いたオカルト映画の代表作であり、その後さまざまな派生作品が制作された。


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【SS】恐怖のタブレット

 最近は、スマホ同様タブレットの普及率も高いようだ。我が家にももれなく二台のタブレットがある。一台は寝室、一台はリビングに置いてある。動画を見たり、ニュースを見たりするのには丁度いい大きさなので重宝している。最も、動画の場合は、テレビでもダイレクトに再生できるのでその方が迫力はあるのだが、どうしても子供達にテレビを占有されていることが多いので、そんな時タブレットを使う。

 最近夜になるとタブレットが変な挙動をするようになってきて、気になっている。面倒なので確認には行っていないのだが、リビングに置いてあるタブレットが誰もいない時に勝手に電源オンになって、何かの動画が再生されている感じがするのだ。寝室にいると何やら「ザーッ」という音がかすかに聞こえる。眠気のほうが強いのでリビングまで足を運んでいないのだが、毎日ではなく、時折、そう、忘れた頃の夜中に現象が起きているような気がしていた。

 流石に何回でも聞いてしまったので、とうとう夜中に眠い目をこすりながらそっとリビングのドアを開けたことがあった。午前二時を回った頃だった。そこで目に飛び込んできたものは、テレビの放送が終わった後の画面のようになっているタブレットだった。慌ててタブレットの電源を切ると何事もなかったかのように黒い画面になった。その日はそれで終わったのだが、どうにも気味が悪い。タブレットで表示される画面では考えられないのだから。

 しばらく怪現象は起きなかった。安心していたのだが、また寝ていると「ザーッ」という音が聞こえてきた。次の日は土曜日で休みで起きててもいいと思い、リビングに確認に行った。前回同様、午前二時を回った頃だ。足音を殺してリビングに行く。しばらく、そおっと横からタブレットを覗いていた。前回と同じようにザーッという音と共に今回もテレビの放送が終わった後の画面のようになっている。さらに、そのまましばらく見ているとなんとなくタブレットの画面が膨らんでいるように見えた。横から見ているせいか、盛り上がって見えるのだ。錯覚かと思い、目をこする。しかし確かに盛り上がっている。まるで何かが出てこようとしているように思えた。だんだんと恐怖を感じ、前回と同じように電源を切ろうとしたが切れない。強制的に電源オフにしようとしてもできないのだ。思い余ってルーターの電源を落としてみた。我が家のタブレットは無線接続のみの設定だったから、もしネットワークが原因なら切れるだろうと思ったのだ。考えは的中した。タブレットの画面は正常に戻り電源オフの表示も現れるようになった。その夜はここで終了した。

 翌日、恐怖はまだ残っているので神父でネットワークに詳しい神山という知人を訪ねて相談してみた。

「神山さん、突然連絡して申し訳ありません。実は、最近我が家のタブレットが夜中に勝手に電源が入ったり、画面が膨らんでしまう現象が出ているんですけど、何か心当たりはありませんか」

「えっ、タブレットが。まさかザーッという音がするんじゃないですか。それも午前二時過ぎくらいに」

「まさしくそう。そうです。いったい何なのでしょう」

「最近、あちこちで聞くようになったことがあります。電脳世界に住む悪魔が人間界への出口を探しているらしいんです。ほとんど知られてはいない事実ですが」

「えっ、電脳世界の悪魔?」

「ええ、ソフトウェアのバグが生み出した電脳悪魔と言われています。これを退治するには、強力な神父エージェントと言われるワクチンソフトを流し込むしかないのですが、電脳悪魔は日に日に成長しているらしく、ワクチンソフトで駆除できず逃げ回っているらしいとも聞いています」

「そんな。いったいどうすればいいんですか」

「一度あなたの家に行って、試してみますから私を泊まらせてくれますか」

 こうして神山は我が家に泊まりにくることになった。タイミングよく子供達は夏休みに入ったので、妻と共に実家に帰らせていた。神山が我が家に来て二日目の夜、現象は起こった。神山は、問題が発生するタブレット以外のネットワーク機器を電源オフにして無線LANにはタブレットだけが接続している状態にしていた。午前二時過ぎ、音が出始め画面が膨らみ始めた。確かに何かが出ようとしているようにも感じる。神山はすかさず外付けのハードディスクをタブレットに接続した。そしてルーターに直接持ってきたパソコンをケーブル接続して、何やらソフトウェアを走らせている。神山によると電脳悪魔捕獲プログラムらしい。ルーターに接続しているネットワーク機器を巡回し電脳悪魔を見つけ出すと、そこに接続されている外部接続機器、今回は外付けのハードディスクに電脳悪魔を追い出してしまうということができるらしい。ただし、電脳悪魔がタブレットを出口としてもがいている時にしか効果がないらしい。

 神山がパソコンを操作し始めてから二十分くらいが経過した。タブレットの画面が最大輝度で明るくなり真っ白になっている。そして接続されているハードディスクがまるで心臓のようにドクドクと脈を打っているように見える。流石に怖い。それから更に二十分くらいが経過した時。ハードディスクとタブレットを接続しているケーブルが蛇のようにくねり始めた。生きているようで気持ち悪い。それをみた神山はすかさずタブレットと外付けハードディスクを繋いでいるケーブルを抜いた。どこからか「グワッ」という声のようなものが聞こえたが、実際のところはわからない。神山はハードディスクを鉛のケースに格納するとほっとした様子で、話し始めた。

「電脳悪魔はハードディスクにアーカイブしたから多分もう大丈夫だと思います。できることなら回線を変更してIPアドレスを変えたほうがいいとは思いますが、しばらく様子を見て何かあればまた連絡をください。今回捕獲した電脳悪魔は処分しておきますから」

 神山が帰って、やっと、一安心できたと思い数日が過ぎた。翌日は妻と子供達が帰ってくる予定の日だ。夜中午前二時過ぎ、今度は寝室のタブレットからザーッという音が聞こえてきた。 


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