のびゆく美しさ
生物は全て成長する。燦々と降り注ぐ太陽の熱い日差しを浴びて、たっぷりの水を吸い上げ、稲も大きく成長する。この暑い季節を乗り越えて黄金色に変わっていくのだ。今の時期の稲は弾けるような緑が綺麗で近くに行くと水分を含んだ葉から漂う夏独特の匂いを感じる。暑く焼けた道路に打ち水をした時、水はたちどころに蒸発していくが、一瞬高くなる湿度でもわっと感じることがある。その中にいて葉っぱの香りを嗅いでいるような感じが夏の稲の香りのように私には感じる。
春の田植え時はひたひたに水が張られ、生まれたばかりのオタマジャクシが水路から入りこみ泳いでいたが、その時のオタマジャクシも立派に成人したカエルとなり夏になれば一斉に鳴き始めている。同時に、周りの木々には短い一生を懸命に羽を震わせて鳴くセミの合唱が夏の暑さを一層掻き立てる。それでも夕暮れ時になるとどこからか現れた赤とんぼの群れが飛び交い、仲良くつがいになるもの、稲の穂先で一休みするものがいて、ちょっとした和みを与えてくれる。そして夜になれば、稲の海は光を失い風で揺らされる葉の擦れる音に包まれる。月明かりでほんのりと確認できる稲の海はひっそりとサワサワと音を立てて揺れながら過ぎゆく時間を忘れさせてくれるようだ。
今日も一日が終わる。私たちが気づかないだけで、この一日でも稲は実りの秋に向けて確実に成長している。私は今日一日成長できただろうか。
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