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3月20日 国際幸福デー 【SS】幸せの感じ方

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 国際幸福デー

2012年(平成24年)7月の国連総会で制定。国際デーの一つ。英語表記は「International Day of Happiness」。「ハピネスデー」や「幸福の日」としても知られる。
2012年6月に国連顧問のジェイム・イリエン(Jayme Illien)が提唱し、国連総会で193ヵ国の加盟国が満場一致で、国連決議として採択された。この日を中心として「幸福の追求」をテーマに様々な取り組みが行われる。また、世界がより幸福であるようにと願うとともに「幸福とは何か」について考える日でもある。


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【SS】幸せの感じ方

 人はこの世に生を受けた後、その環境の違いによって言葉や習慣、友達や学校そして仕事など成長していくにつれ様々な分岐点を経験し、誰一人として同じ道を辿ることなく、それぞれの人生という道を歩いていくことになる。人生にゴールはない。それでも一つの人生を終わるときに、幸せだった思い出を走馬灯のように際限なく思い出せる人生でありたいと思う。

 小さい頃は、たくさんおもちゃを持っている友達は幸せなんだろうなと思っていた。僕は父親の手作りの船を手に持っていつもそう思っていた。

「こんな汚い船なんて嫌だ。おもちゃ屋さんで売っているおもちゃがたくさん欲しい」

 あの頃は真剣にそう思っていた。そして弱い体の自分も嫌いだった。貧乏な家庭も嫌いだった。そう、僕の周りは嫌なことだらけで幸せなんて一つもないと思っていた。

 小学校に行くようになると、先生から褒められることが多くなった。ちょっとだけ幸せを感じるようになった。学級委員に選ばれた時は幸せに加えて誇らしさも感じていた。ちょっとだけみんなより偉くなった気分を感じていたのだ。でも病弱だった僕はかけっこで一番になることはなかった。だから足の速い友達が羨ましかった。

 中学生になると、体も少し丈夫になっていた。この頃になると真面目にしているだけで揶揄われそうでわざとふざけた毎日を送るようになった。でもクラス委員はやらされていた。そんな時、友達がみんなのテストの答案用紙を破るという事件が起きた。その子は僕だけにそのことを教えてくれていたが、僕は先生に言うことができずに俯いたまま先生の犯人探しから目を背けた。本当はその子は僕から先生に言って欲しかったと後から言っていた。言われた後、辛い気持ちが襲ってきた。友達はたくさんいたし成績も悪くなかった中学生時代。毎日を楽しく過ごしていたけど幸せだったのだろうか。あの頃の僕は幸せだとは思ってなかった。

 それから数十年の年月を経て、小さい時のことを思い出すと、全く逆の感情が襲ってくる。すでに両親とも他界してしまい、そのことに関しては後悔もたくさんあるのだが、小さいときに父親が手作りしてくれた船で遊べる幸せを味わえていたということも年を取ると分かるようになったし、中学生のときにたくさんの友達と毎日を過ごせることが、どんなに幸せなことだったかという事も分かるようになった。

 人は置かれている環境や年代に於いて幸せの感じ方は違うし、同じことに関しても年を経る毎に感じ方は変わるものなのだろう。だから今幸せではないと思っていることでも数年経ったら幸せだったと思えるようになるのかも知れない。そう思うと、幸せというのは何かと比較して感じ、言葉にしているだけなのかも知れないと思うことがある。幸せというのは実体が無いだけに、人それぞれの心の中にある思いなのだと。

 今の自分を振り返ってみると、特に医者にかかるわけでもなく、夫婦共に毎日食事もできて、テレビを見て笑ったり、ちっぽけなことで喧嘩をしたりしていることそのものが幸せなことなんだと思っている。当然贅沢な生活とは縁が無いし、時折帰ってくる子供達や孫に会うことを楽しみにしながら日々の生活を送っているだけなのだが、それが幸せというものでは無いのだろうか。

 幸せとは「生まれてきて良かった」と思えることであるといわれている。つまり心が満ち足りていることが幸せということらしい。しかし、心が満ち足りているかどうかということ自体、人それぞれのような気がしてならない。お金で幸せは買えないというが、今の世の中で全くお金がない状態で放り出されると生きていくことすらままならないのではないだろうか。最低でも生きていくためにもある程度のお金が必要になってくるのである。その大前提を満たした上で、自分や家族の生活が安心できる基盤があって初めて幸せを感じるのではないだろうか。そんな風に考えるとお金と幸せは無縁でもないなと思うのである。

 今私は「幸せ」だと感じる毎日を送ることができていることに感謝したい。



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