【SS】動かない鬼 #爪毛の挑戦状
昔々、山に住む二匹の鬼は毎夜里の村に出て来て悪さをしていた。村人の食べ物を食い散らかしたり、若い娘を拐かして山に連れ帰ったりしていたのだ。
ある日、勇敢な村人たちが立ち上がった。
「このままでは村から若い娘がいなくなってしまう。なんとかしなければ」
寺の住職も知恵を絞った。寺を守る役割を鬼に与えることはできないのだろうか。強い鬼が寺を守ってくれるようになれば、村人も助かるし、寺も助かる。しかし、凶暴な鬼二匹をてなづけるのは至難とも思われた。
寺の住職の脳裏に一閃の考えが浮かんだ。
「鬼が動けなくなれば悪さはできないし、風貌を残せば門の見張り役にはもってこいである」
ある日計画は実行に移された。
住職が書いたお札で、鬼の動きを暫く停止させる。
そして、止まっている間に、漆喰を全身に塗って固めてしまうというのだ。
こうして鬼を封じる作戦は見事に成功し、寺の入り口の両脇に固められた鬼が据えられた。
動かない鬼が仁王像になったのである。
410文字
下記の企画に参加してみました
☆ ☆ ☆
いつも読んでいただきありがとうございます。
「てりは」のnoteへ初めての方は、以下もどうぞ。
#爪毛の挑戦状 #ショートショート #小説 #掌編 #動かない鬼
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければチップによるご支援をお願いします。皆さんに提供できるものは「経験」と「創造」のみですが、小説やエッセイにしてあなたにお届けしたいと思っています。いただいたチップは創作活動費用として使わせていただきます。