4月17日 恐竜の日 【SS】もう一つの人類の進化
日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。
【今日は何の日】- 恐竜の日
1923年(大正12年)のこの日、アメリカの動物学者ロイ・チャップマン・アンドリュース(Roy Chapman Andrews、1884~1960年)がゴビ砂漠へ向けて北京を出発した。
その後5年間に及ぶ探検中に、恐竜の卵の化石(25個)を世界で初めて発見した。また、彼はかつてゴビ砂漠が植物で生い茂った平野であり、大きな湖があったことを証明した。これらの発見により、その後の本格的な恐竜研究の始まりとなった。
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【SS】もう一つの人類の進化
恐竜が栄えた時代は一億六千万年程度続いたと言われている。その時に生きているとしたら、永遠に近い感覚の時間だ。それに比べて人類の歴史は五百万年程度とまだ浅い。恐竜は隕石の衝突による地球上の大異変によって滅んだという説が有力らしいのだが、恐竜が世界中を席巻していた時に人類は本当にいなかったのだろうか。実はもう一つの人類の歴史があったかのかもしれない。
約一億年ほど前、地球上の湿度が高く温暖だった頃、宇宙船が一隻地球上に飛来してきた。宇宙人たちは当時の地球を実験する場所として選択し未来からやってきた。彼らは恐竜の存在も隕石による大きな環境変化が起こることも把握していた。なぜなら、宇宙人は未来からやってきていたのだ。環境変化が起こる時期を踏まえ、彼らは「進化の実験」を行い、その痕跡も消せる時代を選択したのだった。
宇宙船には類人猿のような動物が百頭ほど載せられていた。宇宙船は、現在のニュージーランドから五百キロ程度北に位置する場所に類人猿に似た動物を放した。この場所は現在は海底に沈んでいる。地殻変動により海底に沈んでしまう大陸を実験場所として選んでいたのだ。これは、その後実際に進化した生物が知能を持ち文明を築いたとしても過去の痕跡を見つけにくくしておくための選択だった。宇宙人たちは、自分たちの実験のあと、一旦冷え込んでしまった地球から新たな命が芽生えることを解っていた。なぜなら、実験の結果を踏まえて「人類のルーツ」を再度地球に持ってきたのは宇宙人だったからだ。
宇宙人たちの計画は、明確だった。百頭の類人猿のような動物を解き放してまず百万年の時間でどう進化するかを見極める。道具を使えるようになり、火も扱えるようになることを検証したかったのだ。しかし、結果は違った。外部からの刺激を何も与えないと、百万年程度では進化はほぼなかったのである。それどころか、恐竜の餌食になることも多く、恐竜に立ち向かうことさえできなかったのだ。そこで、宇宙人たちは次の実験を開始した。すでに地球に放した類人猿の生き残りに対し、火の使い方を刷り込んだ。何遍も何遍も繰り返して火の起こし方を教え、肉を火で炙って食べることを教えた。その次に大きな貝殻や葉っぱを皿の代わりに使うことも教え込んだ。そのあとは自力で道具を作ることができる進化を遂げられるかどうかをまた百万年観察し続けた。
その結果、斧の原型みたいな道具をつくり恐竜に立ち向かうことを学習していた。宇宙人は「進化の過程には外的要因が必要」と結論づけていた。その後、彼らは話し合った。
「この地球という星は、あと数千年後には隕石が落ちてきて一旦恐竜の時代に幕を下ろすことになる」
「ああ、そうだな。最も我々が隕石をコントロールして地球に落とすんだけどな」
「結局、恐竜は体は大きいが脳みそはほとんどない動物なので進化を望めない。それで、今回二足歩行の可能性を持った動物を連れてきて観察を続けたわけだ」
「ああ、そうだな。しかし、動物だけでは進化の速度は著しく遅いということもわかったな」
「そこで、この地球に文明をつくり未来の我々の都市を作るには、時々刺激を与えに来るしかないと思うんだが、どう思う」
「ああ、そうだな。それはいいが、我々にだって寿命はあるし、タイムトラベルはかなり体力を使うから、手分けしないと厳しいな」
「そのことは考えてある。チーム編成をもう一度実施して、百万年単位でやるべきこと、つまり我々から地球の未来の人間のための刺激を手分けして実施しようと思っている」
「ああ、そうだな。それはいい考えだ。とりあえず恐竜が絶滅した後からかな」
「その通り、今実験している動物は残念だが、一旦水の中に沈んでしまい、生き残る生命体はないからな。我々も自分たちの星に帰って、もう一度タイムトラベルで氷河期の後に時代を設定して動物を解き放そう。今度はもっと大量に」
こうして宇宙人たちは自分たちの星へと戻っていった。何も知らない恐竜と類人猿たちは争いを続け、お互いがお互いを捕食する生活を送り続けていた。そして隕石は落ちてきた。十キロはあろうかという隕石が現在のメキシコに近いところに急角度で衝突した。地震や津波を併発しマグマを冷やし、地球の表面は全てが雪と氷に覆われることになった。しかも、地殻変動も起き大陸が見る見る間に海底へと沈んでいった。そこには、宇宙から来た類人猿の集団がいたが、どうすることもできず海の中へと沈んでいき、骨までも長い年月で消滅していった。類人猿が生存していたという痕跡はきれいに消え去ったのである。
地球の浄化が一段落し、表面の温度も湿度も落ち着いてきた頃、複数の宇宙船が地球にやってきて、大陸の主要な場所に類人猿を放していった。当面は環境に馴染ませるため放置された。そして、二足歩行になった時を見計らい火を教えた。その後は道具や服などを順番に教えていった。すると体毛は薄くなり、洞穴での集団生活をするようになっていったのだ。
これを人類は「進化」と呼んでいる。実は人類の進化とは宇宙人に作られた進化だったのだ。なぜ人類だけが進化したのか、その謎はこれで解けることになる。進化の度合いを確認するために時折宇宙船は飛来しているが、その宇宙船は遥か未来からやってきているのである。なぜならば、宇宙人からすれば、過去は制御できるからである。我々は、宇宙人の手のひらの中で生かされているのかもしれない。もし彼らが失敗したと思えば、もう一度浄化してからやり直すかもしれない。
了
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