【SS】名刀 #毎週ショートショートnote
ある腕のいい刀鍛冶がいた。一年で一振しか鍛えることをしない。それは毎年決まって冬の寒い時期にのみ強い鋼を鍛えるからだった。
それでも刀鍛冶は、もっと強くしなやかな鋼にして刀を作りたいと考えていた。ある日、自らが作った刀で素振りをしていた。空気を切る感触を味わうためだ。足の運びも重要で歳ごとに弱くなる足腰に鞭打って体感していた。
その夜、刀鍛冶は無理な素振りがたたり、寝ている時に足のこむらがえりを経験した。その耐えられない逆方向への突っ張りに悶絶した。刀鍛冶はそり返ろうとする自分の足を両手で押さえ、元の位置に戻るように静かに力を加え、こむらがえりが治るまで耐えた。
翌朝、刀鍛冶は閃いた。刀を鍛える時、逆に反らした後、本来の方向に鍛え直せばより強い鋼として鍛えられるのではないかと。そして実践した。刀鍛冶の閃きは正しかったようでこれまでにない名刀が誕生した。
刀鍛冶が、独自の技術、鋼こむらがえり鍛錬術を確立した瞬間だった。
410文字
以下の募集への参加です。 (毎回ムズイお題に悩まされてます)
裏お題での応募です。
出題日 5月28日
お題 メガネ朝帰り
裏お題 鋼こむらがえり
🌿【照葉の小説】ショートショート集 ← SSマガジンへのリンク
☆ ☆ ☆
いつも読んでいただきありがとうございます。
「てりは」のnoteへ初めての方は、こちらのホテルへもお越し下さい。
🌿サイトマップ-異次元ホテル照葉
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければチップによるご支援をお願いします。皆さんに提供できるものは「経験」と「創造」のみですが、小説やエッセイにしてあなたにお届けしたいと思っています。いただいたチップは創作活動費用として使わせていただきます。