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3月25日 電気記念日 【SS】明るい地底

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 電気記念日

1927年(昭和2年)に開催された日本電気協会の総会で制定された記念日

1878年(明治11年)のこの日、工部省電信局は万国電信連合に加盟する準備として、東京・銀座木挽町に中央電信局を開設した。そして、同日にその開局祝賀会が東京・虎ノ門の工部大学校(現:東京大学工学部)の講堂で開催された。
この日、会場に電気灯を使用するよう、工部卿・伊藤博文から特に命ぜられていたイギリス人の工部大学校ウィリアム・エアトン教授は、グローブ電池50個を用いて、講堂の天井に設置されたアーク灯を点灯するため、自ら難しい調整に当たっていた。そして、エアトン教授の合図とともに50個のアーク灯が点灯された。目もくらむような青白い光がほとばしり、講堂をくまなく照らし出した。その場にいた来賓たちは「不夜城に遊ぶ思い」と驚嘆の声を上げたという。これが日本で初めて点灯された電灯であった。

記念日は、日本で初めて電灯が灯されたことと日本における電気事業の発祥を記念したものであり、先駆者の偉業を称えるとともに、今後の新たな発展を誓う日とされている。


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【SS】明るい地底

 誰も知らない地底社会。実はここでは地上人が電気を発明する遥か昔から電気の存在に気づき、太陽の届かない地底での生活に役立てていた。そもそもは、宇宙からの冒険者ケリーという銀河系の外から飛来した宇宙人がエジプトでピラミッド同士を繋ぐ秘密の連絡通路を作ることから始まった。

 今から約四千五百年前。すでに幾つか建てられたピラミッドがあった。その建設をサポートしていた宇宙人ケリーは、ピラミッド同士を秘密裏に行き来できる様にするため、地下の深いところに通路を作る計画をたてた。地下は当然ながら暗いので明かりが必要となる。当時の地球上では灯りといえば火だった。しかし火は火事になったり酸素を消費することになり密閉空間での使用には向かない。そこでケリーは自分の星の技術である、分子の衝突を光に変える技術を使って照明を作った。それを見た人々は、ケリーを神と崇め崇拝する様になった。この照明は閉じられた透明なガラスのような容器中で分子同士が自然衝突を繰り返す様になっており、外部からのエネルギー供給がいらないという画期的な技術だった。侵入者が入った際のために、強制的に分子の活動を停止する機能も付けられていた。

 連絡通路が完成した後、ケリーには心配事があった。ピラミッドが完成した時の王が埋葬される際、おびただしい数の奴隷達が共に生きたまま埋葬されてしまうことが気がかりだったのだ。命の大切さを知っているケリーはこのことを何とかしたいと思っていた。しかし、習慣を止めることは時の王にとっての威厳をなくしてしまうことになりかねない。ケリーは懸命に考え続け、自分なりの結論を出した。

「そうだ。地下に秘密の連絡通路を作ったのだから、さらにその下に穴を掘って一大帝国を築いてしまえば、奴隷達の尊い命は救うことができるな。そこで奴隷達にも学習させ、地底国を作ることもできそうだ。地上とは一切連絡をしない独立国家を実現できるかもしれない。私の寿命は約千年だから、何とか形にすることはできるかもしれない。よし、具体策を検討しよう」

 こうして宇宙人ケリーによる、奴隷救出と地底国家建設という大きな事業が密かに開始された。時の王に気づかれては全てが台無しになる。慎重に慎重を極め掘削工事が進められた。掘削はケリーの星から持ってきていたディガーという機械をつかった。人が五人ほど同時に通れる穴を音もたてずに簡単に掘り進んでくれる機械だった。しかもそこで出た土は圧縮して壁の補強に使えたので土を外に運び出す必要もなかった。

 ほぼ十年ほど経ち、一つの街が地底にできた。灯りも付いている。しかも、広場の真ん中には太陽の代わりの大きな電球が付けられ、だんだん暗くなる様なシステムも導入し、昼から夜を演出できる様にもなった。もちろん逆の機能も付いているので朝日も演出されていた。畑や家畜なども次第に整備され、上下水道も整備され清潔な地底国家ができていた。排水やゴミは分子レベルに分解されたあと圧縮され使われていない水脈の地下水に流す工夫がされていた。もちろん、分解する際に汚染物質や微生物は全て消去される様になっていた。地上よりもはるかに清潔な環境が出来上がっていたのだ。

 奴隷達はピラミッドの中から抜け出し、地底国家で生活を再開していた。地底国家では年間を通して温度も安定しているので、着るものが少なくて済むことも生活のしやすさをを助けていた。ピラミッドの時代において、すでに文明社会に近い環境が地底の奥底深くにできていたのだった。地上人が知ることもなく。

 ケリーはこの後、地底の住人達が自分たちの力で生活を維持して行くための知識を学習させ、全員が学習する規則を作った。やがて住人達は工夫することを学び新しい便利なものを作り出す様にもなり、進化していった。その時ケリーが地球にやってきて五百年の月日が過ぎていた。ケリーは自分の役目は終わったと感じ、そろそろ自分の星に帰ることを決心し、みんなに別れを告げた。その後、この地底国家では地底の太陽のことをケリーと呼ぶことにして、いつまでも不思議な灯りを運んできて地底国家を創造してくれたケリーの存在を忘れない様にしたということだ。

 地上ではこの後四千年以上経ってから電気が発見され電球の発明へとつながっていった。その間、地底国家は拡大を続け、太平洋の海底の遥か深いところにまで及んでいた。地底国家と地上はすでに連携を絶っていたため、お互いの存在や文明を知る由も無かった。果たして今後、交流する日は訪れるのだろうか。


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