【SS 12月28日】シネマトグラフの日
【今日は何の日ショートショート】- シネマトグラフの日
1895年(明治28年)のこの日、フランス・パリのリュミエール兄弟が発明した世界初の映画装置で、初の有料公開が行われた記念日である。フランス語でシネマトグラフと呼ばれる装置だった。これは、一台で撮影も映写も現像も行えるものでありのちの映画の基本を作った装置である。
1895年12月28日にパリ中心部にあるグラン・カフェの地階「サロン・アンディアン」で最初の商業上映が行われた。一般的にはこの日が「映画の誕生」と見なされている記念日だ。
【SS】映画を見た夜の夢
映画が好きになったのは、高校生になってからのことだった。それまでは映画を見て興奮することはあったが、怪談や漫画のようなものであり文学作品ではなかった。まぁ、当たり前と言えば当たり前である。
そんな時同い年の山口百恵主演の伊豆の踊り子の上映がアナウンスされた。当時、伊豆の踊り子というのは小説を元にした映画だということをしり、本屋に走り文庫本になっている川端康成の伊豆の踊り子を買って何度も読み返した。比較的読みやすいページ数だったことも幸いした。そして、映画館で上映された内容を見た当日は必ずと言っていいほど夢の中で自分自身が映画の中に入っていた。そして、ラストシーンでは、実際の映画とは違うセリフを言って、目覚めるのである。
例えば、映画によって以下のようなことを考えてセリフを言うのである。
伊豆の踊り子では、書生の最後の一言として言ってみたい
僕と一緒に下田から船に乗って東京に行ってくれないか。離れたくないんだ。
ローマの休日では、新聞記者の本音を王女に伝えたい
愛することに地位は関係ない、僕は王女を愛してしまった。もう離れたくない。
太陽がいっぱいでは、アランドロンの最後の言葉として、開き直ってみたい
僕は悪いとは思っていない。他に方法はなかったのさ。後は好きにしてくれ。
アルマゲドンでは、犠牲になることを決断した時に言いたい
地球のために犠牲になるんじゃない。家族とその未来のために犠牲になるんだ。
などと勝手に結末や決めのセリフを入れ替え、夢の中で没入しているようだった。そんな体験までさせてくれる映画は素晴らしいものだと思う。
いつしか、私は夢から覚めることがなくなってしまった。名作と言われる映画を渡り歩き、勝手にセリフを入れ替えているうちに結末すら変えるようになってしまっていた。そう、あまりにも居心地が良すぎて目を覚ますことを忘れてしまったのだ。
だれか心配してくれているのだろうか。まぁ、そんなことはどうでもいい。居心地のいい世界から出たくはないし、リアルの世界ほどつまらない世界はないだろうから。
了
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