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8月23日 奴隷貿易とその廃止を記念する国際デー 【SS】差別

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 奴隷貿易とその廃止を記念する国際デー

1998年(平成10年)に国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)が制定。国際デーの一つ。英語表記は「International Day for the Remembrance of the Slave Trade and its Abolition」。

1791年8月22日の夜から23日にかけて、フランス植民地のサン=ドマング(現:ハイチ)で、大西洋奴隷貿易の廃止の重要なきっかけとなった「ハイチ革命」が始まった。

この日は奴隷貿易の廃止において重要な日であり、これを記念した日である。また、この国際デーは、奴隷貿易の悲劇を全ての人々の記憶に刻むことを目的としている。


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【SS】差別

 銀河系から遥かに遠い場所に、Xという名の地球の半分程度の質量の惑星がある。地球によく似た環境だが、地球よりも遥かに鳥が多いという特徴を持っている惑星だ。それともう一つ、地球と比較すると重力が半分だということも大きな違いの一つだ。重力が小さいということも鳥の繁殖に影響しているのかもしれない。

 惑星Xでは、進んだテクノロジーの下で、政策的に人口増加が抑制されている。それを下支えするために、労働人口を近くの惑星から調達することが制度として制定されている。しかしその内容は、定期的に労働人口を入れ替える強制労働制度に他ならなかった。分かり易くいえば、労働期間が定義されている有期奴隷制度だ。労働人口の調達対象となる惑星は、惑星Xから一万キロ程度離れた場所に存在している。惑星Xよりも遥かに小さい惑星で重力は惑星Xの三十パーセント程度だ。惑星Xの住民は、この重力の差を利用して、定期奴隷制度を確立していたのだ。

 今から三百年前、宇宙空間を自由に行き来できる宇宙船を惑星Xの科学者は開発した。当然ながら、肉眼でも見えている隣の惑星に興味を持ち、可能なら自分たちの支配下に置きたいと考えたのだった。綿密に計画を練り、隣の惑星をメタと名付け、宇宙船で偵察に行った。そこで見たものは、惑星Xとは比べ物にならないほど遅れた文明であり、国家としての統一感も感じられなかった。すぐさま、惑星Xに連絡をして、支配するための船団を送り込んだ。惑星メタを支配するのには一日もかからなかった。惑星メタの住民はなすすべもなく、惑星Xに忠誠を尽くすことを誓ったのである。奴隷惑星メタが誕生した瞬間だった。

 惑星Xの科学者たちは、重力の違いをうまく利用しようと考えていた。惑星Xにメタの奴隷を連れてきた後、暴れられてはたまらないと考えたのだ。幸い、メタの重力は惑星Xより遥かに小さいので、メタの住民を惑星Xに連れてきた場合はとても体が重たく感じるはずである。そして重力に慣れてしまうであろう半年後には、メタに送り返すことで再度小さいじゅうりょくに体を順応させようと考えたのだ。こうすることで、惑星Xの中での動きを封じ込め、指示通りに働く奴隷として安心して連れてくることができると考えたのだった。こうして、有期奴隷制度が確立した。

 時間の経過は、進化をもたらすものである。奴隷として半年単位に惑星Xに連行されていたメタの住民の中に、少しずつではあるが惑星Xのテクノロジーを学ぶものが現れていた。そして、互いに連絡し合ってお互いのスキルを補填し始めたのだ。自分たちの惑星に戻されているわずか半年の間を有効に利用し、惑星Xの監視の目をかい潜り、密かに宇宙船の開発やコンピュータの開発を進めた。開発者も何代も代替わりしながら連携しながら、ゆっくりではあるが確実に惑星Xのテクノロジーに追いつき始めていた。

 一方、惑星Xの中でも、奴隷制度に反対する住民も増加しつつあった。差別をせずに協業関係を築くべきだと唱える集団がで始めたのだ。最初の頃は鎮圧されていたが、その数も増加し、惑星Xの政府も軽視できなくなってきていた。しかも、協業すべきであると主張している住民の下で働いている惑星メタから連れてこられた奴隷は、労働もするが、差別なく教育も受けさせてもらっていたのだった。このことが、惑星Xの一部の住民と惑星メタの住民との間の信頼を次第に醸成していくことになった。

 惑星Xの政府は危機感を感じ始めていた。労働をメタの住民のみに押し付けていたが、現在の制度が崩壊するのは時間の問題かもしれないと考え始めたのだ。そうなると、政権を存続させるためには、多数意見に耳を傾けるしかない。過去の政治家たちが作り上げた定期奴隷制度を撤廃し、対等な関係として両惑星が発展していく方法へと政策を切り替えなければならない。そのためには、惑星メタに対する技術指導とともに、惑星Xの中での労働力の確保が必須となる。そこで、政治家たちは大半の労働をロボット化する政策を打ち出した。そのロボットを製造するのを惑星メタに任せようというのだ。そうすることで、メタでは仕事が創出され、その結果は惑星Xで利用されるという循環ビジネスが確立できるだろうと考えられたのだ。

 政府は、定期奴隷制度に変わる労働の押し付け策を捻り出したのだ。純粋な惑星メタの住民は奴隷制度から解放されるということを喜び、提案を素直に受け入れ、工場建設を実施しロボット製造を始めた。しかし、いろんなことを学んだ一部のメタの住民は、自分たちの研究を止めなかった。本当に対等な関係になるには、すべてのことで追いつくことが必要だと感じていたからだ。支援してくれている惑星Xの一部の住民とも連携し、次のステップへ向けて着実に進み始めた。

 彼らの目標は、お互いの惑星間で住民が自由に移動するための定期便就航と好きな方の惑星で生活できる制度を実現することだった。おそらく、メタの中に新政府が誕生し、惑星Xの現行政府のメンバー総入れ替えになる時代もそう遠くなく実現されそうである。


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