3月23日 ホットサンドを楽しむ日 【SS】キャンプ
日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。
【今日は何の日】- ホットサンドを楽しむ日
食品・酒類の卸売業や貿易業などを営み、「K&K“CAN”Pの達人 ホットサンドの具」を販売する国分グループ本社株式会社が制定したもので、日付は1が3で挟まれていることから「サンドイッチの日」とされる3月13日から、サンドイッチを焼く音「ジュウ(10)」を足して3月23日としたものらしいがかなりこじつけみたいに感じますね。
屋外でのキャンプや自宅時間を楽しむためのおうちキャンプなどで人気の「ホットサンド」を、より一層楽しく美味しく味わってもらうことが目的だそうです。
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【SS】キャンプ
暖かくなってくる時期は家族でのキャンプにちょうどいい。野外での活動も寒くないし、太陽の光は暖かく心地いい。近くに川があれば釣りもできるから子供たちも大喜びだ。何といっても子供達に焚き火をさせて火の点け方などを教えるのにももってこいだ。火の便利さと怖さを一度に教えてあげられる。夜になれば、星の勉強までできてしまう。自然の中には学びがいっぱいなのだ。そんなことを思い描いて、ママに提案した。我が家には長男の信と長女の心という子供もがいる。
「ねぇ、ママ。子供達も小学生になったし、キャンプデビューしようか」
「ええー、キャンプー。日焼けするじゃない。私は苦手だなぁ」
「でもさ、子供たちの野外勉強にはいいと思わないか」
「それはそうだけど。あなたは若い時にキャンプしてたから子供達をダシにしてキャンプに行きたいんでしょう」
半分は図星だったので、ちょっと困った顔をしているとママが折れてくれた。
「でも、あなたの言う通り。子供たちにはいいかもね。物置にはキャンプ道具もあるし、車もワンボックスだし。行きましょうか。ただし、私は食事の用意とかは一切しませんからね。そこんとこよろしく」
「かしこまりました」そういって僕は敬礼をしておどけて見せた。早速物置のキャンプ道具を出して埃を払い、問題は特にないことを確認した。そして子供達に春休みにはキャンプに行こうと告げるとぴょんぴょん跳ねて大喜びしていた。言ってよかった。
そうして家族で富士山が見える伊豆のキャンプ場にやってきた。施設も整備されていて、お風呂もちゃんとついている。炊事やトイレも綺麗すぎて、キャンプ場とは思えないほどだった。ペットも可能なオートキャンプ場ということで人気があり、この日も多くの家族連れで賑わっていた。
早速サイトを確認しテントやタープを設営する。誰も手伝えないから一人で汗を流しながら設営した。そして夕食の準備だ。定番のカレーがいいだろうと思い、あらかじめ仕込んでおいた野菜を子供達と一緒に炒めて、鍋に水とルーを投入。時々混ぜてあとはほったらかし。横ではご飯を炊いている。子供達は初めてのキャンプに大はしゃぎ。お隣さんを覗いたり、ペットの犬の見学に出かけたりしていた。夕食のカレーもできて皆んなで食べると、だんだん日が暮れてきてランタンに火を入れる頃になった。いよいよ焚き火の開始だ。子供達を呼んだ。
「さぁ、信と心。二人で火をつけてみようか」そういって小さい薪を準備させ、その下に新聞紙をちぎって入れさせた。それから、長男の信がチャッカマンを使って新聞紙に火をつけた。途端に赤い炎が上がり、二人ともびっくりしていたが、火が薪に移り燃え上がると綺麗な炎になり、顔には笑みが戻った。
「火は見ている時は綺麗だけど触ったらダメだよ。ものすごく熱いからな」
「うん、わかった。火って綺麗だね」子供達の顔が焚き火に照らされ一層愛らしくみえた。
子供達がテントの中で寝てしまうと大人の時間だ。僕は妻と二人で星空を見上げながらワインを楽しんだ。
「こんな時間もいいわね」
「だろう。きて良かったと思えただろう」
他愛もない会話を静かに楽しんでいたら。隣のテントが騒がしい。何事かと思ったら夫婦喧嘩が始まっていた。
「あなたがちゃんと管理していないからいけないんでしょう」
「いや、俺はちゃんとテントの脇に置いてたんだよ。見つからないように袋に入れて」
「じゃあ、何でないのよ」
たまらずに声をかけた。「どうかしましたか」
どうやら、現金を入れていた袋が消えたというのだ。もしかすると盗まれたのかもしれない。しかし、少なくとも我々のテントの前を通った人は見ていないし、隣の人は一番端のサイトだからその向こうからも人は来れない。仕方ないので夜が明けて明るくなったら探しましょうということになった。
朝が来て、朝食作りだ。朝はホットサンド、僕にとっての定番だ。キャンプ用のホットサンド機を使って手際よく作る。子供達も起きてきた。グッドタイミング。顔を洗ってから朝食だ。朝食の時に昨日の晩の隣の人の事件を何気に話していると、心が口を挟んだ。
「袋ってもしかしたら花柄の布見たいな袋かな」心が答えた。
「えっ、どっかで見たのか」
「うん、向こうにいるワンちゃんが咥えて行ったの見たよ。ねぇ、信ちゃん」
僕は隣の旦那さんを誘って、その犬を連れてきているサイトに向かった。確かにそのサイトの犬は放し飼いにされている。そんなに大きくない雑種犬のようだ。気をつけていないと見落としそうだ。汚れていて可愛くもない。そこにきていた人たちはそそくさと帰り支度をしていたので声をかけてみたら驚いたようにいった。
「いっ、一体なんですか。僕たちは悪いことはしてませんよ」その時、テントの裏に回った一緒に来ていたお隣のご主人が叫んだ。
「あっ、これだ。でも、中身がない」
「ちっ、気づかれちまったか」
すぐに管理棟に連絡をするとすぐに警察が駆けつけてきた。去年から出回っている「調教した犬に窃盗をさせる家族連れを装った強盗団」だったようで、すぐに逮捕され、別途隠していたお金が隣のご主人に無事戻された。それ以外でも数件の被害があったようだ。子供達のお手柄だった。
そのあと朝食をしている家族のところに戻り、隣の家族も一緒に賑やかな朝食となった。お隣さんは通常のサンドイッチを奥様が作っていたらしく、ホットサンドと半分ずつ二家族で楽しむことができた。トラブルがあったことで仲良くなった家族だったが、聞いてみるとお互いの家も近いことがわかり、その後家族ぐるみの付き合いが始まった。お隣さんには「さやか」という子供もいて子供達も大いに喜んでいた。
やっぱりキャンプでは教えられることが多いものだ。
了
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