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4月13日 決闘の日 【SS】奪い合い

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 決闘の日

1612年(慶長17年)のこの日、美作の浪人・宮本武蔵と細川家指南役・佐々木小次郎の決闘が、豊前小倉沖の無人島・巌流島(舟島)で行われた。

決闘の日、武蔵は約束の時間を1刻(約2時間)遅れて小船から姿を現した。待ち疲れ、いらだった小次郎は刀を抜き放ち、鞘を海中に投げ捨てた。勝負は一瞬で、武蔵の櫂(かい)の木刀が小次郎の額に当たり、武蔵が勝利したという。

山口県下関市にある巌流島は、正式な島の名前を船島(ふなしま)といい、現在は無人島で、公園として整備され、決闘シーンを主題とした武蔵と小次郎の銅像が置かれている。小次郎が剣術の一派である「巌流」または「岩流」を名乗ったことから巌流島と呼ばれるようになった。


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【SS】奪い合い

 昔、ヨーロッパの山の麓にいくつかの村が点在していた。村と村の間は近い村の間でも五十キロは離れている。大きな街まではさらに遠く数百キロも離れていた。村同士の交流を率先して実施する村とそうでない村があった。

 そんな村の中に一つだけ変わった村があった。村の周りはレンガを高く積み上げた塀が張り巡らされ、よそ者の侵入を阻止していた。当然ながら他の村との交流はなく伝統を守り続けて生活を守っている村だった。この村では何か争いごとがあれば全て決闘で決着をつける伝統が根強く存在し村人は全員がそれを守っている。

 村人の中には美しく成長した女性がいた。男たちはこぞって求婚したがった。ただ、複数の候補者が出てしまうと決闘になってしまうので、男たちは躊躇していた。そんな中、腕に自信のあるブラウンという男が名乗りをあげた。

「俺は、村で一番美しい娘であるマーガレットを娶りたい」

 ブラウンに対していつも対抗意識を持っていた友達だったブルーがブラウンの名乗りを聞いて、それらならば負けられないと名乗りをあげた。

「ちょっと待ったー。俺もマーガレットを娶りたい」

 こうしてブラウンとブルーは習慣に従い、決闘をすることになった。肝心のマーガレットの気持ちは誰も確認してはくれない。求婚されれば断ることはできないというのもこの村の伝統だった。マーガレットはどちらとも一緒になる気はなく、ブラウンもブルーも粗野な性格だったため好きではなかった。しかしこの村では女性の意見は聞いてもらえない。

 ブラウンとブルーはこの村を守っている兵士だった。同い年で今年二十七歳になる。小さい頃から一緒に剣の練習をしていたほど仲良しだったが、お互いに負けん気が強く競り合うことが絶えなかった。今回もマーガレットを愛してしまったからということではなく、村一番の美人を娶りたいとブラウンが宣言したことが気に入らないブルーも名乗りを上げたに過ぎなかったのだ。

 名乗りを上げた十日後に村の中央にある広場で、二人の決闘が決行されることになった。決闘当日は快晴だった。太陽が真上まで昇ったら決闘開始である。マーガレットはどちらが勝つのか気にはなったが、血を見るのが嫌いなので家の中に引っ込んで待っていた。

 決闘は始まった。どちらも相手の手の内を知っているだけになかなか決着がつかない。お互いの体はお互いの剣で傷ついていた。いよいよ日が沈もうとしている時、ブラウンの剣がブルーの左足の太ももを貫き骨を砕いた。同時にブルーが振り下ろした剣先はブラウンの左目から左頬にかけ切り裂いた。共に力尽きその場に倒れ込んだ。もうすぐ日が沈む時間が迫っていた。もう二人とも腕が上がらないほど消耗していた。

 村の中央の広場が決闘で盛り上がっている時、この辺りを支配している国の王子が村の視察で訪れていた。さすがに外部の人間を入れることのないこの村でも王子となれば話は別である。王子の一行は難なく警備されている唯一の門をくぐり、村に入ってきた。中央で騒がしく声が聞こえていたが全く気にすることなく、乗っていた馬に水を飲ませようと馬の水飲み場の方へと移動していった。馬の水飲み場のそばには、村で一番美しいと言われているマーガレットの家がある。マーガレットは家の外が俄かに騒がしくなったのが気になって、家の外に出てみた。そして目の前にいた王子を見つめ、一瞬で恋に落ちた。あまりにも端正な顔立ち、村人にはない気品、全てが初めて経験するものだった。マーガレットは王子の目を見つめ続けた。王子も美しい娘に気づき、一目で恋に落ちてしまっていた。そう、二人とも一瞬で恋に落ちてしまっていたのだ。王子は、馬を降り、手綱を水飲み場の柱に結びつけ、マーガレットのほうに颯爽と歩き近づいてきた。マーガレットは敬意を表すように膝を曲げ頭を下げた。

「娘さん。名を教えてくれますか。私はこの国の王子、ホワイトです」

「はい、王子様。私はマーガレットと申します」

「そなたはとても美しい。私の妃になってはくれないだろうか」

「えっ、私が、、、でございますか」

「そうです。私は一瞬であなたの虜になってしまいました」

「実は、私も王子様を見た瞬間に、恋してしまいました」

 お互いに視線を絡ませ、一瞬時間が止まったように感じていた。そして、温かい空気を感じ近づいた。ホワイト王子は、マーガレットを抱き寄せ、左手でマーガレットの顎を持ち上げ、静かにキスをしたのだった。マーガレットは全身の力が抜けていくようだった。異変に気づいたマーガレットの両親も家の外に出てきた。そして信じられない光景をみて夫婦で抱き合って喜んだ。それに気がついた王子は、マーガレットを抱きしめていた腕をそっと解き、マーガレットの両親に向かって求婚したのだ。

「お父様とお母様ですか。私はホワイト王子です。マーガレットを私の妃として迎えたいと思います。祝福していただけますか」

 ちょうど日が沈む頃だった。村の中央の広場では決闘の終わりに近づいていた。ブラウンとブルーは決闘を継続するだけの力は残っておらずお互いが傷ついただけで決着をつけることができなかったのだ。結局、この日の決闘では決着をつけることはできなかった。元々二人は親友である。お互いの戦いをお互いに讃えた。しかしその代償は大きかった。ブルーは左足を失う結果となり、ブラウンは左目を失う結果となってしまったのだ。二人はこのままでは決着はつかないと考え、マーガレットにどちらに嫁ぐかを判断させようと話し合った。これまでの習慣ではどちらかの命を断つまで決闘をしていたのだが、これ以上続ければ共に命を失ってしまうと判断したのだった。二人は血だらけになり助け合いながら、マーガレットの家に向かった。

 二人がマーガレットの家に着いた時に見た光景は、マーガレットとホワイト王子がキスをしているところだった。ブラウンとブルーはその瞬間全てを悟った。自分たちが何て愚かな戦いをしてしまったのかということを。二人が行った決闘はなんの意味もなく、お互いを元に戻ることのない傷をつけただけなのだということを目の前の光景を見て悟ったのだった。

「おい、ブラウン。俺たちはこの村のしきたりに囚われていただけだったようだな」

「あぁ、そうだよな。全てを決闘で決めるなんてやっぱりおかしいよな。マーガレットの気持ちを最初に確認すべきだったな」

「なぁ、ブラウン。俺たちが中心となって、この街のしきたりというか習慣を変えていかないか。周りの村との交流を遮断していたことも変える必要がありそうだ」

「そうだよな。王子様が来ただけでこうなってしまったんだものな。でもマーガレットにとってはきっとこれでよかったんだと思う。祝ってやろう」

 この後、マーガレットは王子様とお城に入り、幸せな家庭を気づき、ブラウンとブルーは生涯独身を貫く代わりに、住んでいる村を周りに開放する努力をして、いろんな文化を取り入れる努力をしたそうだ。


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