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5月27日 背骨の日 【SS】退化

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】-背骨の日

北海道札幌市の一般社団法人「背骨コンディショニング協会」が制定。

日付は背骨が主に腰椎5個、胸椎12個、頸椎7個から構成されており、それを並べた「5127」の「1」を「/」(スラッシュ)に見立てると「5/27」となることから。

肩こり、腰痛、膝の痛み、内臓の不調など、さまざまな症状は背骨の歪みから発生することが多い。これらの症状を背骨のコンディションを整えることで改善し、健康になってもらうことが目的。

この日には、同協会により背骨を整え不調を改善する体操イベントが各地で開催される。記念日は一般社団法人「日本記念日協会」により認定・登録された。


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【SS】退化

 人間の背骨は首からお尻の部分まで合わせると26個の骨で構成されている。骨同士は関節で結合されているのでそれぞれが可動して柔軟に耐性を保つことができる。背骨は年齢とともにに二足歩行でバランスを取るためにS字を描くように歪曲するらしい。現代人に於いて日々の活動を支える重要な骨である。そのため、適度な運動を実施していなかったり過度な負荷を掛けると骨がずれて神経を圧迫し、腰痛、首痛などを引き起こしてしまうようだ。

 現代人は文明の発達や食生活の変化とともに体型も変化してきた。体重が増えると骨への負担も増加する。歩くことが少なくなれば、代謝が減り体重も増加する。このままの習慣が長い間続くと足は退化していくのかも知れないという心配がまことしやかに噂されるようになった。

 若い世代のスタイルへのこだわりを意識した美容整形業界では、いち早く感じ取り五十年後に必要とされるであろう新しいスタイル作りの検討や実験を開始していた。その内容はロボット技術が発達し、アンドロイドも登場することを見越して対応しようとしている。ある時、三人の美容整形医師が背骨の専門家顔負けの意見交換をしていた。

「世田先生、今後我々の美容整形業界では、全身の骨の加工を視野に入れた人体改造ができる技術が必要になると思うのですがどう思われますか」

「坊谷先生、そうですね。私も方向性としては手足の長さを変えるような技術が必要になってくるんじゃないかと思っていますわ。でも、根本先生はもっと大胆なことを考えておられますわよ、ねぇ、根本先生」

「いやいや、そんなに大胆でもありませんが、美への追求は人類が退化して体型に変化が現れたとしても止まらないと思っているだけです。当然貧富の差は出るのでしょうが、富豪と呼ばれる人たちは金でスタイルを手に入れ、貧乏な人は努力でスタイルを手に入れることになるでしよう。その時、手足は長く、胴は短く、顔は小さくという願望は止まらないでしょう。そこで、私が考えているのは、背骨にある26個の骨のうち、二つを取ってしまい胴を短くして、外した背骨を足に継ぎ足して足を長くするという施術なんですよ。これはきっとサイボーグへの転用も可能な技術だと思っていますよ」

 ここで議論していることは、間違えると倫理的な問題に発展してしまうような内容である。しかし、日本人が退化することによって、やっと手に入れたスタイルを手放すことになるかもしれないと考えると、今のうちから研究する必要のある技術なのだと全員納得していた。しかし、実際の人体での実験は不可能である。そこで成功に作られた人形によって医師たちは手術の可能性を研究し始めたのだった。このことが後のサイボーグ開発に繋がるとは誰一人思ってもいなかった。

 研究を始めてから三十年が経過した。日本人が退化する兆しは全く見られない。もっとも高々三十年程度で退化が見られるとは思ってもいなかった。しかし、世の中は大きく変わり始めていた。体の一部を失った人を元の体に復元することが注目され始め、世田先生、坊谷先生、根本先生たちは自分たちの研究が生かせる時が来たと感じ始めていた。同時に自分たちも歳をとり過ぎてきたのでそれぞれの子供たちが研究を引き継ぐことも計画していた。

 そして何よりも、ロボットやアンドロイドに対する関心が世の中でかなり高まってきたのだった。すでにロボットは社会に受け入れられていて、アンドロイドも活躍の場を得始めていた。同じ人間として生まれてきたが、事故などで普通の生活が送れなくなった人に対し美容整形が中心となって元の体を復活させることに挑戦し始めたのだ。そして、脳の働きをサポートするためにAIチップが脳に埋め込まれ、人工の手足であっても通常の人間と変わらない動きができるようになるまで技術は進歩した。

 そして、遂に神の領域に人間は踏み込んでしまった。事故にあって脳死してしまったアスリートの肉体が朽ち果てるのは惜しいと考えた医師たちは脳をAIチップに置き換えてしまったのである。肉体は人間で脳はコンピュータというサイボーグが誕生した。この後、このサイボーグ一号は街の治安維持のための仕事に就くようになり、青少年の非行防止活動を担当するようになったのである。まだ感情のコントロールができないサイボーグは不思議と世間から追い出された青少年に受け入れられ、悩みを相談されることが多くなり、結果として非行に走るのを防止できるという成果に繋がった。感情がなくどんな言葉でも受け入れてくれるところが、良かったのかもしれないと分析されている。

 こうして美容整形の医師たちによって勧められた人体改造はサイボーグの誕生という成果につながり、社会貢献できたのである。もっとも神様がどう考えているかは誰もわからない。


ロボット:人間の代わりに何らかの作業(労働)をするために作られた装置・機械
アンドロイド:人間を模した機械や人工生命体の総称
サイボーグ:身体の各器官を人工物に置き換えること、またはそれを施した生き物

https://emplos.jp/business_skill/【類義語の理解】ロボット、アンドロイド、サイ/

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