【SS 1月4日】石の日
【今日は何の日ショートショート】- 石の日
日付は「い(1)し(4)」(石)と読む語呂合わせから設定されているが、制定した団体や目的については定かではない。「ストーンズデー」とも呼ばれているようだ。
石や岩は昔から神様の寄り付く場所として尊ばれてきた。この日に、お地蔵様や狛犬、墓石など、願いをかけた石に触れるとその願いが叶うという言い伝えもあるようなので今日出かける人は実施して見るのもいいかもしれない。また、神社では神様とは別に石が祀られていることも多くある。古来から日本人は石や岩を霊的なものとして崇拝してきた歴史がある。
【SS】頑なな恋
「僕はあなたを一生愛します。石よりも硬い気持ちで」
そんなことを言われて嬉しがる私ではない。男なんていう生き物はいうことと行動がシンクロしないことは経験上学習済みなのだ。どんなに美辞麗句の言葉を並べ立てたとしても、女性が老いていく姿をみれば心は変わっていくのが男という生き物なのだ。
だから私は歳を取らない魔法を自分にかけた。ほぼ不老不死だ。おそらく1000年は今の姿で生きていられるはずだ。その間は、若い男をそばに置いて楽しい生活を送ってやるのだと女は決心していた。もちろん永久に若いままではいられないが、1000年の寿命があれば男を意のままに操るのは問題はないと思った。
若い男達は女の美貌に惹かれ、求婚するものが後を絶たなかった、女はその中で選りすぐりの男を選びそばに置いた。男達は決まって女の機嫌をとっていた。
「僕は死ぬまであなたを愛し続けます」
そんな聞き飽きた言葉を女は一瞬の笑顔であしらっていた。男の言葉ほど信用できないものはないとこれまでの経験で学習していたのだ。しかし、男達は真っ直ぐに愛を届けようと思い、自分たちが持っているあらん限りの言葉を駆使して女に愛を伝えようとしていた。
女は自分自身の長い人生の中で何百人もの男が自分のために寿命をまっとうしていくのかを考え、微笑んでいた。そして、数百年がたったある日、女は自分の寿命に気づいた。残り100年となった。通りで最近鏡を見ると少し老け込んだように感じていた。
「私は何のために生きていたのだろう。私が愛した人は誰だったのだろう」
女は、自分が望んだ人生を呪い、真実の愛を知らないまま、多くの男と時間を過ごしたことを後悔し始めていた。それまで数えきれないほどの男達が求婚に来ていたはずだったのに、今は寄ってくる男はほとんどいなくなってしまっていた。
街中では若い男達を中心に噂が広がり始めた。
女は最初聞く耳を持ってはいなかったが、自分の寿命を感じ始めてから気になり始めた。
「永遠の美貌なんてやはり存在しないんだな」
「そうだな、あの方、シワがものすごく増えてきてるよな」
「それに、白髪も見えるようになってきたな」
確実に歳をとっているということを自覚しはじめた女は、一人で姿を消すことを決心した。頑なに信じていた自分の生き方を後悔していた。
こうして年老いた自分を認めたくない女だったが、ここに来て悩み始めた。960歳の時だった。のこり40年の残された時間は、自分の老いと向かい合うことを決心したのだった。そしてひとりの年老いた男と出会い、始めて女から男にお願いした。
「私と一緒になってくれない」
「僕でよければ」
女にとって生涯で初めて自分から告白した男が、最後の男となり普通に暮らし始め、男の最後を看取った後、しばらくして後を追うようにして女も逝った。
了
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