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4月15日 ヘリコプターの日 【SS】空を飛ぶ

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- ヘリコプターの日

東京都港区芝に事務局を置き、航空事業に関する調査・研究などを行う一般社団法人・全日本航空事業連合会が1986年(昭和61年)に制定。

この日は「モナ・リザ」で有名なイタリアの芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci、1452~1519年)の誕生日。彼は画家のみならず発明家としても知られ、ヘリコプターの原理を考案した。ヘリコプターの重要性をPRし、第2の空の足として認識してもらうことが目的であり、ヘリコプターが開発されたり初めて空を飛んだ日ではない。


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【SS】空を飛ぶ

 人類の夢は大空を自由に飛ぶことだった。そしてその夢は飛行機となって実現することになった。ライト兄弟の挑戦は人類の空への憧れを大きく実現に繋げてくれた大きな成果だった。

 人は目標としていたものを手に入れると、次の目標に向かいたくなるらしい。飛行機は飛び立つために長い滑走路が必要になることから、垂直に飛び上がる方法はないのかと懸命に模索した結果、ヘリコプターにたどり着いたのである。レオナルド・ダ・ビンチが原理を考えたとされているらしい。本来なら飛行機より先に実現されていてもおかしくはないのである。

 そんな空への憧れは止まることを知らず、鳥をも追い越す勢いで、人類は空を支配した。そして、次のステージへと移りドローンが主役に躍り出てきたのである。
そんな時代からさらに多くの時間が流れたが、空への執着は継続され、個人の発明家がガレージで懸命に試作に次ぐ試作を繰り返していた。すでに技術的にも安定しているドローンと自動車を融合させていたのだ。ドローンが登場した時から構想はあり、多くの研究者も手掛けていたのだが、当時はエンジンの自動車から電気駆動の自動車に移行されていた時期であり自動車そのものの重さが問題になっていたため、ドローンで飛ばそうとすると二人乗りが限界だったのだ。しかも大きさもかなり大きくなるため研究者たちは頭を抱えていた。

 個人でドローンの自動車への活用を頑張っている発明家の一人、ケンイチはバッテリーに着目していた。対象としている自動車はもちろん電気自動車である。フレームを必要最小限のアルミで軽量化を計り、その周りをシリコンで覆うことで安全性が落ちないように工夫していた。搭載するバッテリーを極力少なくしリアルタイム発電で供給する試みを懸命に実験していたのだ。それまでのソーラーでの電気への交換効率は人工衛星でも四十パーセント弱であり、一般的には三十パーセントにも達していない。ケンイチはここに目をつけた。なんとか二倍以上にしたいと考えていたのだ。そうすることでソーラー発電で効率よく飛ぶための力に変換できると考えたのである。

 ケンイチは太陽光線を電気に変換する際に、全ての太陽光線を吸収できていないのが効率を下げていると知り、取り込まれない光の波長を研究し漏れなく取り込めるようにパネルを改造していたのである。さらに一般的には平らなパネルを古い工場の屋根のようにギザギザにして太陽が移動しても光を捉えられるような工夫も施してテストを繰り返していた。

 ケンイチの頑張りの成果を試す時が来た。この時の自動車はすでに完全自動運転になっていたので、自動運転システムと自動飛行システムを接続して全てを自動で制御できるように工夫していた。車内にあるのはタブレットが二つだけだった。二つあるのはバックアップのためだ。そして安全のために自動車の底の部分にエアバッグを応用した安全装置も装備した。万一墜落した際に地面に衝突する瞬間に開いて衝撃を和らげる装備だ。ケンイチは重力の怖さを一番に心配して安全装置には気を使っていた。飛ばす研究もさることながら安全への研究にも時間をかけていたのである。

 出来上がった空飛ぶ自動車は、高度を八メートルに制限して飛行するように設計されていた。ビルにすると三階程度の高さだ。小さい林程度は越えられるようにという思いもあった。万一墜落しても自動車の底に付けたエアバッグで人命を守れると計算した高さでもあった。そして最も重要な前提をケンイチは定義していた。通常は四人乗りなのだが緊急時には助手席側がベッドになり、一人ではあるが寝たまま搬送することができるようにしていたのだ。後部座席は医者が一緒に乗ることも想定していたのである。

 ケンイチはレジャー用として空飛ぶ自動車を考えていたわけではなかった。高齢化が進み買い物難民と呼ばれるお年寄りの住む村落で利用できる空飛ぶタクシーを目指していたのである。完全自動運転なので免許を持っていないお年寄りでも事前に登録しておくことで運転手がいない状態で利用することを実現したかったのである。山間の村であっても空を利用すれば街までの移動時間を短縮でき、高齢の体に負担をかけることなく移動して買い物も楽しめるのではないかと思い描いていたのだ。

 そんなケンイチの気持ちを理解したのか、街のスーパーが協力を申し出てくれた。市役所も全面バックアップすると言う。スーパーの駐車場には専用の駐車スペースが作られ、一般車の立ち入りを禁止してくれた。そして恐る恐る乗り込んだお年寄り三人。ちょっとした空の旅を経験し、街のスーパーに買い物に来た。年をとっても初めてのことには興奮してしまうらしい。

「自分の育った村を始めて上から見たよ。やっぱりいいとこだね」

「ほんとだね。それに乗っただけでスーパーにまで来れたよ。しかも車で送ってもらうより全然早かったね」

「こんな乗り物を作ってくれた人に感謝だね〜」

 そんな声がケンイチに届いていた。すでにケンイチは五十歳を過ぎていたが、自分が目指してやってきたことが、やっと日の目を見た思いで満足だった。ケンイチは両親を土砂崩れで亡くした経験を持っていたのだ。土砂崩れにあったその時、両親はまだ生きていたのだが、道が寸断され助けに行くこともできなかった。そんな時上空は風が吹いていたとしても、道路が土砂で埋もれてしまったところだけを飛び越えることができれば救えたのかもしれないと考え、空飛ぶ自動車の実現を追い続けていたのだった。

 ケンイチの数十年に及ぶ試行錯誤はやっと幕を下ろすことができたようだ。あとはここでの実証実験の結果を全国に拡散し、少しでも多くの人に役に立てられればとケンイチは考えていた。これからは行政との戦いになるかもしれない。


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