6月20日 世界難民の日 【SS】脱出
日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。
【今日は何の日】-世界難民の日
2000年(平成12年)12月に国連(United Nations:UN)がそれまでの「アフリカ難民の日」(Africa Refugee Day)を改称して制定。
国際デーの一つ。「世界難民の日」の英語表記は「World Refugee Day」。
1974年(昭和49年)のこの日、「アフリカ統一機構(OAU)難民条約」が発効した。難民の保護と援助に対する世界的な関心を高め、国連難民高等弁務官事務所(The Office of the United Nations High Commissioner for Refugees:UNHCR)をはじめとする国連機関や非政府組織(NGO)などによる活動への理解をさらに深める日としている。この日を中心に、世界各地の難民に思いを馳せるべく、各国で様々なイベントが実施される。
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【SS】脱出
広い宇宙の中では、惑星同士の争いが勃発し、人々はなんとかして住んでいる惑星を脱出して安全な星へ移り住みたいと考えている惑星の住民もいる。ここ、銀河系から遥か遠い宇宙の惑星でも大規模な戦争が起き、軍隊に属している人以外は安心して生活ができない日々が続いていた。攻撃を仕掛けてくるのは遥かに離れた惑星の軍隊だった。しかも、光が翳った夜の時間に凄まじいほどの火器攻撃が襲いかかる。人々は仕方なく、地下に潜り攻撃をしのぐが、その轟音に毎日震え上がる日々が続いていた。
我々はやっとのことで、型遅れの古い宇宙船を一隻手に入れることができた。定員は三百人だが、今周りには百人程度しかいない。我々は素早く連絡を回し、宇宙船に集合した。操縦できるものは二十人くらい混ざっている。これならなんとか惑星を脱出できそうだということで、早速全員で乗り込んだ。食料は船内のプラントでも生産できるので、なんとかなりそうだ。暗くなるとまた攻撃が始まるかもしれないと判断し、日が沈む直前に出発することにした。素早く飛び立ち、火器の攻撃から逃れてその後は暗闇に紛れて脱出を試みたのだ。
計画はなんとか成功した。住んでいた惑星の重力はかなり小さいので、惑星を離れるのは比較的容易なことだった。宇宙船に乗り込んだ人々はやっと安堵できる時間を手に入れ、倒れ込む様に眠った。しかし、宇宙船を操縦しているチームはまだ目標を決めかねていた。そんな時、かなり遠いが「地球」という美しい星があるそうだ。そこに避難しないかと誰かが提案した。誰も行ったとがない惑星だが、代替案を出せるものがいないこともあり、進路は地球に向けられた。
ワープ航法を繰り返しながら徐々に地球を目指した宇宙での避難が始まった。船内で生まれる新しい命や尽きる命もあり、喜びと悲しみを全員で共有している間に結束力も高まっていった。そうして一年程度の時間が過ぎ、窓には、青く輝く地球を見ることができるところまでやってきた。船内は喜びの声に溢れた。これで、安心して生活ができる場所を手に入れられると喜んだ。
大気圏に突入し、古い宇宙船の外側に貼られているタイルが真っ赤に燃え始め、予想以上の大気の濃さと重力に不安が募りはじめた。なんとか着陸するまで宇宙船が耐えてくれることを祈るしかなかった。そして、太平洋のハワイ沖に宇宙船はなんとか着水した。気がつけば、周りには大きな火器を装備した船が集まり、あっという間に囲まれてしまっている。さらに空の方ではバラバラという音を立てて飛んでいる機体も複数やってきている。宇宙船内部では、今度は地球で攻撃されるのではないかという不安が高まりはじめた。
言語トランスレーターを利用して、乗ってきた宇宙船の外に集まってきている船に向かってコンタクトを始めた。
「我々は、遠い惑星から脱出してここにやってきた一般人だ。戦火を逃れてここまでやっと辿り着いたのだ。なんとか保護してもらえないだろうか」
「我々の管轄する宇宙空間に現れたときから、あなたたちの宇宙船を監視していました。攻撃してくる気配はないと判断してこうして来ています。速やかに、宇宙船を放棄してこちらの船に乗り移ってください。そうすれば保護対象として扱うことをお約束します。まず、リーダーを含めた五十名の方がこちらにお移りください。なお、重力の差があると移動が困難になると思われますので、重力制御カプセルに入った状態で移動してもらいます。現在、あなた方の宇宙船内部の重力コントロールを計測し、重力制御カプセルの中が同じになるように設定して、宇宙船のハッチとドッキングします」
こうして、最初の移動が始まりリーダーも移動した。船に移動した後、リーダーは重力の差について説明を受けた。
「地球の重力はあなた方の宇宙船内部の約二十倍ほど大きなものになります。したがってカプセルから出た瞬間歩くこともできなくなるでしょう。少なくとも筋肉の構造を変化させる必要があり、おそらく早くても六ヶ月はかかるものと考えます。今回宇宙船に乗ってこられた方は、全員を重力難民として認定してもらいますので、最初は重力リハビリセンターと直結している重力避難民ドームでしばらくは生活してもらうことになります。そして、地球の重力になれた後はこの地球での生活をお楽しみください。もちろん、地球の発展のために科学分野などでは協力をしていただくことになります」
「わかりました。まさか地球に逃げてきたにもかかわらず、こちらで難民として認定されるとは思ってもいませんでしたが、重力の差は我々の活動を大きく損なうものと分かりましたので、ドームでの生活を快く受け入れさせていただきます」
この頃地球では、銀河系以外の宇宙からの避難民が次々に飛来していたのだ。全て異なる重力の惑星からやってくるので、重力を制御できる他の惑星からの避難民ドームが多数作られていたのだった。銀河を超えて助け合う習慣が少しずつ根付きはじめていた頃である。
了
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