5月1日 宅配ボックスの日 【SS】届いたものは
日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。
【今日は何の日】- 宅配ボックスの日
東京都千代田区岩本町に本社を置き、宅配ボックス・電子制御付ボックスの開発・製造・販売などを行う株式会社フルタイムシステムの代表取締役社長・原幸一郎氏が制定。
日付は宅配ボックスのトップメーカーである同社が創立された1986年(昭和61年)5月1日に由来する。配送物の安全保管管理システムの宅配ボックス。同社は、マンションなどで不在時にも荷物を無人で預かり、管理者にも居住者にもその利便性の向上をはかる宅配ボックスを開発した。
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【SS】届いたものは
今では各家庭に届けられる荷物の量は、インターネットショッピングの急増に伴い、すごい勢いで伸びている。それに伴って物流会社の勤務状況も問題としてクローズアップされることも多くなってきた。我々の生活に欠かせない宅配業務は生活インフラの一部となっているのが現状である。宅配ボックスに届いている荷物も宅配の会社ごとではあるが、登録しておくことでどこからの荷物が届いたかは外出先からでも確認できるようになっているのは便利だと感じている。
配達において一番問題となっていたのは不在のために荷物を届けられないということだった。不在の場合は一度持ち帰って再度配達を実施しなければならない。この手間は物流会社の業務負荷を大きく押し上げてしまった。それを打開するために宅配ボックスというシステムが開発されたわけだ。集合住宅では特に不在状態が発生しやすく隣人が預かってくれることも少ないので、再配達を余儀なくされていたが、宅配ボックスの設置が進んだことにより、再配達がかなり解消されることとなっている。この貢献は物流会社にとっては大きいことである。
今では、宅配ボックスの普及は戸建て住宅にまで及んでいる。玄関先に個人用宅配ボックスを設置することにより、一般的な大きさの小包を無人でも受け取ることが可能になっている。最近では玄関前に置いていく置き配も普及し始めてはいるが、盗難などの新たな二次災害も引き起こしているようだ。現在のところ安全に確実に配達しようとしたら、宅配ボックスが最適なのかもしれない。もっとも宅配ボックスが設置してあったとしても、そのキャパ以上の荷物が来た場合はやはり再配達となるリスクはある。マンションでは住民が届いている荷物を取りに来ない場合、宅配ボックスが一杯になるという問題も考えられる。
宅配ボックスが全てを解決したわけではないが、再配達を削減する効果や、留守でも荷物を受け取れるという便利さは利用者としても喜ばしいことである。
ある日、マンションに住んでいる男性が留守をしていた時のこと。インターホンには宅配ボックスに荷物が届いているというランプが点いていた。荷物が来るという予定はなかったのだが、男性は荷物を取りに行った。開けてみるとやはり身に覚えのない荷物だった。一応、宛先を確認すると確かに部屋番号は合っている。しかし、よく見るとマンションの場所を表す番地の次の数字が違っていたのだ。それは隣のマンションへの荷物だった。メールボックスにも氏名を表示しないマンションは増えているため、配達は住所と部屋番号を頼りに処理されることになる。複数のマンションが建っている場合などは、住所を示す番号も連番になっていることは多いだろう。それにより、誤配が増加することになったのだ。男は仕方なく宅配業者に連絡し引き取りに来てもらったようである。誤配による手間が生じる可能性があるということは利用者として認識しておかなければないのだろう。
誤配を受けた場合は、受けた方が宅配業者に連絡して取りに来てもらうような対応をする必要があり、住人としても手間がかかってしまうことになるのだ。間違いがない宅配ボックスができるといいと切に思うこの頃である。
今ではいろんな分野で宅配ボックスの技術が使われ始めている。例えばクリーニングを依頼するためのボックスが駅構内に設置されたり、宅配ボックスの代わりに近くのコンビニで受け取るということもできたりしていて、受け取り方も進化し続けている。いったいこの先の宅配ボックスはどうなっていくのだろうか。
宅配ボックスの研究は独立した会社で独自に研究開発がなされていた。しかし、戸建てやマンションなどを設計する際に組み込んだ方がデザイン上も機能性もいいということで、業界の中ではデザイン事務所とのコラボが始まり、先進的なアイデアが取り込まれるようになってきた。
2050年、建物の新築物件の際は組み込んだデザインが主流となり、マンションの宅配事情は急変しつつあった。過去、マンションの宅配ボックスは、ロビーに集合の宅配ボックスが設置されて利用していた。しかし、住民からすればいちいちロビーの宅配ボックスを開け、荷物を持って自分の部屋まで行かなければならないとか、長期間留守の場合の荷物が受け取れなくなるなどの問題を抱えていたため、新しいマンションでは個々の部屋に宅配ボックスが設置されるように変化していった。これで、対面で受け取る必要もなくなりセキュリティ面でも歓迎されるようになっていった。
人は少しでも不便だと感じるとなんとかして解消する方法を探し、最初に解決策を探し当てた会社はいち早く商品化することで利益を独占できることになる。この構造は常に変わらない。そのために、生活における不便を探し出す専門会社まで登場し、その情報が改善点マーケットの商品としてオークションにかけられ、企業側が高値で競り落とすという市場まで登場しているのである。宅配ボックス業界も例外ではなく、地域性や住民の年齢別の改善点が日々洗い出され、改善点マーケットで取引されている。
さらに、部屋ごとに宅配ボックスを取り付けができない既存マンションにおいては、宅配ボックスから荷物を取り出して玄関先まで配送してくれるロボットの利用が研究されているとかいないとか。既存マンションは星の数ほど存在するので、ビジネスの可能性は極めて高いと業界では予測されている。
どこまでも進化し続ける宅配ボックス。そのうちに不用品を入れると取りに来てくれるサービスまでも登場するだろうか。対面せずにやり取りできる仕組みは、宅配のみに留まらず取り扱う内容も多岐に渡っていくのだろう。期待したいものだ。
了
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