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【SS】殺害時刻のトリック  #夏ピリカ応募

 ある証券会社勤務の林という男が軽井沢の別荘で梁にロープをかけ首吊り自殺を計って亡くなってしまった。どうやら友人と二人でで別荘にやって来て、友人が出かけた際に自殺したようだ。しかし、ご丁寧に自分の自殺の最後の写真をスマホで撮るために首を吊る場所の前にスタンドライトを移動してあらかじめ高さを合わせたスマホをセッテングし、首をつったあと最後の力で撮影ボタンをプッシュしたようだった。ここまでの執念で最後の写真を残すと言った行動が不可解であったため、自殺と他殺の両面で捜査が始まった。

 警察の調べによると、この男は会社で客の口座を勝手に操作して投資を繰り返し数億円にも上る利益を得ていたことが判明した。しかし、その後の円安ダメージでそれまでに得た利益以上の損失を出してしまい、後始末に困っていたというのが、この男のパソコンを調査した鑑識の結果で明らかになったのだ。捜査本部の大半は、損失を補填できなくなり自殺を図ったのだろうという見方が大勢だった。

 そんな中、刑事の中の一人長内は、自らの自殺のシーンを撮影する意味に疑問を感じていた。なぜ、自分のスマホで写真を撮影する必要があったのかということを解明したいと思っていた。その時一人の容疑者が浮上した。自殺した男の同僚の佐藤という男が第一発見者だった。佐藤は、自殺した日にも林と一緒に別荘に来ていたという情報が入っていたのだが、スマホで写された写真が撮られた時間には、別荘の近くでの別の場所にいる完全なアリバイがあった。スマホの写真には自殺した男の後ろの時計が映り込んでいて19時を指していた。

 だが、その時間前後の佐藤は、軽井沢銀座で食事をしていたのだ。軽井沢銀座から別荘までは車でも30分はかかる。食事していたことはレストランのスタッフも証言している。常連客なので見間違えることもなかった。18時ごろに来店し19時半くらいまで食事していたという証言だった。

 しかし、刑事の長内はどこかしっくりしないなと感じていた。スマホで撮られた写真をじっと見つめ、再度スマホの写真の日時も確認し、写真ライブラリを見て長内は決定的な写真を見つけた。スマホ内の写真に鏡越しに時計が写った一枚を見つけたのだ。

 長内刑事は佐藤に質問した。
「あなたは17時半ごろ別荘を出て20時に林さんの別荘に戻って自殺している林さんを発見したんですよね」
「そうです。間違いありません」
「この写真に写っている時計おかしいと思いませんか。実は鏡越しで正しく見える逆時計なんですよ」
「えっ」

 佐藤は時計を直接見て2時間進んでいるから好都合だと思い確認しなかったのだ。アリバイは崩れた。スマホの時刻設定を手動で変更した後、食事から戻り遺体発見の連絡をする時に自動設定に戻し安心していた。まさかアナログ時計が命取りになるとは思ってもいなかった。佐藤は自分の罪も着せるための17時の犯行だったと認めた。

1200文字 (字下げ分の空白もカウントした文字数)


下記企画への応募作品のミステリーです。
初めて参加させていただきました。

#夏ピリカ応募 #ミステリー #先入観 #鏡 #殺人事件 #ミステリー


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