【SS】 癒しの夜空 #シロクマ文芸部
銀河売りをしてみないかと友達のタケルが僕に言ってきた。僕たちはネット販売で細々と生活している。何か新しいことができないかといつもアイデアを出し合っているが成功したことがない。だから安定した収入源もなく貧乏な生活を強いられているのだが。
「ケンタ、今までのただものを売るやり方じゃなくて、俺たちならではの創作をした作品を売ることに挑戦してみないか。銀河売りなんていいと思うんだよなぁ」
「創作して売るといのはいい考えだと思うけど、銀河売りっていったいなんだよ、タケル」
「あぁ、ごめんごめん、自分でわかってるから端折ってしまったよ。俺らの周りには星砂が取れる海岸があるだろ。その星砂で銀河を作るんだよ。そしてそれを額に入れて売る。一点ものとして」
「おお、それって、星砂を貼り付けて銀河を再現するっていうことか。めっちゃ、面倒臭そうだな」
「ああ、でも想像してみろよ。俺たちが作った銀河で誰かの心が癒やされるんだぞ。すごいと思わないか。おれはさ、病気で入院している子供たちがいる病院にも寄付してやりたいんだよな。絶対星空なんて見てないと思うんだ。だから俺たちが銀河をプレゼントするんだよ」
「なんか、いいなそれ。ジーンときちゃったよ」
こんな相談をケンタとタケルはして、星砂を浜辺から大量に集めてきた。そして黒い紙の上に星砂を撒いて銀河の星屑の様な模様を作った。もちろん、配置は出鱈目だが、黒い紙の上の星砂はまるで本物の星の様にも見えた。
出来上がった銀河の星空を額縁に入れて、ネット上で販売を開始した。しかし、物珍しさで参照する人はいるものの、なかなか購入してくれる人はいなかった。やっぱりダメだったかと思ったが、諦めずに全国の子供たちが入院している病院をリストアップし、寄贈したいと連絡をとり、販売に先駆けて送ってみた。このことがネット上の口コミで拡散し、星砂銀河の星空の人気に火がついたのである。いくつかの病院の子供達から、ありがとうのメッセージが返ってくるたび、ケンタとタケルはやって良かったなと心から思ったのである。
『ケンタケ兄ちゃん、素敵な星空をありがとう。いつもご飯を食べながらお友達と一緒に見ています。本物の星空をいつかは自分の目で見ることができる日まで、病気に負けない様に、ケンタケ兄ちゃんたちが作ってくれた星空を見てがんばります』
いつしかネット上では「ケンタケの星砂銀河」というタイトルがついていた。銀河売りは大成功の兆しが見え始めていた。
了
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