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11月19日 家族の日 【SS】再会

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 家族の日

内閣府が2007年(平成19年)に制定。

内閣府では、2006年(平成18年)6月20日に少子化社会対策会議によって決定された「新しい少子化対策について」に基づき、11月の第3日曜日を「家族の日」とし、さらに、その前後1週間を「家族の週間」と定めた。子供を家族が育み、家族を地域社会が支えることの大切さについて理解を深めてもらうことが目的。


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【SS】再会

 突然の不幸が複数の家族を襲った。北ヨーロッパのスウェーデンとノルウェーの国境付近にある森の中の別荘地でその不幸な事件は起こってしまった。別荘地には、百軒ほどの別荘が建てられており、この時にはほとんど全ての別荘にそれぞれの持ち主家族が遊びに来ていた時だった。いつもは人声のない別荘地だったのだが、この日に限っては、大人も子供も混じった楽しそうな笑い声があちこちで響き渡っていた。別荘地のそばには大きな湖があり、いくつものクルーザーが湖上で爽やかな風を浴びながら休暇を満喫しているようだった。仲良く楽しい時間を過ごしていたオルソン一家も湖上で船内バーベキューを楽しんでいた。両親と二人の子供達が乗船したクルーザーだ。子供は長男が六歳、長女が五歳と、まだ幼さが残る年頃で、何をしても楽しくて仕方がない時期。二人の子供にとっては、両親と一緒に湖のほとりの別荘に遊びに来るのが毎年の楽しみだった。父親の職業は弁護士。いつも忙しく働いているので、まとまった休暇で実施する家族旅行はみんなの楽しみだった。そんな家族の最大の楽しみをとんでもない不幸が襲ってしまったのだ。

 夕方になり、轟音が鳴り響いた。別荘に来ていた人たちは何事が起きたんだと言うような顔をしながらキョロキョロし始めた途端に、何かがぶつかるようなものすごい音が響き渡り始めた。それも一度ではなく、何度も何度も。よくみると、夕焼けの空から、赤く燃えるような大きな石が降ってきている。この辺りには火山はない。誰かが叫んだ。

「隕石だ。大量の隕石が落ちてきているぞー。逃げろー」

 だが、人々にはなす術が何もなかった。空からどんどん落ちてくる隕石に抗うことなど何もできないのだ。隕石は容赦なく別荘の屋根を突き破り、火事を引き起こしていた。さらに、湖にも隕石が降ってきた。隕石はオルソン一家が乗っていたクルーザーにも容赦なく落ちてきた。しかも、船尾の方に大きな隕石が落ちてきたので、船は大きく前後に揺さぶられることになった。そのはずみで、幼かった兄妹は湖へと放り出されてしまった。さらに追い打ちをかけるように小さな隕石が落ちてきて、両親の足や手を直撃してしまい、子供達と同様に湖に放り出されてしまった。湖面は、隕石の落下の影響で激しく波打っている。まるで台風で荒れ狂う海のようになっていた。湖上に浮かんでいた他の船も同じような運命を辿っていた。人々はお互いを助け合うように必死で陸を目指していた。いつしか湖面も別荘地も地獄のような様相に変わり果てていった。

 その悲惨な様子は麓の方でも確認されていた。急いで救急隊が編成され、スウェーデンとノルウェーの両方の国から救急隊が出動し、現場に急行していた。救急隊が到着した時には、隕石の落下は終わっており、火災にあった別荘が燃えていたり、湖の上で複数の船が炎上している悲惨な光景に変わっていた。到着した救急隊は生存者を見つけ次第搬送する仕事に追われている。国籍を気にしている時間はない。とにかく生存者を見つけ早く病院に搬送するしかない。日が沈み隊員たちにも焦りが見え始めた。暗くなると発見しづらくなる上、二次災害のリスクも高くなる。

 幸運にもオルソン家の子供達は救急隊に救出された。気を失ってはいるが、大きな怪我はなさそうだった。早速、ノルウェーの救急病院に搬送され、入院となった。一方、オルソン家の両親は、なかなか見つけられなかった。転覆した避難用ボートの中に潜り込んで湖の上を漂っていたのだ。しかも二人とも隕石の衝突の際の怪我があり出血もしている。早い救出が望まれた。そこへスウェーデンの救助隊がボートで駆けつけた。ボートの櫂を器用に使い梃子の原理でひっくり返っている避難ボートを半回転させることに成功した。そこにはグッタリとしたオルソン家の夫婦が板につかまって浮かんでいた。急いでボートに乗せて応急手当てをしたのち、スウェーデンの病院へと搬送された。収容する病院は夫婦でバラバラになってしまったが、幸いにも一命を取り留めることができたのだ。気がついた時、夫の方は記憶を失っていた。また、妻の方は片足を失う結果となっており、心を閉ざしてしまっていた。共に、名前すら言えない状況となってしまい、夫の記憶が蘇るのに四年、妻の心が開き子供達のことを口にするようなるまで三年がかかってしまった。

 オルソン家の子供達は、さほど重症でもなかったが目覚めた時に両親がそばにいなかったため、ただただ、泣きじゃくっていた。何を聞いても答えられない。病院の看護師たちも時間が経って落ち着くのを待つしかなかった。

「ママー、ママー、ママー、怖いよー、ウッ、ウッ、ウッ」

「怖かったよねぇ。僕たちは兄弟なのかなぁ。お父さんとお母さんが見つかるまで、おばちゃんちに行こうか」

「ママがいいー、ママー、ママどこ」

「ママもねお怪我をしたからきっと病院にいるわよ。僕たちの怪我がよくなったら探しに行こうか」

「うん、探しに行くー」

 こうして、二人の幼い子供は、しばらくの間は、看護師の家で生活をすることになった。あっという間に三年が過ぎた。子供達は、ノルウェーの小学校に通い始めていた。母親がやっと自分を取り戻し、子供達を探し始めたというのが、病院のネットワーク上で流れてきた。二人の子供を預かっていた看護師からの連絡を受け、母親は子供を迎えに行った。すでに三年半の月日が流れていた。そして、親子三人でスウェーデンにある荒れた自宅に戻ったのだ。

「ねぇ、ママ。足どうしたの。パパはいないの」

「あの時の事故でママの足、無くなっちゃったの。だから二人ともママのお手伝いをお願いね。それでね、パパはずーっと違う世界にいたみたいなんだけどね、やっとママとあなたたち二人のことを思い出したんだって。来週、迎えに行こうね」

「うん、行こう。迎えに行こう。もう、別荘に行かなくてもいいから、みんなで一緒に暮らしたい。ママのお手伝いもちゃんとするから」

「私もー」

 こうして、予期せぬ事故に巻き込まれてしまった家族は四年という長い空白の期間を乗り越えて元の幸せな家族に戻りつつあった。事故で受けた傷は一生残るかもしれないが、家族の絆だけはより強くなったに違いない。

 了


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