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【SS 12月22日】冬至

【今日は何の日ショートショート】- 冬至

 2022年12月22日は冬至です。一年で最も夜が長い日となります。冬至の日は毎年微妙に変わる可能性があります。なので、12月22日が冬至というわけではなく2022年の場合は12月22日が当時に当たるということになります。
冬至は北半球では太陽の高さが一年で最も低くなる日であり、言い換えれば夜が一番長い日ということになる日です。地域によっていろんな風習も残っている日ということになります。また、冬至と連動した記念日も酒風呂の日や働く女性の日などが定義されているようです。


【SS】明けない夜

 冬至の日は、夜が一番長くなる日ということで、大人の日などと呼ばれたりする。長い夜をどう使うかは大人の人次第なのであろうが、昔の人は大いに議論する時間が作れる日という人もいたようである。読者の方はどんな想像をしましたか?

 誰もが知っているように、地球は自転と公転をしながら太陽の周りをある程度規則正しく周回している。微妙にズレが生じていることからある程度という表現を使わさせてもらった。もちろん、月の影響も受けている。そんな微妙な状態で宇宙空間に浮かんでいる美しい星が地球だ。いつ、何か不思議なことが突然起こったとしてもなんら不思議ではないのだ。しかし、人類は何も起こるはずがないと無意識に思って生活をしている。

 ところが、それは未来のある日突然やったきた。日本で夜が一番長い日になり、大人たちは早々に仕事を切り上げ、バーに集まりいろんな話をしていた。この日だけはエンドレスで議論する習慣がとある会社にはあった。そう、冬至の翌日は会社休日に設定されているのだ。だから、毎年変化する冬至の日を指折り数えながら、その日に備えていた。そして、まさに今日がその日なのである。会社の方針や研究内容、はたまた家庭環境や新しいアイデアに至るまでこの会社の社員たちは議論するのである。そして次の日は日が昇る頃帰って今度は家庭を大切にする1日を過ごすのが慣例となっていた。議論の終わりは、バーの小さい窓から差し込む太陽の光だった。朝日が差し込んできたら否応なく終了してみんな自宅に帰るのが暗黙のルールだったのだ。議論は白熱していた。何時間でも議論を続けられるようなエネルギーがバーの中には感じられていた。

 人々はななり疲れを感じていた。そして何かおかしいとも感じ始めていた。飲み干した酒の空き瓶が一年前と比べて倍近くになっているのだ。それに体が感じている疲弊感が半端じゃない。バーの隅っこでは耐えきれず横になっているものも半数もほど現れた。一人の男が叫んだ。

「今何時だ」

 実は、時計とスマホは店に入る時に「時間にとらわれない議論」のために全員のものをまとめてロッカーにしまってあった。だから一人一人は時間が分からない。そして、店員は全てアンドロイドなので疲れは感じない。そしてこの日だけは聞かれても時間を教えてはならないとプログラムされていたので、アンドロイドの誰も時間を口にできなかった。いったい何が起きているのか。バーの中はざわめき始めた。

 このバーは、地下10メートルのところに造られている。WiFiは中継されて届くがキャリアの電波は届かないようになっている。外の光は、地上から光ファイバーの束で光を届けるシステムになっていた。しかし、光ファイバーが設置されている小窓は全く光る気配がない。それまで陽気に飲んでいた全員が手に手にミネラルを取り、一気に飲み干していた。酔いを冷まそうとしているのだ。一人の男がロッカーに走った。そして全員の時計とスマホをとりだした。時計が差していた時間は、翌日の午前11時だった。体力の限界に近づいているはずだ。夜通し議論してもうすぐお昼なのだから。

 一人の男が言った。

「もしかしたら外は吹雪になっているんじゃないか。それで光が届かなかったんじゃないか。いや、きっとそうだろう」

 そこにいた全員がなるほど、そうかもと思い始めていた時。別な男がスマホを確認して大声をあげた。

「た、大変だ。地球の自転が止まった」

 しかし、誰も信用しない。大方まだアルコールが残っているんだろうくらいにしか思わなかった。バーの中からは大ブーイングが起こった。しかし、それも各自がスマホを手にした瞬間に水を打ったような静けさに変わった。

「ほ、本当だ。自転が止まった。昼と夜に分かれたみたいだ。日本は夜のエリアに入ってしまっているみたいだ。自転が止まるとどうなるんだったっけ」
「言いたくないけど、灼熱の昼と極寒の夜に分かれるから人類は存続できない環境に晒されることになると思う」

 一瞬の静寂を打ち消すように、誰かが声をあげた。

「やっぱり外を確認しよう。ここにいたままで生活できるわけでもないし家族も心配だ」
「そうだな。それは正しい判断だと思う」

 その後、全員揃って自転が止まり闇夜となった地上に昇っていった。それぞれが家族のことを心配しながら。。。そして地表近くになってスマホの電波が入るようになった時、一斉に大切な人に電をかけ始めた。全員がつながってホッとしていたが、電話の向こう側は恐怖の塊と化していた。

 数日は問題なく生活できるだろうと政府からの案内が出ていたようだ。しかし、その先は誰にも分からなかった。政府自体が混乱しているのが伝わってきた。

 人々は長い夜が開けてくれるのを手を合わせて祈るしか術はなかった。


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