3月22日 世界水の日 【SS】生きている水
日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。
【今日は何の日】- 世界水の日
1992年(平成4年)6月にブラジルのリオデジャネイロで開催された「地球サミット」(環境と開発に関する国連会議)の21世紀へ向けての行動計画「アジェンダ21」で提案され、国連で決定し、翌1993年(平成5年)から実施されている国際デーの一つ。英語表記は「World Day for Water」または「World Water Day」。水資源の開発・保全やアジェンダ21の勧告の実施に関して普及啓発を行う日。また、水の大切さや、きれいで安全な水を使用できるようにすることの重要性を世界中で考える日である。
日本では8月1日が「水の日」、水の日を初日とする8月1日~7日の一週間が「水の週間」となっており、水資源の貴重さ、水資源開発の重要性などについて考える期間となっている。そのため、この「世界水の日」は、世界的な観点からもう一度、水の貴重さ、大切さについて世界中の人々と一緒に見つめ直す「地球と水を考える日」としている。
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【SS】生きている水
海洋汚染がニュースなどで報道されるようになって久しい。各国でもいろんな活動が実施されているが、海洋汚染はなかなか無くならない。特にプラスチックによる汚染や船舶事故によるオイル漏れの被害などはまだまだ続いている。工場の排水による汚染はかなり減少しているはずだが反社会国家においてはどうなっているかは不明だ。最近は弾道ミサイルの発射実験などにより海中にその破片が散らばっている。全てが土に戻る素材であるとは思えないし、海の生物が食べてしまわないとも限らない。
水は黙って耐えてきた。きっと賢い人間は気づいて間違いを正してくれるに違いないと信じていたから。そして数百年の月日が流れた。最初の頃は豊かな生活を追い求めるために、人間は自分たちの生活を優先して水の存在を気にする事なく汚れたものを流しているのだろうと黙認していた。水はある程度流されたものに対して浄化する作用も持っていたのだ。人間やその他の動物が普通に生活するための排水であれば容易に浄化してやっていた。生きると言うことは陸上でも水中でも同じで大変なことであるということを解っていたので黙っていたのである。
しかし、人間がどんどん知恵を使って新しいものを生み出し、自然のものを使ってこれまでに存在しなかった物質を作り始めた頃から事態は変化し始めた。鉄や銅をそのまま使ったものなら、時間をかければ土に戻すことができた。だが、プラスティックという人間が作り出した物質は違った。いつまで経っても土に帰ることはない。しかも始末に悪いことは小さくなったプラスティックは海洋生物が間違えて食べてしまうことが多くなってきたのだ。地上に住む人間が作ったものによって、海の中の生物は攻撃され始めたのだった。
数百年も沈黙を守っていた「水」は次第に眠りから覚めるかのように怒りの感情を表現するようになってしまった。水がないと生物は生きていくことはできないということを一番理解しているのは人間のはずだったのに、その人間が一番水を汚しているということがずっと続いていることに対して、遂に激怒したのだった。水は人間に対して警告することを考えた。
「自分勝手な生き方を改めないと滅亡の道を辿ってしまうぞ」
そう人間たちに警告するために、世界中で津波を起こしたり、異常気象の暴風雨を起こしたり、ハリケーンを起こしたりした。その度に人間は局所的な対応を実施し、自分たちの生活を守ることばかり考え、破壊された場所の復旧に力を入れるばかりだった。もちろん壊された生活を元に戻すことは重要である。それは「水」も理解していた。
人間がその種を存続させるためには、自分たちのことばかり考えるのではなく地球規模で対応を考えなければならないのである。だが残念なことに、地球上の人間社会において国同士でいろんなことを話し合って進めるための国連という組織においても、大国の意見に左右されるようなコミュニティでしかない。いかに人間が利己主義的な存在であるかということを証明しているかのようだ。
「水」の怒りはまだまだ収まってはいない。人間が、早急に環境に対する改善策を打ち出して実行に移さない限り、地球上の水という水は連携して浄化するための活動を止めることはないだろう。
今、地球上の水は完全に一つとなり、雲の中の水蒸気、山に積もる雪、地面の下を流れる地下水、マグマに温められた温水、湖の水、海の水、川の水、そして人間が生活をする上で利用している上下水、さらには人間の中に保持されている水分に至るまで水という水が一つになり、人間に制裁を与えようと準備段階に入った。
雨垂れが一箇所の集まろうと尋常ではない動きをするような異常を見つけた時には手遅れになるかもしれない。もしかすると人間の体の中にある水分が他の水と一つになろうとして氾濫を起こしてしまうかもしれない。あなたの体から水が逃げ出してあなた自身が破壊されてしまう前に、これまでの人間が行なってきた態度を改め、水の大切さを認識しなければならない。そして地球上の人々が一つになって自分たちの都合で壊したり汚したりするような行為を早急に無くしていかなければならない。
そう、これは人間という種の連帯責任として「水」は考えているのだ。
水は穏やかで静かに流れていた時代を取り戻して、地球上の生命が安心して暮らしていけるようにしたいだけなのかもしれない。
了
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