7月20日 月面着陸の日 【SS】神への挑戦状
日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。
【今日は何の日】-月面着陸の日
1969年(昭和44年)のこの日、7月16日に打ち上げられたアメリカ有人宇宙飛行船「アポロ11号(Apollo 11)」が月面に着陸し、人類が初めて月面に降り立った。
月面に着陸したのは協定世界時(UTC)で7月20日20時17分であり、日本時間では7月21日5時17分。着陸地点は月面の「静かの海」と呼ばれる場所で、月面での滞在時間は21時間30分であった。
月面に降り立った最初の人物であるニール・アームストロング(Neil Armstrong、1930~2012年)船長は「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍である」(That's one small step for [a] man, one giant leap for mankind.)とのメッセージを地球に送った。
🌿過去投稿分の一覧はこちら👉 【今日は何の日SS】一覧目次
【SS】神への挑戦状
人類が初めて月に降り立った。遠い遠い過去のその時には大々的にテレビという媒体を通して映像が人類に届けられたと聞いている。重力の違いを映像を通して一般の人々も認識できたということだった。今となっては歴史を紐解くか、よっぽどの宇宙史好きでないと興味を引く出来事では無くなっている。
そんな宇宙空間の地球以外の星に人類が降り立ってから、すでに千五百年もの時間が経過し、地球上における生活や宇宙空間への進出も大きく変化してきた。現在では、地球上では異常気象の影響を受けないような住居を実現すべく、さまざまな研究が行われ、自然発火災害や水害、そして地震災害の研究が驚くほど進化し、ほとんど全ての自然現象を事前に検知し対応できるようになっている。人類の住居はほぼ全ての住居に重力制御装置の設置が義務付けられ、災害の発生予報と共に地上から浮き上がるような災害回避の機能が作動するようになっているため、災害による住宅被害はほとんど発生することはなくなった。合わせて、作物に関しても直接地上で栽培することはほとんどなくなり、ほぼ全ての野菜は建物内での水耕栽培に移行されプラント化してしまっているため、屋内生産が実現できている。また、畜産に関しては食用の家畜を育てるということ自体が無くなり、工場で人工的に食肉が作られるようになってきた。
人類の生活環境は、人類が月に着陸した頃には想像もできないような環境へと変化を遂げている。同時に人々の関心事も大きな変化を見せていた。現在では、人々の関心事は太陽の寿命に移っている。太陽が燃え尽きてしまうと人類も生存することが不可能になるということを認識しているため、太陽の正確な寿命を知りたいしそうなる前に対応策を決めておきたいと願うのは当たり前のことだった。
はるか昔から、太陽は「神」と同様の存在として扱われ続けてきた理由の一つに「近づくことができないから」ということがあったのだが、ここに来て、その課題に挑戦しようという研究も進んできている。課題となっているのは、太陽の表面温度が約六千度と推定されているのに対し、太陽の二千キロ上空では三百万度のコロナと呼ばれるガス帯になっているということだ。つまり、太陽の地表にたどり着くためには、三百万度のガス帯を潜り抜けなければならない。現在の地球上で人類が作り出した物体でこの高音に耐えられるものが存在しない。セラミック素材で過去は四千度程度までは耐えられる素材があり、それが現在では三万度程度までは耐えられるように進化してはいるものの、それでも太陽のコロナのガス帯は通過できない。
期待されているのは、時空を捻じ曲げて直接太陽の地表に物体を運んでしまう方法だ。しかし残念ながら現在の時空制御システムでは誤差が一万キロメートル程度を見越さなければならないため、太陽の表面から二千キロ上空にあるコロナ層の下を目標にすることが困難なのである。これまでも何度かは無人の宇宙船を送り込んではみたが、コロナ層に捕まってしまったり太陽の表面に激突したりしてしまい成功したことがなかった。もともと宇宙空間の広い場所をターゲットとして使うことを前提に時空制御システムは開発されていたため、研究者は頭を抱えてしまった。
そんな時、一人の科学者がとんでもないアイデアを出してきた。それは、高速で回転する船体を持つ宇宙船を作り、宇宙船の周りに冷却ガスを伴ったとてつもない風を巻き起こすというものだった。つまり宇宙船自体を台風の目のような存在にして、コロナの熱の影響を受けないようにして進むというアイデアだった。これには、周りの科学者も大きくうなづいた。更にこのアイデアを思いついた科学者は、船体を回転させるエネルギー源として太陽の熱を利用してしまおうというアイデアも出していた。他の科学者たちは盲点を突かれた思いだった。
「神への挑戦」というプロジェクトが開始された。最先端の技術を集め、耐熱も何とか三万度まで耐えられる特殊セラミックが完成し、熱を吸収して回転運動に変換する装置そのものも特殊セラミックエンジンで構造を単純化して何度も試作された。構造をシンプルにしないと熱には勝てないからだ。結果として太陽熱を受け、その温度が高ければ高いほど回転数が上がる構造を実現することができた。太陽熱を受ける板を取り付けたおもちゃの太陽風車というものがある。風がないのに太陽熱を受けて回るというものだ。この原理を使い、回転させて風を起こすという船体を開発したのだった。
人々の神への挑戦は今始まったばかりだ。果たして太陽の正確な寿命を知ることはできるのか。これから何世代もの研究者が研究を受け継ぎ、解明に向けて努力していくことだろう。人類の頭脳の進化は止まることなく未知の分野へと挑戦し続けていく。果たして挑戦し続けることが、神の領域を凌駕することになるのか、それとも自ら破滅の道を作っていくのか、それは誰にもわからない。
了
🙇🏻♂️お知らせ
中編以上の小説執筆に注力するため、コメントへのリプライや皆様のnoteへの訪問活動を抑制します。また、ショートショート以外の投稿も当面の間は抑制していきます。
🌿【照葉の小説】今日は何の日SS集 ← 記念日からの創作SSマガジン
↓↓↓ 文書で一覧になっている目次はこちらです ↓↓↓
いつも読んでいただきありがとうございます。
コメントも気軽に入れていただけるとうれしいです。
「てりは」のnoteへ初めての方は、こちらのホテルへもお越しください。
🌿サイトマップ-異次元ホテル照葉
#ショートショート #創作 #小説 #フィクション #今日は何の日ショートショート #今日は何の日 #掌編小説 #超短編小説
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければチップによるご支援をお願いします。皆さんに提供できるものは「経験」と「創造」のみですが、小説やエッセイにしてあなたにお届けしたいと思っています。いただいたチップは創作活動費用として使わせていただきます。