【SS 12月21日】遠距離恋愛の日
【今日は何の日ショートショート】- 遠距離恋愛の日
なんともロマンチックな記念日ですね。
ただ、どこかに記載されている記念日かというとそうでは無いらしい。
FM長野の大岩堅一アナウンサーが提唱した記念日ということになっているが、それ以前に女子高校生たちが一つの都市伝説として噂していたものが広まったという説もあるようだ。
日付は「1221」の両側の「1」が1人を、中の「22」が近付いた2人を表しているということで、12月21日となったらしい。遠距離恋愛をしている恋人たちにエールを送る日だったり、遠距離恋愛中の恋人同士が、「クリスマス」前に会ってお互いの愛を確かめ合う日とされている。遠距離恋愛の定義自体は曖昧だが、その定義は皆さんの心の中で探ってほしい。
【SS】遠距離恋愛の過去現在未来
昔から遠距離恋愛は存在していた。まだ、携帯電話もない時代には、愛おしさを胸に秘めながら相手を想い、気持ちを文字にしたため、手紙を書いてポストに入れる。そして、その返事を首を長くして待つ。そんな糸よりも細いつながりをお互いに信じて、相手からの手紙を待っていた。愛し合っている二人は、いつか一緒になれる日がくると信じて、絶えることのない手紙のやり取りを続けていた。時には百円玉をたくさん握りしめ、公衆電話に走り、愛する人の家の電話にダイヤルする。時間が止まればいいのに思う心と裏腹に、無情にも百円玉は公衆電話に吸い込まれていく。言いたいことも言えず時間だけが過ぎ、無言の時間にお金を費やすことも多かったピュアな時代だった。
それから五十年が経過した現在はどうなっているのだろうか。愛し合う若い二人の間は距離こそ離れてはいるものの、毎日のラインとライン電話によるお互いの相手の表情をみながらの電話がごく当たり前のように行われている。昔と違い、一家に一台の電話ではなくみんなが携帯を持っている。現代では、離れてはいても、直接顔を見て話をするということと同じことが実現できているのだ。このことは離れていることのデメリットをテクノロジーが消し去ったともいえる。人は顔を見て話ができると安心するのである。しかも、現代では物理的な移動手段も昔に比べ飛躍的に短時間で長距離を移動できるようになっている。遠距離恋愛だとしてもコストをかければ飛行機や新幹線という選択肢まであるので国内であれば会いにいくことも可能になっているのだ。
現在から更に五十年が経過するとどうなっているのだろう。未来が見えるスコープを使って覗いてみよう。
現在でもできないことは、遠距離恋愛中の二人は、思い立った時、すぐに会うことができないということだ。交通手段は発達していたが、すぐにというわけにはいかない。流石に瞬間移動は実現できていないのだ。例えば夜中に急に寂しくなり隣にいてほしいと思っても、それは叶わないのだ。しかし、未来の遠距離恋愛中の二人の間では、それが可能になっている。未来では、瞬間移動は無理だが、直接会えない二人の代わりにそれぞれのアバターがそれぞれに直接会えるようになっている世界がスマホの拡張機能として実現しているのだ。しかも触覚センサーまで備えている。いったいどういうことだろうか。それは、アバターが相手に触れるとまるで自分で触れているように感じることが出来るということだ。アバターが優しくキスをすれば自分の唇にその感触を感じられるのだ。素晴らしい技術の進歩だった。遠距離恋愛のデメリットが克服され、人々は喜んでいる。これが未来の遠距離恋愛の姿なのだ。
未来においては、遠距離のまま結婚してしまうカップルが増え続けた。結果として子供の誕生が極端に少なくなり、日本は存続が危ぶまれるようになってしまった。やはり、愛し合う二人は物理的に同じ場所にいた方がいいようである。
了
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