4月23日 世界図書・著作権デー 【SS】文字が作った性格
日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。
【今日は何の日】- 世界図書・著作権デー
国際デーの一つ。「世界図書・著作権デー」の英語表記は「World Book and Copyright Day」。
スペインからの提案に基づき、1995年(平成7年)11月の国際連合教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の総会で採択され、翌1996年(平成8年)から実施している。「世界本の日」(World Book Day)とも呼ばれる。
この日はスペインで伝統的に「本の日」として祝われる「サン・ジョルディの日」であり、また、『ドン・キホーテ』の作者であるスペインのミゲル・セルバンテス、イギリスの劇作家であるウィリアム・シェイクスピアなど多くの文筆家の誕生日や命日であることにちなむものである。
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【SS】文字が作った性格
僕は有本好男、本が大好きな大学生である。本は大好きなのだが、人と話をすることが苦手なので、あまり外には出ない。コンビニでの注文ですら恥ずかしくて声が小さくなってしまうくらいだ。そんな僕でも本を読んでいる時は、独特の世界観の中に引っ張り込まれて心地よくなれるので大好きなのだ。大抵のジャンルの本は読むのだが、ホラーは後々夢を見るので自分から読みたいとは思わないのだが、ネット上でおすすめ度が高いとどうしても手を出してしまう。そして後悔する。いつもそんなことを繰り返している。
ホラーと違い、推理小説はほとんどの小説が最後には問題解決してくれるので安心して読了することができるので好きだ。ただ、時々解決しないまま読者の判断に委ねる形の終わり方の小説もあって、その場合はモヤモヤ感が数日残る。それはそれで、僕自身の頭の中で新しいストーリーを考えることができるので別な楽しみをもらったような気になる時もあるので面白い。
一方、恋愛小説みたいな内容は、経験が少ない僕には刺激的過ぎて読んでいるだけで恥ずかしくなってしまう。このままだときっと実世界での恋なんてもっともっと先なのかなぁと思ってしまう。でもハッピーエンドの恋愛小説は終わった瞬間に幸せのお裾分けをもらった感覚になるので心の色がピンクになるかな。でも、そうじゃない終わり方の小説の場合は、寂しさだったり、悲しさだったり、登場人物に文句をいってやりたい衝動に駆られ数日間はぶつける先のない怒りのようなものを抱えてしまうこともある。
いろんな本を読んで、その世界に入り現実に戻って来た時には、本の世界で強烈に影響を受けた内容によって読み終えた後の数日間を征服されてしまう。しかし、それを楽しみにしている自分がいることも事実だ。文字が持っている力を一番感じる時である。もちろん、読み進んでいる時に感情を揺さぶられるのだが、読み終えた時の余韻の振れ幅が本によって異なるものだと僕は感じている。まるで麻薬中毒者のように取り憑かれているみたいだ。でも、数日するとまた新しい世界に入りたくなる。そして、最近は読むだけでなく、自分であたらしい世界を綴りたくなってきている。
これまでの読書というインプットに対し、経験のない僕がアウトプットする手段は、これまでに本から得られた知識の応用であり、その続きは空想である。でもそんなことができるのも学生のうちかなぁと思いながら、自分なりに文章を綴っていたはずなのだが、気がついてみると学生の時代はとっくに終わり、傍には寝息を立てている息子がいる。思えば不思議なものだ。ちゃんと仕事が見つかるのだろうかとか自分を好きになってくれる女性は現れるのだろうかと思っていたことが遠い過去のように感じている。
文章を綴ることで、いつしか自分の性格の良いところと悪いところを自分自身で把握できるようになっていたようだ。とても自分から話しかけられないとか、面接では相手の顔を見れないと思っていたはずなのに、そんな場面を文章に綴り小説にしたことで、知らないうちにバーチャルで練習ができ、自分自身の身にスキルとしていつの間にか定着していたのかもしれない。面接では「あなたは堂々とした対応ができる方ですね」と言われたことが今でも不思議でならない。最も、今では自分から知らない人の輪に入っていくようになっているみたいなので、隠れていた性格が表に出たのかなとも思っている。
僕の性格は、全て読書によって形成されていったのかもしれない。そしてそれが表に出てくるようになったのは自ら文章を綴り始めた頃からだったような気もしている。そう考えると僕の性格は文字によって作られたといってもいいのではないかと思うくらいだ。読むことから始まり、そして書く世界を知ることで人は成長できるのだと自分を振り返って思っている。横で寝息を立てているこの子も本を読むようになってくれるといいなと密かに思ってはいるが、今の時代だとゲーム三昧になってしまうのかなとも思ったりしている。どうしても視覚からの刺激の方が楽しいのだからある程度は仕方ないかもしれない。でも、もう少ししたら絵本を買って読んでやることも忘れずにしようと考えている。この子の将来のためにも。
媒体は紙から電子化へとどんどん変わっていくのだろうが、感性を刺激し、いい意味で性格を補正していくために読書は最適であるような気がする。そしてその合間に、ドラマや映画のように視覚からの刺激を受けるのがいいと思っているのだが、世の中の進化により映像が溢れかえっている時代に突入しているので、文字だけの世界は敬遠されていくのかもしれないなとも思ったりしている。アニメ、ドラマ、映画もそれぞれいいところがあるのだが、文字だけで読者に映像を提供できる表現ができることは素晴らしいことだと思っている。文章からは読解力に加え想像する力が鍛えられると思っている。これからも多くの素晴らしい文章が世の中に溢れ出て巡り会えるといいと思っているし、その一つに僕自身の文章が加わるようになりたい。
了
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