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4月21日 創造性とイノベーションの世界デー 【SS】創造性を育てる

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 創造性とイノベーションの世界デー

2017年(平成29年)4月の国連総会で制定。国際デーの一つ。英語表記は「World Creativity and Innovation Day:WCID」。

「持続可能な開発」の実施や問題解決における創造性とイノベーションの役割についての意識を高めるための日である。


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【SS】創造性を育てる

「はーい、皆さーん。この写真をみて何を感じますか〜」

 ある小学校での授業の一コマである。先生は、田舎の寂れた町の写真を子供達に見せている。写真には、人が歩いていない小さな商店街が写っていて、商店街の背景には緑豊かな山々が写っている。子供達は口々にいろんなことを言っている。

「誰もいないからおばけの街」

「閉店ガラガラー」

「みんなでかくれんぼしてるー」

「うしろの山に登りたーい。山が大好きだから」

「これ、CG? そうじゃないなら住んでる人かわいそう」

「お店の定休日じゃないの。だって半分くらいシャッター閉まってるし」

「いろんな意見が出ましたねー。ふざけてる子もいるみたいだけどね〜。これは周りに住んでいる人たちが少なくなって、お店が集まっている場所には誰も買い物に来なくなってしまった商店街の写真です。みんなが生まれる前までは人がいっぱいで歩けないほど混雑していました。でも、車でちょっと行ったところに大きなショッピングセンターができたから、みんなそっちに買い物に行ってしまうようになったんです」

先生は、写真をもとに過疎化してしまった地方の街の今後について考えさせたいようだ。クラスにいる子供達はみんな都会育ちなので、写真だけではピンと来ない。それで先生はこの後いろんな質問をして子供達の興味を惹きつけ、子供たち自身で対応策を考えるように仕向けていった。先生は決して道を作らずに、子供達だけで意見を交わすことを見守り、時々声の大きい子だけの意見になびいてしまいそうな時だけ少し軌道修正をしていた。

 この時、「これ、CG?」と発言したのは、町中未来まちなかみらいという男の子だった。未来はこの時の授業のことを忘れることなく、中学、高校を過ごし大学生になっていた。学部は環境学部。小学生の時の授業を忘れられなくて、サスティナブルな社会環境を考え、過疎化していく地域の活性化も同時に考えたいと考えるようになっていたのだ。

 大学の授業では、自然環境や社会環境、そして循環型環境に至るまで幅広く学んでいた。未来はいつも考えていた。地球という環境で生かされている人間社会であるのに、都会と地方での生活習慣の格差が広がることを。住民の年齢構成に極端な歪みが生じ、それまでの社会環境を維持できなくなり、その結果として過疎化が進んだり、商店街の老朽化が進んだりすることを何とかしたかった。

 唯一都会も地方も関係なく実施できる環境は、ネット環境だった。もちろん、スピードの差は生じてしまうかも知れないが、バーチャル空間での活動には地域差は生じない。何とかネット環境をうまく利用して地域の活性化に繋げられないのだろうかと未来は考え始めていた。どんなお年寄りでもテレビは見るのに、ネット環境にはなかなか手を出さないということもひっかかっていた。なぜなんだろう。操作しなければならないからだろうと未来は仮説を立てていた。未来の実家は山梨のぶどう農家だ。おじいちゃんがまだ頑張って働いている。夏休みに帰った時に、聞いてみた。

「おじいちゃん、おじいちゃんは何でインターネット使わないの」

「あー、そんなもん使わんでも困らんからのう。もう、この年で新しいことは覚えられん」

「そっかー、でもテレビのリモコンは使えるし、電話も使えるよね」

「そりゃあ、もう何十年も使うとるでな。使えるのが当たり前じゃ」

 未来は、この会話で一つのヒントを得たように感じていた。歳をとった人たちはこれまで続けてきた仕事や生活パターンには自信を持っている。ただ、それは同年代だったり同じ場所で生活している人たちの間でだけ共有できるものなのだと感じた。だから若い世代が都会へ出て行っても残された人たちだけで若者の分までの知識吸収や対応はできず、町や村の機能が少しずつ失われていき寂れてしまうのだと考えた。

 そんな年齢構成の歪みを生じた場所であるのなら、歪みの補正手段を考えるべきである。各地でよく実施されている町おこしイベントがこのことだったのだ。しかし、いったん呼び込んだ若者層が定住するか、定期的に循環するかして日々の活動の中で常に良い状態の年齢構成を保つには、どうすれば良いのだろうというところで考えが行き詰まった。

 大学生時代も残りわずかとなり、就職も気になり始めていた。しかし、小学生の時からのモヤモヤをなんとかして解決したいという気持ちが消えていなかった。未来は決心した。現在実施されている施策を融合して提案することをしたのだ。もし、受け入れてくれる市町村があれば、起業することを視野に入れていた。

 町中未来が提案する施策とは、こうだ。

「ローカルの発展を推進するためには、欠けている年齢層の参画が必須である。しかし、一ヶ所の地に縛りつける施策であってはならない。結局何十年後かには同じ問題を引き起こすからである。そのため、複数の自治体と協力して住まいと仕事をローテーションできる仕組みを構築する。希望者は数ヶ所の住み心地や仕事を体験できるというものだ。住まいに関しては、シェアハウスの新設、古民家の再利用、アパートの再利用などを流用する。そして、地域の食を学んでもらうために、地元の婦人会で食事サービスを実施する。具体的には、予約制で地元の食材の食事を配送するというものだ。配送を担当するのは、新しく住んでもらう人が担う。リモートオフィスで仕事が継続できる人に対しては、そのまま継続できる環境を提供し、職がない人には地元の農業や漁業を斡旋する。どちらかといえば後者の希望者を多く集めたい。募集は全てSNS上で実施することとし、コストをかけない。最終的には住民の年齢層を是正し、地産地消の活動を目指し地域の活性化を維持することを実現していく」

 こんな内容を多くの市町村に打診した。全ては既存のアイデアの集まりなので、予算がつけばできない話ではない。果たして各自治体がどう判断をするかが今後の楽しみでもあり、町中未来の未来も左右することになるだろう。



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