10月19日 洗濯を楽しむ日 【SS】役割分担
日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。
【今日は何の日】- 洗濯を楽しむ日
大阪府門真市に本社を置き、洗濯機や衣類乾燥機などの生活家電を製造・販売するパナソニック株式会社のランドリー・クリーナー事業部が制定。
日付は10月19日を「1019」として「せん(1000)とく(19)=たく」(洗濯)と読む語呂合わせから。
秋晴れの季節であり、気温・湿度ともに洗濯日和になりやすいこの時期に、単なる家事労働の軽減ではなく、積極的に「洗濯・乾燥」などを楽しめる日とするのが目的。
体育祭や文化祭などの学校行事で汚れた洗濯物を新しい洗濯機で気持ちよく洗ってもらいたいとの願いも込められている。記念日は2020年(令和2年)に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。
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【SS】役割分担
「お疲れ様〜、やっと式も終わって二人きりになれたね。サトシと結婚できて本当に良かった。幸せな家庭を築こうね」
「そうだね。僕もサトミと一緒になれて良かったよ。名前が似ているっていうことで知り合ったけど、まさか一緒になるなんてさ。運命ってあるんだな」
サトシとサトミは、今日結婚式を挙げ、友人との二次会も終わり、今横浜のホテルに戻ってきたところだ。明日の朝には成田まで移動して新婚旅行へと出発する。行き先は、二人で決めたオーストラリアのゴールドコースト。結婚前に一度マリンスポーツが大好きな二人で旅行した場所でもある。結婚前に行った時、新婚旅行でもう一度行こうと約束していたのだ。そんな楽しい新婚旅行を終え、これからは日々の現実と向き合うことになる二人は、横浜の新しいマンションで部屋の片付けをしながら今後のことについて話し合いを始めていた。切り出したのはサトミだ。
「ねぇ、サトシ。私たちは共働きだから共に仕事で忙しい時もあるじゃない。だから、今後の二人の大切なこの空間での家事というものも二人でなんとかこなしていくルールを決めておかない? だって、家の中のことでサトシと喧嘩なんかしたくないから」
「なるほど。そうだね、それはいい考えだと思うよ」
「でしょ。でね、考えたんだ。生活費の分担と家事の分担。まず生活費は、私とサトシだとやっぱりサトシの方がお給料は多いから、その分多めに負担してもらいたいの。だから、電気代と水道代、ローンの支払いの七割をサトシが負担。ガス代と食費は私が負担するけど、たまの外食の時はサトシ負担。問題は家事なのよね〜。料理、掃除、洗濯があるけど、毎日当番制も面倒だから、どれかをサトシに担当してもらいたいなぁと思ってるんだけど、どれがいい?」
サトシは中々しっかりしてるなと思いながら、最も手間がかからないのはどれだろうとサトシなりに考えた。
『料理は、まずできないから無理だし、後片付けは特に面倒くさそうだ。で、掃除はハウスダスト・アレルギーだからいやだし、フローリングの掃除とかトイレ掃除とかいやだなぁ。だとすると、洗濯が一番楽そうだな。洗濯機に放り込んで仕舞えばいいしな。我が家の洗濯機は洗剤も自動投入機能がついているから、きっと手間いらずだ。よし、決めた』
ひとしきり腕組みをしながら考えていたサトシは、サトミに言った。
「僕は、洗濯担当になるよ。だって、料理はサトミの方が全然上手だし、綺麗好きのサトミには掃除も負けるだろうからね」
「うーん、そうよね。じゃあ、洗濯担当はサトシね。あっ、お風呂の残り湯を使って洗濯するからバスルームの掃除だけはサトシだね。それから、夜のゴミ捨ては怖いからサトシお願い」
「あ、あぁ、わかった」
こうして役割と費用負担の割合も決定し新婚生活は始まった。何となく仕組まれたかなと感じながらもとりあえず役割は決まった。毎朝、サトミが作る朝食を食べて一緒に出勤する毎日が始まったのだ。洗濯担当になったサトシは最初のうちは干し方とか畳み方を細かく注意されていたが、慣れてくれば几帳面なサトシは全てを率なくこなす様になっていてサトミも満足そうだった。数ヶ月が経過した頃、宅配便でお掃除ロボットが届いた。なんと拭き掃除にまで対応できる優れものだ。これで、会社に行っている間に掃除ができるとサトミは満面の笑みを浮かべながら開梱していた。翌月には、強力な空気清浄機が部屋数の分だけ届いた。サトミは言った。
「やっぱりお部屋の空気や宙に舞っている小さな埃は体に良くないから、高性能の空気清浄機を注文しておいたの。これは、折半で払いましょうね」
この後、サトミはほとんど掃除をしなくなっていたのだが、ロボット掃除機と空気清浄機のおかげで、部屋の中は綺麗さを維持できていた。そして、さらに数ヶ月経った頃、サトミは自らの計画を次の段階に移行し始めた。
「ねぇ、毎朝の食事って結構時間もかかるし食材も必要なのよね。これならドトールとかスタバとかコメダで一緒に朝食を摂った方が安上がりだと思うの。デートみたいな気分にもなれるし。会社の側で朝食を摂るようにしない」
「あぁ、なるほど。そうすれば朝はちょっとだけゆっくりできそうだな。そうしようか」
こうして、二人は毎朝の朝食は外食へと自然な流れで切り替わった。休日になると、大抵ショッピングモールやドライブに出かけるので、二人の生活から自宅での朝食はほぼ姿を消してしまった。変わらないのは洗濯の量だけだった。まだ、サトシは家事の分担と費用の分担が大きく変化していることに気が付いてはいなかった。
几帳面ではあるが、身の回りのこととなるとルーズだったサトシは自分の銀行口座からの出費が結婚当初と比べるとかなり増加していることにやっと気が付いた。外食が増えたことによる負担増と電気製品が増加して電気料金もいつの間にか跳ね上がっていたのだ。サトシは遅まきながらやっと気づいた。
「サトミ、あのさ〜、役割分担ってもしかして最初から計画的だったんじゃないか」
「あちゃー、バレちゃったか。でもそれで揉め事は起きてないんだから、目的は達成しているでしょ、これからもよろしくね。今日はさー、どこか美味しいレストランに行かない? 報告したいことがあるの」
結婚した当初からサトミの敷いたレールの上を走っているサトシは、すでにそのレールから外れる生き方はできなくなっていたようだ。まぁ、二人が幸せならそれでもいいのかもしれないし、これから家族が増えるかもしれないしね。
了
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