2月2日 交番設置記念日 【SS】不審者です
【今日は何の日】- 交番設置記念日
もともとは、警察署から警察官が出動して交差点などで活動することが始まったが、建物はなかった。それが、1881年2月2日に、警察署の管内に7つの「交番」
を設置することが定められ、順次「交番」が作られていった。
建物としては、1874年に警視庁が設置した「交番所」というものが世界でも最初だった。制度発足後、警察官が詰める場所ということで「派出所」や警察官が居住する「駐在所」と呼ばれていたが国際的にも通用するということで1994年に名称が「交番(KOBAN)」に統一された。
そういえば、アニメでは「亀有公園前派出所」がありましたね。
【SS】不審者です
二世帯で生活している一戸建ての家が閑静な分譲住宅街にあった。住んでいるのは、祖父母、両親、姉妹の六人家族。姉妹の姉のほうは「まゆみ」という名で去年大学を卒業して社会人となっていた。妹はまだ大学生で「さおり」という。
分譲住宅街ということで、かなり多くの一戸建てが整然と区画整理された場所に立ち並んでいるのだが、商店やスーパーなどの商業施設がないため、日が沈むとところどころに設置されている街頭の明かりと、各家庭から漏れる灯りだけとなり、夜の一人歩きにはちょっと怖いような場所だった。駅からは歩いて帰ると二十分ほどかかってしまう。
まゆみも仕事でかなり遅くなる時は、駅から電話をして母親に迎えにきてもらうのだが、日暮から日没直後程度だと暗くはなるがまだ時間的には早いので一人で歩いて帰ることがほとんどだ。妹のさおりは、大学でサークルにも入っていないので毎日割と早く帰ってくる。そんな日常だが、日が沈むのが早くなり始めた冬にまゆみは異変を感じ始めた。
遅くなる日は、毎日では無いのだが、母親に迎えに来てもらわない日に限って、誰かが後ろについている様な気がし始めたのだ。なんとなく距離を置いて後ろから誰かがついてくる気配を感じていたのである。ほぼ一ヶ月くらい前から。家が近づくに従って周りが暗くなるので、まゆみはだんだん怖くなっていたのである。
ある日、遅くなった日にまゆみは意を決して駅前の交番に寄って「不審者につけられている様で怖いんです」と訴えた。警官はまゆみの訴えを聞き、距離を置いて後ろから着いていくことを約束してくれた。まゆみは少し安心して、いつもの様に家に向かって歩き出した。帰り道の途中にある公園の横を通って自宅に向かっていると、公園を過ぎたあたりからやはり後ろに人の気配を感じていた。ポケットからそっとスマホを出して、警官に連絡をした。
「今、後ろから付けられている様な気がします」
すると、二十メートルほど後ろで警官が誰かを捕まえている声が聞こえた。まゆみは怖くなり足早に自宅に向かった。久しぶりに恐怖に襲われ玄関に着いた時には結構息切れしていた。そのまま玄関を抜けて入りリビングに上がって行った。恐怖体験を早く話そうと思ったのだ。キッチンで夕飯の準備をしていた母親にまゆみは話し始めた。
「最近ね、帰りが遅い時につけられている感じがしてたのよ。それでね、今日、駅前の交番によってお巡りさんにつけられているみたいって言ったら、尾行してくれて誰かを捕まえてくれたみたい。もう、私怖かったー」
「えっ、それっておじいちゃんじゃないかしら」
「は、おじいちゃん、なんで」
「いつもまゆみがこれから帰るって連絡をくれるでしょ。でもお父さんも遅くてまだ帰ってないから、おじいちゃんがこっそりボディガードしてやるって言って、公園あたりで待ってたと思うんだけど。でもまゆみに気づかれると恥ずかしいから後ろからついて帰ってくるよって言って出かけて行ったわよ」
その時「ピンポーン」と玄関のチャイムがなった。
「駅前交番のものですが、こちらの住人だと言って聞かない男性がいるのですが、確認いただいてもいいでしょうか」
まゆみは母親に促されて玄関に行った。
「あー、おじいちゃん。ごめんなさーい。私知らなかったから怖くてお巡りさんに頼んじゃったのよー。今、お母さんから聞いたの。ごめんなさい。ごめんなさい。あっあっ、お巡りさん、この人、私のおじいちゃんです。すいません。私の勘違いだったみたいです」
警官と捕まえられているおじいちゃんの二人とも罰が悪そうになっていた。
「そうですか。わかりました。でも何事もなくてよかったです。では本官はここで失礼します。あとはご家族で解決してください」
「ありがとうございました。ご迷惑をおかけしました。おじいちゃん、早く中に入って」
こうして事なきを得たまゆみだったが、一応、確認のために祖父に聞いていた。
「おじいちゃん、いつから私のうしろをついて歩いていたの」
「ああ、心配だったからなぁ。先週からだよ。外が暗くなって来たしね。今日で二回目だったんだけど、こんな目に遭うならまゆみに声を掛ければよかったなぁ」
「えっ、今日で二回目だったの」
安心していたまゆみは新しい恐怖を覚えたのだった。
了
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