【SS 12月27日】浅草仲見世記念日
【今日は何の日ショートショート】- 浅草仲見世記念日
1885年(明治18年)のこの日、東京・浅草の浅草寺への参道にある「仲見世」が新装開業した。観光名物の提灯がある雷門から浅草寺へと続く参道の両脇にずらりと並んだ商店の集まりである。個性的な店が並び、観光客の人気となっている。日本で最も古い商店街の一つである。
【SS】店同士の争い
お寺へと続く参道にはずらりと店が並んでいた。大半は土産物の店だが、団子だったり、着物だったり、いろんな店が並んで商売をしていた。ところが、ある時、そんな店の一つの主人が病に倒れ、亡くなってしまったのだ。身寄りのない男だったため、店の権利を誰にも譲ることができないまま逝ってしまった。
時の奉行所は、その店の権利を競売にかけることにした。そして見事に落札したのは米の卸問屋「米蔵屋(こめぐらや)」だった。この米蔵屋は地元のごろつきを雇い悪どい商売をすることで有名だった。困っている人を見つけては米を与え長きにわたり金銭を代金と称して要求していたのだ。高利貸しより始末に悪いかもしれない。返済しないものに対しては強制労働を強いて米代金の回収をしていた。そんな米蔵屋が出店の権利を手に入れたものだから、他の店の主人たちはこぞって猛反発し始めた。
しかしそんなことで怯む米蔵屋ではない。人が集まる立地の良い場所での商売を簡単に諦めるはずもなかった。日頃から雇っているごろつきを集め、他の店の主人たちの住まいに向かわせ、嫌がらせを始めた。それも予告して何度も何度も押しかけるというものだった。
時の奉行所は取り締まりに全く動く気配がない。それもそのはず、米蔵屋は裏金をたっぷり奉行所に渡していたし、定期的に米の寄付までしていたのだ。そのことを知った参道の店の主人たちは、途方に暮れてしまい。みんなでお賽銭を持って真夜中に集まり、お寺にお参りに行った。総勢八十三名が集まり真夜中の異様な光景だった。
お参りをしているとどこからともなく霊たちが集まってきた。店の主人たちは最初驚いたが、それが自分たちの先祖の霊だとわかり、両手を擦り合わせて「何とか我々を助けてください。この参道の店を汚すような店を出させないでください」と口々にお願いした。すると、霊の中の一人が大きく頷いてニコッと微笑んだと思うと全ての霊が消えていった。
その後夜明け前になり、米蔵屋の寝所では騒ぎが起こっていた。先ほど集まった霊たちが全員、米蔵屋の寝所に押しかけていたのだ。そして襲い掛からんとばかりに、霊たちは口々につぶやいていた。
「参道から手を引け。そうしないと毎日来てやるぞ〜。うらめしや〜」
米蔵屋の主人は、霊が相手ではごろつきも役に立たない。毎日こられては自分の方が気が触れてしまいそうだと思い、参道の店の権利を二束三文で手放した。その後、店の権利を手に入れた若いかんざし職人がかんざし店を開業した。
参道の商店街に平和が戻り、いつも通りの賑わいが戻ってきた。かんざし店の主人となった若者は参道の商店街に打ち解け、若い嫁さんとともに末長く幸せに暮らしたそうだ。
了
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