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8月18日 約束の日 【SS】未来を誓う

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 約束の日

大阪府大阪市中央区に本社を置き、情報メディアサイト「保険市場」を運営する株式会社アドバンスクリエイトが制定。

日付は「保険市場」と芸人の鉄拳とのコラボレートで誕生したパラパラ漫画「約束」が、2013年(平成25年)8月18日に動画サイトYouTubeで配信を開始したことから。パラパラ漫画「約束」は、家族の大切さをストレートに表現し、家族愛・絆から交わされる「約束」を描いた感動的な作品で、Web掲載やテレビ放映などで大きな話題となった。記念日は一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。


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【SS】未来を誓う

 生まれた年が同じで、しかも近所同士で育った仲のいい男女がいた。周りには同い年の子がいなかったこともあり、家族ぐるみで仲良くしていた。お互いに一人っ子で、男の子は守、女の子は亜里沙という名前だった。

「ねぇ、守くん。大きくなったら私のお婿さんにしてあげるね」

「亜里沙ちゃん、それを言うなら『お嫁さんにして』だろ」

「違うもん、守くんは、亜里沙のことを好きだから、お婿さんにしてあげるの」

「うーん、まぁ、いいか。確かに亜里沙ちゃんのことは好きだから。お婿さんにしてもらおうかな」

「うん、約束だからね。嘘ついたら針千本だからね」

「うん、約束した」

 二人にとっては、小学生のときの淡い思い出ではあったが、その時は真剣に思っていたことであり、固い約束だと信じていた。そして、そのまま同じ中学校に通うようになり、二人は誰の目もはばかることなく付き合い始めていた。ごく自然な流れのように周りも見ていたし、お互いの家族もそう見ていた。そして、そのまま進学校の高校へ二人共進学し、毎日仲良く自転車通学するようになった。最も、クラブ活動は別々になってしまったので、一緒に帰ることは少なくなっていたが、週末には、一緒に勉強したりデートしたりと、とても仲のいい二人には変わりなかった。高校二年生になると、お互いに進路のことについても話をするようになり大学も同じところに行こうと話をし、お互いの親の負担も考え、できるだけ近い場所の大学を選ぼうとしていた。

 ところが、高校三年生になった途端、守の家庭で問題が発生した。守の両親はスポーツ用品店を営んでいたのだが、近くにできたショッピングモールの影響を受け、客足が遠のき手形を決済できない状況に陥り、倒産してしまったのだ。あっという間の出来事だった。両親は成すすべもなく、銀行による差し押さえを受け入れざるを得なかった。すべての財産を失った。守も進学どころの騒ぎではないと観念した。亜里沙と離れ離れになるのは心苦しかったが、そんなことを言っている場合ではないことは察していた。守の両親は、申し訳無さそうに守に話をした。

「守。申し訳ない。私達はなんとかゼロからもう一度やり直すつもりだ。しかし、お前には大学に行ってもらいたい。ただ、私達にはそんな財力がない。それで、アメリカに行っているお前のおじさんに助けてもらうことにしたんだ。守だけならなんとかアメリカで大学に行かせてやると言ってくれているんだ。幸い、お前は英語ができるから、一人でおじさんのところに行って進学してくれないか」

 あまりにも想定外の話でびっくりしたのだが、守は反論することもなく、承諾して、アメリカの高校への編入手続きを実施してもらった。いわゆる留学みたいなものだ。こうして、亜里沙にサヨナラも言えずに、守は一人で日本を飛び立った。そして、守の両親は夜逃げするかのように忽然と街から姿を消した。渡米した守は過去をすべて忘れるかのように勉学に励んだ。彼女すら作ることなく、弁護士を目指して勉強した。卒業したら、日本に戻り両親と共に暮らしたいという目標も持っていたからだ。そんな時、守を経済的に支援してくれたおじさんから話が来た。

「守くん。実は娘のサリーが君のことを好きでたまらないそうだ。大学を出たら、嫁にもらってはくれないだろうか」

 サリーの気持ちには守も気がついていた。ただし、あまりにも奔放な性格なので自ら近づくことはしていなかった。しかし、五年間に渡る恩を考えると嫌とは言えなかった。自分の意志とは反して世の中は動くものである。大学を卒業後、サリーと結婚式をあげ、夫婦二人で日本に帰ってきたのだった。

 一方、亜里沙は急に居なくなった守を心配はしたものの、亜里沙の両親も何も知らない。なにより、守が住んでいた店舗兼自宅は取り壊され、更地になり売りに出されてしまっているのを見て、どうしようもないことが起きたのだということはわかったものの、どうすることもできず、そのまま大学に進学した。そして、守のことを忘れるかのように勉強とクラブ活動に打ち込んだ。頭の中から守を追い出すために、登山部に入って月に一度の登山も楽しむようになっていた。最初の頃は、守からの連絡を待ってはいたが、時の流れは怖いものである。すべてを忘れてしまった。そんなとき、冬山登山で、先輩男性と二人で雪山の斜面を滑落してしまい、救援を待つしかない状態に陥ってしまった。緊急事態のときの緊張は愛だと勘違いしてしまうことがあるらしい。亜里沙も例外ではなかった。雪の中で一夜を過ごさなければならない状況に陥り、先輩男性と肌を合わせてお互いの体を温めた。当然二人は一つになってしまったのだ。大学卒業と共に、亜里沙はこの先輩と結婚した。周りからは祝福された。

 守と亜里沙は、同じ時に違う場所でSNSを何気なく見ていた。それぞれの家庭はすでに崩壊していた。守は金銭感覚のないサリーに愛想を尽かし、おじさんに伝えて離婚したばかりだった。亜里沙は遭難したときの燃え上がるような気持ちはとっくに消え失せ、毎日のようにフィリピンパブに入り浸る夫に離婚届を突きつけ、印を押してもらったばかりのタイミングだった。SNSで二人の目に止まったのは、高校の同窓会の連絡だったのだ。二人共、お互いのことを瞬間に思い出した。幼い頃の約束とともに。

 二人は、同窓会が開催されるホテルで再会した。言葉はいらなかった。目があった瞬間、二人は駆け寄り抱き合った。二人を知っている同級生は周りに集まり、拍手を送ってくれた。二人が突然別れることになってしまった高校二年生のときから、すでに十三年の月日が流れていた。長い時を超えて、やっと、幼い時の約束は果たされたのだ。


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