【SS 1月7日】千円札発行の日
【今日は何の日ショートショート】- 千円札発行の日
1950年(昭和25年)1月7日、1946年(昭和21年)の新円切替後、初の1000円札が発行された。絵柄は聖徳太子。
日本初の1000円札は、1945年(昭和20年)8月17日に発行されたものだった。千円札はその後何回か発行しなおされ今日に至っている。
【SS】お金が消える日
もともとは、お金が出回り過ぎることにブレーキをかけるために、保持している金の量に匹敵する分を限度ととして紙幣を発行していた。紙幣だけ無尽蔵に印刷するとインフレを招くからだった。
しかし、現在を振り返ってみると、キャッシュでの支払いの方が圧倒的に少なくなってしまった。そういつしかキャッシュレスの時代になっていたのだ。この時点で保有している金の量とのバランスは崩れ始めた。お金を借りることも簡単にできる世界になってしまったのだ。
そんな背景を受けていよいよ政府は大英断を下そうとしていた。紙幣の印刷やコインの鋳造にはそれなりにコストがかかっている。特に紙幣に関しては額面の金額が大きいので偽札対応の技術開発に膨大な投資を強いられているのである。しかし、それもキャッシュレスにすれば民間の会社がチェックしてくれることになるので税金を投入する必要もなくなると、ある議員は主張していた。そしてその貨幣の発行に掛かるコスト分を子育て支援に回せば消費税の上昇を遅らせることができるはずだと力説した。賛同する議員は与党にも野党にも増えていった。
そしてついに現在流通している紙幣とコインのみでリアル通貨の追加発行をしないということが、国会で可決されたのは議員の主張から二年が経過した後だった。日本は大きな判断の際に時間がかかり過ぎる傾向があるが、この決断は大英断だった。なぜなら、他の国は全く議論さえしていなかったからだ。
本来なら、世界中の通貨を統一することができればいいのだろうが、各国内での物価が大きく違う現在では経済の混乱を起こしてしまうので実現性は低い。なので、それぞれの国の中でどうするかという話にならざるを得ないのだ。そこでいち早く問題提示したのが日本だったのだ。
日本の中でも多くの問題が発生した。地方では混乱するのではないか。電子マネーを使ったことのないお年寄りはどうするのかなど議論が交わされた。その時、共通のインフラとしてマイナンバーカードが躍り出てきた。幸か不幸か日本国民全員がカード保持者になっていたのだ。しかもICもついている。これを電子マネーととして利用することを政府は提唱し、マイナンバーカードとクレジット会社の連携アプリを開発した。おりしも健康保険もマイナンバーカードに移行済みだったため、お年寄りは常に持ち歩く習慣がつきつつあったことも後押しになった。医療費の支払いにも利用できるため受け入れられやすかったのだ。
こうして日本国内における新しいお札やコインの発行は終了した。これからは徐々に流通しているお金が回収され、市場から消えていくのを待つばかりである。日本銀行の試算では五年以内で消えていくようだ。それまでには現金でしか対応できない店舗などはキャッシュレス対応が迫られることになる。ここにも眠っているビジネスが出ることになりキャッシュレス対応のレジが飛ぶように売れる特需が沸き起こった。
クレジット会社による強い圧力があったという噂が飛び交ってはいるが、真意のほどは定かではない。
了
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