3分漫才脚本落選供養『映画館のドリンク』
先日、3分漫才脚本の公募があったので、最近漫才に興味があって調子に乗って送ってみたら無事に落選したのでここに供養しておきます。
一応、ルールとして演者はAとBの2人だけで、読んだだけでも面白い漫才を求めているとのことでした。以下、脚本です。
『映画館のドリンク』
A「どうもよろしくお願いします。俺さ、最近付き合い始めた彼女がいるんだけど、今度一緒に映画館に行くことになったんだよね」
B「あぁそうなんだ。勇気あるねぇ。俺は怖くて彼女なんか連れていけないけど」
A「なんで? 映画館でデートって一番普通じゃない?」
B「あんまり映画館を甘く見ない方が良いよ。だって考えてみて。まず映画館行ったら飲み物買うでしょ」
A「うん、コーラとかね」
ここからBは適宜カップを手に持ったジェスチャーなどをしながら言う。
B「カップを持って席に座ったときに、右と左のどっちのホルダーに置けば良いかわからなくなることあるでしょ」
A「確かに。ちょっと迷うことはある。でも、俺はとりあえず右に置くかな」
B「じゃあそういうことにしよう。それで彼女は左に座ってるとしよう。それでで二人とも右側にカップを置いたら、お前の両側にカップがあることになるよね」
A「そうだね」
B「さて、それで映画が始まって暗くなってドリンクを飲みたくなったとします。そうしたら、両方にカップがあるから、どっちを飲んだら良いかわからなくなるじゃない」
A「わかるでしょ。覚えてれば」
B「いや、映画に集中しているから思い出せないんだよ」
A「そうなのかなぁ」
B「それで、偶然、右のカップを飲んだら自分のだから良いけど、左のを飲んだら彼女のになっちゃうよね」
A「あら! ラッキーチャンス!」
B「同意なしの間接キスになっちゃうから気をつけないとね」
A「(観客に向かって)そうですよね〜」
B「だから、映画館っていうのは、ちゃんと自分の飲み物が飲めるかっていうスリルがあるんだよ」
A「なるほどね」
B「だから、まず映画を観る前に、彼女にこれから間接キスするかもしれないけど良いですか?って同意を得る必要がある」
A「それはハードルが高い!」
B「しかも、それだけじゃない。今、左側に彼女さんが座ってるけど、右側には知らないおじさんが座ってるとするじゃん」
A「うん」
B「この場合、全員が右にカップを置くなら問題ないんだよ。右の自分のカップを飲むか、左の彼女のカップを飲むかだから」
A「確かにね」
B「でも、全員が自分の左にカップを置くとなると、これはもう大変なことになる。だって、自分の右にはおじさんのカップがあるんだから」
A「あら!」
B「間違えて知らないおじさんの飲み物を飲んでしまうかもしれないよね」
A「スリルだぁ」
B「さらに、右のおじさんの右隣にまた別の知らないおじさんがいたとするでしょ」
A「はいはい」
B「それで、最初は全員が左にカップを入れているんだけど、映画を観ている最中に全員が同じタイミングで右のカップを飲み始めたとするじゃない」
A「そんなことある?」
B「ある。すると、右のおじさんのカップを飲んじゃうよね」
A「まぁ、さっきと同じ最悪な状況だ」
B「最悪なのはここから。今度は右のホルダーも左のホルダーも空いてるから、どっちにカップを戻せば良いかわからなくなっちゃうんだよ」
A「取り出した方に戻せば良いでしょ」
B「だから、映画に集中してるから思い出せないんだって」
A「う〜ん」
B「それで、全員が左側のホルダーにカップを戻したとするでしょ。すると、今度は自分の左に右隣のおじさんのカップ、右には二つ右隣のおじさんのカップが入っている状態になるんだよ」
A「本当だ!」
B「これを繰り返すと、すっごい右にいる人のドリンクを飲むことになっちゃうんだよね」
A「その前に誰かが気づきそうなもんだけどね」
B「だから、すっごい右にいる人がポップコーンの代わりにメントスを持ち込んでいたら、自分のコーラとすっごい右の人のメントスを食べることになっちゃうから、自分の胃の中でいつの間にかメントスコーラができてしまうんだよね」
A「ポップコーンの代わりにメントス食べる人はいないと思うけどね」
B「しかも、胃の中でメントスコーラができてるのは自分だけじゃないんだよ。右隣のおじさんとその右隣のおじさんも同じコーラとメントスを飲んでいるからメントスコーラができちゃってるんだよね」
A「(観客に向かって)なんで誰も気づかないんでしょう」
B「だから、映画の途中で自分と右隣のおじさんとその右隣のおじさんの口から一斉にメントスコーラが噴き出す瞬間があって、前の列の人たちにかかってしまうんだよ」
A「最悪だ」
B「デートなのにそんなことになったら気まずいよね。だから、雨が降るような映画なら誤魔化せるから丁度良いと思うんだよ。『天気の子』とか」
A「3Dならぬ4Dみたいなね。前の列の人も臨場感がある映画鑑賞ができるってわけか」
B「ね、良いアドバイスでしょ」
A「なわけあるか。どうもありがとうございました」
落選理由としては、そもそも読んだだけではわかりにくい設定であること。オチがメントスコーラというしょうもなさ。そして、ボケが一方的で掛け合いによる面白さがないところあたりでしょうか。間接キスのくだりも、今回の真面目なコンテストの性質に対してはコンプラ違反になってしまったのかもしれません。
個人的に一番好きな漫才師がランジャタイで、モグライダーや真空ジェシカも好きな方なのでそもそも脚本向きのお笑いをあんまり知らないのかも。というか、私の観点からは真空ジェシカは明らかに王道の漫才師なんですが、一般にはそう見られていないみたいですね。なぜなんでしょう???
もしもこのコンテストの次回にも参加するなら、最近ハマり始めたシンクロニシティの漫才をもっとよく見るべきなのかもしれません。
