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小野瀬雅生の2025年ベストミュージック10選+α

一年が経つのが早い早いと思うのだが、2025年は特に早く過ぎた気がする。良いこともそうでないことも色々なことがあって、浮いたり沈んだり、心が平穏だった時間がとても少なかったように思う。音楽はずっと自分の中にも傍にも周囲にも彼方にもあって、僕をずっと突き動かしてくれた。例年よりも聴き込んだものは少ないけれど、2025年に心に響いた音楽を幾つか挙げてみたい。

Wormhole / Yumi AraI / 松任谷由実

僕の2025年ベストワンはユーミンさんである。40枚目のアルバム。AIを使っての制作が話題になっていたけれど、そこは自分にとってあまり重要なポイントではなくて、このアルバムが僕の心に深く深く響き渡ったのは曲がステキなのと、サウンド(ヴォーカルの在り方も含めて)が素晴らしかったからなのです。「DARK MOON」なんてどこのプログレバンドかと思うし、続く「CINNAMON」「星の物語」「岩礁のきらめき」は1980年代を(そして湘南の海とかも)強く思い出させる。そして最初の3曲にギターソロが入っているのだ。今や時代遅れの象徴のように揶揄されることも多い間奏のギターソロ。ユーミンさんの曲の中でギターが存分に響いている。3曲目は何とツインリード。4曲目はソロはないけれどギターの幾つものバッキングが曲のトーンを支配している。ユーミンさん、ギターを愛してくれてありがとうございます。「天までとどけ」のソウルフルさ、「烏揚羽」では再びギターソロ(ワウペダル!そしてバッキングでオートワウ!)が登場。そして青天の霹靂の如く僕の心に響き渡った「小鳥曜日」。初めて聴いた時に涙が溢れてしまった。そして今また涙を誘う。何度聴いてもこれ程までに僕を泣かすのかこの曲は。でもまた聴いちゃう。そして「LET’S GET IT STARTED !」のイントロと曲のテンポで僕はちょっと救われる。「Let It Rain」「文通 (Wormhole version)」とポップな曲が続いて、「ひとちがい」で再び80年代へ。曲の最後には雨が降る。ラストの「そして誰もいなくなった」は若い頃に読んだSFの世界へと僕を連れ去る。地球の最後の一人。鳥は飛んでるけどね。この世界でユーミンさんに逢いたい。最後に僕もそこに生きていたい。12弦ギターの響きと一緒に。ユーミンさん、素晴らしい音楽をありがとうございます。

ふめつのあなた / Perfume

2026年からコールドスリープに入るPerfume。2007年頃から聴き始めてずっと好きだったPerfume。年の瀬にふっと配信限定でリリースされた「ふめつのあなた」。アニメとの関係性は全く判らないのだけど(すみません)この曲だけのことで云えば、僕が物凄くセンシティブだったタイミングでこの歌詞であったので、これまた青天の霹靂であった。秘密の彼方へ、僕はそこに繋がっていて、今ここで戸惑っている。想いは終わらない。

The Overview / Steven Wilson

スティーヴン・ウイルソンの2025年新作。ポーキュパイン・ツリーの人です。これが23分超の「Objects Outlive Us」と18分超の「The Overview」の2本立て。アナログレコードならA面B面1曲ずつと云う長尺プログレアルバム。「Objects Outlive Us」は5拍子、3拍子、15拍子、と大好物の変拍子オンパレード。でもテクニカルな求道的なものに終始せず、あくまでも歌や楽器の時間空間ハーモニー優先で、様々な楽器がバトンタッチをしながら紡ぎ上げるスリリングなサウンドスペクタクルとなっております。音質がとても心地好い。ファズギターのソロ、良いわー。PFMか。「The Overview」はシーケンスが鳴りまくりのちょいテクノ寄りサウンド。かと思いきや途中からアコースティックギターが鳴り渡ってピンクフロイド方面へ。そして来た来た7拍子。曲の長さを感じさせない快適な音楽空間。イイ音で録れてるなーどの楽器も。おみそれしました。

Getting Killed / Geese

ニューヨークはブルックリンの若者たちのバンド、ギース(日本のお笑いコンビにも同じ名前のがいるそうな)。世代は一回りして馴染みのある60年代とか70年代のロックサウンドをやっている、のかと思いきや春夏秋冬が過ぎてまた春なのかと思ったら春に似ているけど全然違う名状しがたい季節に放り込まれたような感じがした。春みたいだけど知らないよこんなの春じゃないよ。でも春の花は咲いているし冬眠していた動物も目を覚ましているよ。いやこんな動物知らないよ。何だこの動物。花も花かと思ったら花みたいな別のものだよ。新しい世界の入口か。この先はどうなるんだろう。それにしても歌が凄いな。歌が。いや歌じゃないのか。名状しがたいものだ。

Perverts / Ethel Cain

こう云うの何て云うの。アンビエントドローンミュージックって云うの。たまたま聴いたら(出会いは大事ね)1トラック目「Perverts」のMRIの装置の中にいるようなトーンの音像が気に入ってしまった。または宇宙船の中とかこんな音がしているだろうか。ビートのない(あるっちゃある)トラックが続く中で、ある一定の耳慣れた音、トーン、周波数を感じた時の安堵感。体験したことのない響きへの畏敬の念。人の声の底知れぬストレンジさ。3トラック目は洗濯機の中にいるようだよ。ずっと洗われている。または空飛ぶ円盤の中とかこんな音がしているだろうか。9トラックでトータル1時間29分の作品。のんびり聴くべし。のんびり出来ないかこれ。

45 Pounds / YHWH Nailgun

ヤハウェ・ネイルガン、と読むそうな。アメリカのバンドです。ベースはいなくて、ヴォーカル・ギター・シンセ・ドラムの4人組。シンセっぽく聞こえる和音はギターですねこれ。ハーモナイザーとかワーミーとか駆使しておられる。80年代のディシプリンキングクリムゾンを速攻で想起してしまうのは年齢のせいでしょうか。ロートタムを多用するドラマーのスタイルもその一因。曲は2分以下のものも多くてストレンジでコンパクト。これも何だか音像が心地好い。余談だけど昨年はメタル方面で心に来るものが全くなかった。全部同じような方向を向いていて仰々しいものばかりで全部同じように聞こえる。如何なものかと思う。

Walk This Road / The Doobie Brothers

新作です。ドゥービーブラザーズの新作です。デビューは1971年。一時期解散していたものの現役バリバリ。僕は高校生の頃はドゥービーブラザーズのコピーバンドをやっていたので思い入れも格別であります。アイドルとかヒーローではなくバンドの理想像としてのドゥービーブラザーズ。現在はトムジョンストンもパットシモンズもマイケルマクドナルドもいて、1曲の中にトムとマイケルのパートが混在する夢のような(昔を知ってるのでね)表題曲を含めて佳曲揃い。サウンドも凄く良い。みんな声出てるなー。ドゥービー万歳。

Come and Find Me / Robin Trower

新作です。ロビントロワーの新作です。ロビン1945年生まれ、御年80歳。デビューは1962年だから僕の生まれた年。プロコルハルムに在籍した後はソロアーティストとして活躍し、50年前の1975年にはアルバム「For Earth Below」がアルバムチャートベスト10入りするなど人気を博した。一貫してストラトキャスターでジミヘンインスパイヤ系の独特な節回しのギターをプレイし続けている。アルバムを出すどころかツアーまでやってる。こちらも現役バリバリ。ギタープレイに衰えナシ。あやかりたい。

pirates radio 2025 12/26 fri PM11:00 No.744 .mp3 / TOMOYUKI TANAKA

FPM田中さんがAIで作成したカバー曲のリミックス。2025年末までにAIでどんなことが出来るのかの集大成。最先端にいるようで、選曲的にちょっと懐かしい気分にもなりつつ、楽しませて戴きました。あと数年したらAIによる音楽制作も思いもよらない高度な地点にまで到達するのかも知れません。若い頃に人工知能がどうしたこうしたと云うおっかないSF小説をいっぱい読んだ僕なのでちょっとまだビビってます。でもそれも事実は小説よりも奇なりになって飛び越えちゃうんだろうなー。


Wish You Were Here 50 / Pink Froyd

2025年12月、全英アルバムチャートで1975年発表のピンクフロイド「炎(あなたがここにいてほしい)」(敢えて日本のタイトルで表記しました)の50周年記念盤が初登場1位を獲得した。50年ぶりのチャート1位返り咲きと云う快挙である。ボーナストラックには「Shine On You Crazy Diamond (Pts. 1-9, New Stereo Mix)」と云うマシーンもシガーもあなたがここにも挟まない直結ミックスも遂にオフィシャルで収録された。音質的には聴き慣れた2011年のリマスターに比べるとちょっとまろやかに感じる。メインのヴォーカルが押し出された分、コーラスの上の方が潜っているように聞こえた。ギターサウンドもナチュラルな聞こえ方で、フェイザーとかのエフェクトのエグ味が薄れている気がしないでもない。でも新しい方がアナログっぽいのかな。ライブっぽいと云うか。中学生の時にリアルタイムで出会ったアルバムなので僕のピンクフロイドナンバーワンアルバムです。そうか50年聴き続けけたか。もう50年楽しみます。その頃またチャート1位に返り咲いたりして。チャートなんてまだあるのかな。SF小説の世界だなー。

Foxtrot / Genesis

これは全く個人的なことで、2025年のまだ夏の暑さも残っている頃にこのアルバムの1曲目「Watcher of the Skies」にハマりにハマっていたのであります。何度聴き直したか判らないくらい聴いて聴いて聴きまくりました。歩きながらたたたたーたーたーたーたーたた、たたた、たたた、とずっとリズムを取っておりました。1972年の曲ですよ。若い頃にこの時期のジェネシスをあまり聴いていなかったのでこの曲が突然新鮮に感じられてもうたまらなかったのですよ。とにかく僕の2025年の個人的大ヒットで数ヶ月チャート1位でした。たたたたーたーたーたーたーたた、たたた、たたた。

華麗 / クレイジーケンバンド

最後に自分たちのもちょっとだけ。クレイジーケンバンド25枚目のアルバム「華麗」。手前味噌ですが、我々まだまだ進歩し続けていると思うのです。個人的にもバンド的にも。今後のCKBライブのハイライト曲になりそうな「Hi」「LOVE」「Summertime✳︎411」があって、「太陽の街」も「時差」もあって、自分が多分これから一生歌い続けるであろう「とまれみよ」もある。反省点も多いけれど(毎度のことのです)満足度も大きい。華麗なるツアーも年跨ぎでがんばります。世の中が物凄いスピードで変わっているので付いていけるかちょびっと不安ですが精一杯音楽と共に歩んで参ります。2026年も小野瀬雅生をどうぞよろしくお願い致します。

北海道のとまれみよ

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