【ClaudeCodeでAI投資ツールを作る】Google AntigravityのProプランが1時間で溶けた話
前回のプロローグで「金融AIを作ろうと思った」という話を書きました。
もっと正確に言うと「金が溶けた」というお話でもあります。
今回は、「AIクレジットが溶けた」というお話です。
溶かし続けています。
ザラメやバターなら喜ばしいところですが、
金を直接溶かし、続いて間接的に溶かしたという悲しい話です。
その前に:1年間の勘違いを告白します
金融AIを作ろうと決める、ちょうど1年前の話からします。
当時、「AIにコードを書いてもらえるツールがある」という情報を聞いて、
CursorというIDEを入れました。
※IDEとは:コードを書いたり実行したりするための専用エディタです。
メモ帳の超高機能版、みたいなイメージ。
Cursorを入れたとき、一緒にClaudeCodeも入れました。
「とりあえず有名どころを全部入れとけ」くらいのノリで。
そこから1年間、ずっとCursorを使っていました。
ClaudeCodeの月額料金も払いながら。
…気づいたのは1年後です。
「あれ、自分がやってたのってCursorのAIだったんじゃ?」
少し調べると、その通りでした。
Cursorの右サイドに出てくるチャット画面で操作していたのですが、
あれはCursorのAIです。ClaudeCodeではない。
ClaudeCodeは本来、ターミナルから使うツールです。
※ターミナルとは:コマンドを文字で打ち込む黒い画面のことです。
「cd フォルダ名」とか「python ファイル名.py」とか打つやつ。
普段使わない。逆に使ったらダメな気さえするやつ。
ターミナルへの苦手意識から、チャット画面の方に逃げていた結果、
ClaudeCodeの課金が1年間ほぼ無駄になっていました。
これに気づいたのは、ChatGPTに「ClaudeCodeってどう使うの?」と聞いたとき。
「VSCodeという無料エディタに直接組み込んで使えますよ」と教えてもらい、
「あ、そういう使い方があったのか」と初めて知りました。
いまこの連載は、VSCode+ClaudeCodeで書いています。
1年越しに本来の使い方ができるようになった、というわけです。
Google Antigravityとの出会い
2026年の1月ごろ、GoogleがAI搭載のIDEをリリースしたというニュースが流れてきました。
「Google Antigravity」です。
「Googleが作ったなら安心感あるな」という単純な動機…
というか、Twitter(現:X)でめちゃくちゃ話題になってたから使いました。
前回のプロローグで書いた通り、Gmailの整理ツールや遺品整理ツールを
バイブコーディングで作っていい感じに動いたので、テンションが上がっていました。
※バイブコーディングとは:AIとのチャットで「こういうの作って」「こう直して」 とやりとりしながらコードを作っていく方法のことです。
自分でコードを書かず、AIとの会話だけで進めます。
「じゃあ金融投資ツールも作れるんじゃないか」
そういう流れでした。
ChatGPTで設計して、Antigravityで実装した
まずChatGPTに相談しました。
「S&P500という米国株の指数があるんですが、その中から毎日有望な銘柄をAIが選んでくれるシステムを作りたい。どう設計すればいい?」
ChatGPTはかなり丁寧に設計案を出してくれました。
・株価データを毎日取得する仕組み
・AIが銘柄を2段階でスクリーニングする仕組み
(まず広く絞り込んで、次に詳しく分析する)
・売買の記録を残す仕組み
・過去データで成績をテストする仕組み(バックテスト)
これをそのままAntigravityに貼り付けて、
「このとおりに作ってください」と頼みました。
Antigravityはわりと、いや、かなりスムーズに実装してくれました。
コードが出来上がっていく画面を眺めながら、
「すごい時代になったな」と素直に感動していました。
「バックテスト」という言葉を初めて知った日
AntigravityやChatGPTから
「バックテストをやって、実証しましょう!」
と言われました。
「バックテスト」というものを、このとき初めて知りました。
簡単に言うと、バックテストとは
過去に戻って「もしあのとき、このシステムで取引してたら、どんな成績になってたか」を計算して検証すること
です。
例えば「2020年から2023年の株価データを使って、
このシステムが実際に動いていたとしたら、資産はいくらになっていたか」
を計算するわけです。
未来のことはわからないので、まず過去で試してみる。
それがバックテストです。
自分が作ったシステムが本当に使えるのかを確認するには、
このバックテストを何度も回して成績を確認する必要があります。
「なるほど、これで確かめるんだ」
そう思って、Antigravityにバックテストを実行してもらいました。
バックテストをまかせて、たった1時間で。
Antigravityのクレジット残高が、ゼロになっていました。
正確には、いや正確ではないかもしれないですがGoogle AIのクレジットが、まごうことなくゼロになっていました。
Antigravityのサービスには、月額料金を払うとAIを使える「クレジット」が
付与される仕組みがあります。Proプランに入っていたので、
それなりの量があったはずでした。
多分、動画生成とか画像生成とかさせても、私なんかでは到底1カ月で使いきれないであろう量だったと思います。
それを1時間で全部使い切りました。
しかも出てきたバックテストの成績を見ると——
ゴミカスでした。
具体的な数字は書くのが恥ずかしいレベルでした。
「これ、全然ダメじゃないか」
途方に暮れながら、頭の中で計算が始まりました。
これから先、
・成績が悪い → どこかを直す → また試す → また成績を確認する
というループを何十回、何百回と繰り返さないといけない。
そのたびに、今日みたいにクレジットが消えていく。
「このままAntigravityに任せ続けたら、えらいことになる」
直感的にそう思いました。
ClaudeCodeに「監査」を頼もうと思った理由
どえらいことになる気しかしませんでした。
かといって、私が作ったシステムとは言え、作ったのはAIです。
中身の詳しい仕組みなんぞ、わかりはしません。
誰か優秀な人が、システムを見直してくれないかな
そこで思い出したのが、ClaudeCodeでした。
当時はまだターミナルへの苦手意識がありましたが、
「VSCodeに組み込める」という情報をChatGPTに教えてもらっていたので、「一度ちゃんと使ってみよう」という気持ちになっていました。
しかもどうやら、Claudeは複雑な処理に向いているというではないですか。
であれば、Claude先生に「このシステムをチェックしてほしい」と頼もう。
Antigravityで作ったコードを全部見てもらって、
「問題があるところを教えてください」とお願いしてみようとなりました。
次回は、その「システム監査」で何が出てきたかを書きます。
📌 Tips:クレジットを溶かさないために
この失敗から学んだことを、同じ轍を踏まないようにまとめます。
(私の屍を超えていってください)
▼ AIサービスの「料金体系」を先に理解する
AIツールには大きく2種類の課金方式があります。
・月額固定型:毎月一定額を払えば使い放題
→または一定量まで
・従量課金型:使った分だけお金がかかる
→APIと呼ばれる仕組みはこちらが多い
Antigravityは月額固定に見えて、実は裏でAPIを大量に呼んでいる処理があります。
「Proプランだから使い放題」と思っていたのが誤解でした。
▼ バックテストは「重い処理」だと知っておく
バックテストは、何年分もの株価データに対して、毎日の判断を計算します。
1年分で約250営業日、それをAIが何十回も処理するとなると、
呼び出し回数は一気に跳ね上がります。
「ちょっと試してみよう」が、思わぬコストになることがあります。
▼ バックテストはターミナルで自分で動かすとコストが大幅に下がる
AntigravityもClaudeCodeも、「IDE組み込み型AIやエージェントAIにすべて任せる」方式だと、バックテストの実行そのものもAIが処理するため、クレジットが消えていきます。
でも本来、バックテストの「計算」はAIがやる必要がありません。
コードさえ出来上がっていれば、あとは自分のパソコンの中で動かせます。
具体的には、こういう流れです。
① ClaudeCodeに「バックテストのコードを書いてもらう」← ここだけAIを使う
② ターミナルで「python run_backtest.py」と打って自分で実行する ← AIは不要
③ 結果が出たら、ClaudeCodeに「この結果を分析して」と渡す ← また少しAIを使う
①と③だけAIを呼べばいい。
②の「実際に動かす」部分はAIに頼まなくていいんです。
ターミナルが怖い気持ちはわかります。自分もそうでした。
でも「python ファイル名.py」と打つだけなら、難しい操作は何もありません。
なんなら、ターミナルに打つコードをAIに作らせてコピペして、エンター押せば出来るようなことでもあります。
▼ まず「小さく試す」習慣をつける
いきなり5年分のバックテストをしない。
まず1週間分、次に1ヶ月分、と段階的に規模を大きくする。
異常に時間がかかる、コストが膨らむ、エラーが出る——
問題が起きたとき、規模が小さければ被害も小さくて済みます。
▼ 無料枠・テストモードを先に探す
多くのAIツールには、本番の前に試せる「モック」や「テストモード」があります。
実際のAIを呼ばずに、ダミーの結果で動作確認ができる機能です。
「本番で試す前に、テスト環境で確認する」という習慣は、
コードを書く人には常識ですが、初心者はそこから知らないことが多いです。
自分もそうでした。
次回!
ClaudeCodeに「このコード、問題ないか全部見てください」と頼んだ結果、14個の問題リストが返ってきた話を書きます。
絶望と、ちょっとした感謝が混ざった、あの感覚。
私の不幸は皆さんの蜜の味と思って書きます(Claudeが)
次回:#2「ClaudeCodeに監査を頼んだら、設計から作り直すことになった」
