Trick or……⁇
「なんで、お菓子はあげないから、いたずらしろなんだよ」
「Trick or Treat?って言ったのは、お前のほうだろ。じゃあ、お菓子かいたずらかのどっちかじゃないか。だから、いたずらをしろっていったんだよ。」
「いや、そういうのは普通、いたずらをされるのがいやだから、お菓子を選択するもんだろ」
かぼちゃのおばけの帽子をかぶり、マントをしたヨウイチはいらだちを隠さない。
「別に、いたずらを選んだっていいじゃないか。どっちかって言ったのはおまえのほうだろ」
「屁理屈かよ。なんなんだよ……ったく……」
「はやく、いたずらしろよ」
「ホントにいたずらするなんて思ってお前の家に来てないし。普通そうだろ。まったく……」
「なんのいたずらをするんだよ」
「……くそう……。じゃあ、ここにマインクラフトのシールがある。これをお前の家の壁に貼ってやるわ」
「いや、迷惑すぎるだろ。壁紙が剥がれたらお前が弁償しろよ。」
「うっ……しょうがねえなあ。いいよ、じゃあこのシールやるよ。」
「えっ……いいのかよ……まぁありがたくいただいておくわ。で?いたずらはどうすんだよ」
「はあ!?まだ続くのかよ」
「あたりまえだろ、まだやってないんだから」
「……ちっ。ちょっとまてよ……。お前さ……。明日の宿題、急遽増やされたの知らないだろ。さっき、田中先生から指示があったんだぜ」
「……えっ?」
「うっそー。何ビビッてやんの~。っておい、どうしたんだよ。涙目になって。そんな大したいたずらじゃねえだろ」
「いや……。俺、明日の宿題ないんだよね」
「はあ?何言ってんの?」
「俺、明日で引っ越して転校することになったんだ」
「えっ……。お、おい悪い冗談はよせよ。それもいたずらなんだろ」
「……いや、ホントなんだ」
「まじかよ……」
「わりぃ。いたずらやってくれなんて言って。最後だから、ヨウイチにいたずらされてみようかなっておもってさ……」
「なんだよ……それ……」
「悪かったな。実は、お菓子も用意してたんだ。ほら、お前の好きなポッキー」
「バ……バカやろう」
「マインクラフトのシール大切にするわ」
「何なんだよ……。そんなつもりであげたんじゃねえよ……」
「……ありがとな」
「……ぜったいなくすんじゃねえぞ」
「ああ。元気でな」
「ぜったいだかんな……バカやろう」
ヨウイチは、振り返り一目散に走りだした。
いつも食べていたはずのポッキーは、忘れられない味がした。
ギリギリですが、灯火さんの企画に参加しました!
