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なぜBLドラマ俳優たちに親密さを求めてしまうのか

 最近は日本国内でもBLドラマが盛んに制作されるようになってきましたね。タイや台湾では日本より先行して本格的にBLドラマが作られていて、カップルを演じた俳優同士のカップル営業も、BL人気に拍車をかけています。日本ではそれほどカップル営業は盛んではないですが、役と俳優本人を混同しているBLファンはやっぱりいるんですよね。では、なぜBLだと役と俳優本人の境界が曖昧になってしまうのでしょうか。
 男女のラブストーリーの場合、「この2人が本当に付き合っていたらいいのに」と思う視聴者もいるにはいると思います。しかし男女の場合は、プライベートでも恋愛関係になる可能性がそれなりにあり、だからこそそれが疑われるような場合は、俳優(とくに女性側)にとってスキャンダルになったり、好奇の目にさらされたりするリスクがあります。なので、カップルを演じた俳優同士でも、作品外での関係性にはより慎重な気がします。メディアでは必要以上に俳優同士が親密さをアピールしたりしないですし、むしろ「一定の距離を取るのがマナー」という風潮もある気がします。なので、視聴者側もプライベートまでは踏み込まない、あくまで作品とは分けて考える、ということがしやすいと思います。また、男女のラブストーリーの場合は、女性視聴者はヒロイン側に感情移入して作品を見ていることが多く、男性俳優と女性俳優のプライベートの関係は、視聴者にとってむしろノイズになってしまうのではないでしょうか。
 一方、BLドラマだとどうでしょうか。カップルは2人とも男性同士ですので、ただの共演者としてだけでなく、友達、戦友、バディ、ソウルメイトなど、どんな呼び名で呼ばれる関係性でも、親しくなることが許容されます。というか、むしろ親しくなることを期待されています。2人がどんなに親しくなろうともデメリットにはなりません(本当に恋愛関係になった場合を除く)。スキャンダルなどのリスクを考慮する必要も、男女ほど距離感に気を付ける必要もなく、ただ気軽に友達のように仲良くすることができます。プライベートでも親交があるくらい仲が良ければ、その親密さをメディアで公言してもかまわないですし、むしろアピールすることが作品のプロモーションになります。
 仮に作品外のプライベートでも交流があるとなると、同僚から友達へとより関係性を深めたことになります。しかも、俳優同士はただの「友達」ではなく、「恋人同士を演じた特別な関係である」という付加価値のようなものが乗っかってしまいます。この場合、俳優同士は、男同士のホモソーシャルな結びつきというよりは、もっと女性的なコミュニケーションやスキンシップを行っているように思えます。例えば、お互いを気にかける、世話を焼いてあげる、優しくする、ケアし合う等です。これは作品の宣伝において、カップル営業とまではいかないまでも、俳優たちが少しカップルのようなふるまいや、親密さをアピールするふるまいをしたりすることにも起因していると思います。
 視聴者からすると、この2人の親密さの延長線上に、「ドラマのようにもし一線を越えたら、本当に恋愛関係になってしまうかもしれない」という想像の余白を感じてしまうのではないでしょうか。そしてその想像させる余地こそが、BLファンをより熱狂させてしまうのです。実際に付き合っていると信じているBLファンは少ないと思いますが、この曖昧に見える関係性には、多くの可能性を感じさせてしまうのです。恋人同士ではないにしても、お互いにとって「唯一無二の存在ないしは特別な存在であってほしい」というファンの願望は、かなり大きいのではないでしょうか。そして実際にそうであってくれたら、本当に嬉しく微笑ましいですよね。
 しかし、逆に言うと、カップル営業やそれに近いものは、俳優たちが実際には恋愛関係にないからこそ可能であるとも言えます。本当に恋愛関係なのであれば、それを公にはせず、むしろ隠すはずです。それを考えると、カップル営業やそれに近しいものはクイアベイティングであるとも言え、あまり良いものではありませんし、それを求めるファンの態度も健全であるとは言えません。自分たちが俳優たちに対して求めていることが、一体どういった意味を持つのかということを、一度立ち止まって考えるべきかもしれません。何事にも節度を持って、BLを楽しみたいですね。

 ※「なぜBLドラマ俳優たちに親密さを求めてしまうのか」という問いは、次の記事の方が答えを出せているかもしれません。要するにBLファンは「男同士の親密さ」を求めているという話ですね。
 

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