[第1話]ChatGPTを「相談相手」から「自分専用OS」にしたい
ChatGPTを使う時間が増えるほど、少し不思議に感じることがあります。
これだけ自分のことを話しているのに、
次の相談では、またゼロから説明している。
旅行について相談するときは、
「車は使わないことが多い」
「温泉が好き」
「ここにはもう行った」
と説明する。
投資について相談するときは、
「今の資産はこのくらい」
「積立は毎月この金額」
「個別株は基本的に増やさない」
と説明する。
仕事でも、買い物でも、引っ越しでも同じです。
ChatGPTはかなり賢い。
でも、
「自分」という前提条件を毎回渡さないと、本当に自分向けの回答にはならない。
そこで最近、
「AIに相談する」のではなく、
AIが最初から自分を理解している環境を作れないか
と考え始めました。
自分ではこれを、
「自分OS」
と呼んでいます。
ChatGPTがもっと賢くなるだけでは足りない
AIの性能はこれからも上がっていくと思います。
でも、モデルがどれだけ賢くなっても、
自分のことを知らなければ、
回答はどうしても一般論から始まります。
例えば、
次の旅行先どこがいい?
と聞く。
普通のAIなら、
人気の旅行先や季節のおすすめを出してくれます。
でも、本当に欲しいのは、
・過去にどこへ行ったか
・どんな場所が好きだったか
・温泉が好き
・海鮮が好き
・車を使わないことが多い
・今回の予算
・直近の予定
まで理解した上で、
今回なら鳥取・米子あたりが合いそう
と提案してくれるAIです。
投資なら、
現在の資産
過去の売買
積立額
投資方針
過去に悩んだこと
そのとき何を選んだか
まで踏まえて答えてほしい。
つまり欲しいのは、
「世界について詳しいAI」だけではなく、
「自分について詳しいAI」
です。
そこで「自分のデータ」をAIの外に持つ
最初は、
「ChatGPTに全部覚えてもらえばいい」
と思っていました。
でも考えていくと、それだけでは少し違う気がしました。
自分の情報をChatGPTそのものに依存させると、
AIを変えたときに、またゼロから始まる可能性があります。
そこで構想したのが、
┌─────────────┐
│ 自分 │
└──────┬──────┘
│
▼
┌─────────────┐
│ AI │
│ ChatGPTなど │
└──────┬──────┘
│
▼
┌─────────────────────┐
│ 自分OS │
│ │
│ 自分の情報を管理する │
└──────────┬──────────┘
│
▼
┌─────────────────────┐
│ Database │
│ │
│ Profile │
│ Preferences │
│ Events │
│ Decisions │
│ Goals │
└─────────────────────┘
という構成です。
AIに「自分」を持たせるのではなく、
自分のデータを自分側に持っておき、AIが必要なときに使う。
これなら、
自分のデータ
│
├── ChatGPT
├── Gemini
└── ローカルAI
という使い方もできます。
AIが変わっても、
自分の記憶は残る。
ここが、自分OSのかなり重要な部分です。
保存したいのは「プロフィール」だけではない
自分OSと聞くと、
年齢や住所、趣味などを保存したプロフィールDBを想像するかもしれません。
でも、それだけならそこまで面白くありません。
自分が残したいのは、
「今の自分」だけではなく、「ここまでどう判断してきたか」
です。
例えば、
Fact
現在の家賃は○円
Preference
温泉旅行が好き
Event
2026年に松山へ旅行した
Decision
この不動産を売却することにした
Reason
金利上昇と今後のCF悪化を考えた
Result
結果的に○○だった
という情報です。
特に重要だと思っているのが、
Decision
です。
人間は、同じようなことで何度も悩みます。
「この株を持ち続けるべきか」
「引っ越した方がいいか」
「この商品を買うべきか」
「この旅行プランでいいか」
そのとき、
過去の自分が何を考えて、
何を選んで、
結果どうだったのか。
それをAIが覚えていれば、
単なる一般論ではなく、
「過去の自分も含めた相談」
ができるようになります。
自分OSが目指しているもの
今の構想を一枚にすると、こんな感じです。
┌──────────────┐
│ 自分の生活 │
└───────┬──────┘
│
│ 会話・出来事・判断
▼
┌──────────────┐
│ 記憶 │
│ 自分OS DB │
└───────┬──────┘
│
│ 必要な情報を取得
▼
┌──────────────┐
│ AI │
│ 理解・推論 │
└───────┬──────┘
│
│ 提案
▼
┌──────────────┐
│ 判断 │
└───────┬──────┘
│
│ 実行
▼
┌──────────────┐
│ 結果 │
└───────┬──────┘
│
└──────────▶ また記憶へ
つまり、
記憶 → 理解 → 判断 → 結果 → また記憶
というループです。
これを回し続ければ、
AIは単に自分のプロフィールを知っているだけではなく、
「自分がこれまでどう生きてきたか」
まで少しずつ理解できるようになるかもしれません。
さらに「相談」から「行動」へ
もう一つやりたいことがあります。
AIに答えてもらうだけではなく、
実際の作業までしてもらうこと
です。
例えば旅行なら、
「3連休の旅行を考えて」
│
▼
過去の旅行履歴を確認
│
▼
好みを確認
│
▼
カレンダーを確認
│
▼
候補地を検索
│
▼
ホテルを比較
│
▼
旅程を作る
│
▼
カレンダーに登録
というところまでつなげたい。
メールなら、
メールを読む
↓
内容を理解
↓
返信案を作る
↓
自分が確認
↓
送信
noteなら、
テーマを考える
↓
記事を書く
↓
画像を作る
↓
下書きに入れる
↓
自分が確認
↓
投稿
という形です。
ここまで来ると、
ChatGPTは単なるチャットアプリではありません。
自分の生活と複数のサービスをつなぐ操作画面
に近くなります。
だから「自分AI」ではなく、
「自分OS」と呼んでいます。
ただし、AIに全部任せたいわけではない
自動化できるからといって、
何でもAIにやらせたいわけではありません。
例えば、
情報を読む
→ 自動でOK
候補を整理する
→ 自動でOK
文章の下書きを作る
→ 自動でOK
メールを送る
→ 確認したい
予約する
→ 確認したい
支払いをする
→ 必ず確認したい
というように、
AIに任せる範囲を決める
必要があります。
理想は、
「AIが全部勝手にやる」
ではなく、
AIがほぼ全部準備し、最後の重要な判断だけ自分がする
状態です。
そして、この自分OS自体もAIに作らせる
ここも今回やってみたいことの一つです。
自分OSを一から全部手で開発するのではなく、
CodexなどのAIコーディングツールを使います。
例えば、
Preferenceを保存する機能を作って
過去の情報をcurrent/historyで管理できるようにして
ChatGPTのエクスポートを取り込めるようにして
とAIへ指示する。
すると、人間の役割が、
コードを書く
から、
何を作るか決める
設計する
AIの成果物を確認する
へ少しずつ変わります。
つまり、このプロジェクトは、
AIを活用するためのシステムを、AIに作らせる実験
でもあります。
最初から完成形は作らない
自分OSという名前だけ見ると、
かなり大げさなものに感じます。
でも最初は、本当に小さく始めます。
まず作りたいのは、
会話やメモを保存する
↓
自分についての情報を抽出する
↓
現在の自分をDBに持つ
↓
必要なときにAIへ渡す
ここまでです。
Gmailも、
Calendarも、
自動予約も、
後回しです。
まず、
「自分のことを知っているAI」
を成立させる。
それが自分OS v0.1です。
作り始めて、すでに一つ難しい問題が出てきた
実際に設計を始めると、
すぐに面白い問題が出てきました。
例えば、過去のChatGPTの会話に、
家賃10万円くらいの部屋を探している
という文章があったとします。
AIがそこから、
現在の家賃:10万円
と記憶したらどうなるでしょうか。
当然、間違いです。
あるいは、
○○という病気の可能性はありますか?
と相談しただけなのに、
Fact:
○○という病気
と保存されたら困ります。
つまり、
AIに記憶させることより、
AIが作った記憶をどう信用するか
の方が難しい。
ここから、
原文
↓
AIによる抽出
↓
Fact候補
↓
根拠確認
↓
現在のFact
という、自分OS独自のMemory設計を考えることになりました。
このnoteで書いていくこと
このシリーズでは、
「自分OSを作りたい」
という構想だけではなく、
実際に作っていく過程をそのまま残していきます。
次は、
第2話
自分OSの全体設計
― ChatGPT・DB・Codexをどうつなぐか
そして、
第3話
AIに「自分」をどう記憶させるか
― Memory設計を考える
さらに、
第4話
自分OSのDBを実際に設計する
― 「今の自分」と「過去の自分」をどう保存するか
まで進めます。
構想だけなら無料でいくらでも語れます。
でも実際に作ろうとすると、
DBをどう分けるか
AIの誤認をどう防ぐか
current/historyをどう管理するか
元の会話とFactをどう紐づけるか
どこまでAIに自動更新させるか
など、
かなり具体的な設計判断が必要になります。
このあたりからは、
「自分OSを自分でも作ってみたい人」が、そのまま使えるところまで
掘っていく予定です。
AI時代には「自分のデータを持つ」ことが重要になるかもしれない
スマートフォンにはOSがあります。
PCにもOSがあります。
そしてこれからは、
それとは別に、
自分自身の情報を管理するOS
があってもいいのではないか。
AIモデルはどんどん変わる。
使うサービスも変わる。
でも、
自分が何を好きで
何を経験して
何を選び
どう変わってきたか
というデータは、
自分のものです。
そのデータを中心に置き、
その時々で一番優秀なAIにつなぐ。
そんな環境を、
まずは自分一人のために作ってみようと思っています。
まだ「自分OS」という名前も仮称です。
ただ、
AIを使うたびに自分を説明する世界から、
AIが自分の続きを理解している世界へ。
本当にそこまで作れるのか。
自分自身を実験台にして試してみます。
