第224話 露腸亭日乗 AS 1日目
ASは尻の穴ではなく、アフターストマの意味である。
誤解なきよう。
傷の痛みだが過去2回の人工肛門造設、S字結腸一部切除に比べて強い気がする。
今回いじったのは人工肛門造設と同じ部位。右腹直筋を切開してストマ部分を切除して吻合した腸を押し戻し、腹直筋を縫い直したわけである。
わかりやすく言うと、おへその右。ここが痛い。ずっと仰向けでは腰や背中が痛くなるので、体位を変える時に激痛。
咳やしゃっくり、くしゃみなどはとんでもない。
寝返りを打とうと右膝を曲げただけで腸腰筋を収縮させたら痙攣したかと思うくらいの痛みが数秒続いた。
9時過ぎに回診。今日は主治医と執刀医は不在のようだ。
その代わり外科部長サマが4人ほど引き連れて入室。
外科部長の指導の元、VAC療法のテープと機器を傷口に設置するのだか、テープを貼る位置の細かい指示が飛ぶ。作業しているのは二人の医師だが、
指示に対する返事であるとか、「参考になりますぅ」という雰囲気を“背中”で醸し出していた。
ここで「御意!」と返事したら腹抱えて笑って悶絶しただろう。
実際にどう思っているかどうかはしらないよ。
どこでもそうだけど「技術や実力」以外のものも要るなかなか大変そうな世界である。
傷口にスポンジを入れ、その上にガーゼ、テープで密閉して5センチ四方の器具でチューブで吸引しておく、という代物。
イメージは掃除機で空気を抜く布団袋。
治りが早い、傷口が小さくなる、感染症のリスク低下、など。
見る気になれば見えたのだが、正視する勇気なし。
その後、心電図と尿管を外れたので介助つきで歩いてみる。廊下に出て10メートルほどで気分悪くなって断念。
微熱があり解熱剤を点滴に入れてもらい、半分眠って過ごす。
室の中のトイレに数回たったりしたためか腸が動きはじめたのだろう、3時近くにガスがでた。
なかなか言葉にするのが難しいが、尻の穴の中で個体と液体を分別する感覚、これはトイレ行かなくてもオッケー、あまり息まずに肛門の奥に力を入れる。
一年以上、ご無沙汰の感覚であった。
ガスが出たので夕刻から飲水も許可される。
口の中が気持ち悪かったのでこれは歓迎。
手術の後、辛いのは2日くらいのはずなのであと1日の我慢だ。
