オレ達の「本」語り 【英語ミステリー、実験図鑑、怪人デザイン大鑑。最近読んで面白かった本3冊】
「俺たちのモノ語り」は、まことオーマが映画・趣味・気になるモノを肩の力を抜いて語り合うポッドキャストです。
このnoteでは、収録の中から「これは面白い」と感じた論点や作品・アイテム、そのテーマへのハマり方などを編集・再構成してお届けしています。
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英語のクイズ本、科学実験の図鑑、特撮怪人のデザイン資料集。普通なら一緒に並ばない3冊だけれど、どれも「構えなくても読める」し、「読んだ後に見える世界が変わる」という共通点がある。ポッドキャスト「俺たちのモノ語り」で出てきた3冊を、1冊ずつ紹介する。
今回出てきた本は、ジャンルが全部違う
英語、科学、特撮。3人が持ち寄った本のジャンルはまるでバラバラだ。でも、3冊に共通しているのは「ちゃんと読書しよう」と構えなくても読めること、そして読んだ後に「そういう見方もあるのか」と思えることだった。1冊ずつ紹介していく。
1冊目:英語が苦手でも、謎解きなら読めるかもしれない

『Two-Minute Mysteries』(ドナルド・J・ソボル)
マコが紹介したのは、ブックオフの洋書コーナーでたまたま見つけたという1冊。英語の勉強をしたいけれど、単語帳を開いて赤シートで隠して……という勉強はもうやりたくない。だったら洋書の簡単なやつを読もうと思って手に取ったのがこれだった。
この本の構造がよくできている。1話わずか2ページで完結する超短編ミステリーで、探偵ハレジアン博士が事件を解く。読者は「なぜこの探偵はわかったのか?」を推理する。そして答えは同じページの下に、逆さまに印刷されている。いちいち別のページをめくる必要がない。
つまり、短い英文を読んで、頭の中で推理して、ひっくり返して答えを確認する。この一連の流れが2分で終わる。英文が短いから途中で投げ出さないし、わからない単語を調べる非効率な読み方をしても、すぐ終わる。しかもその先に「推理する」という楽しみが待っている。
ちなみに、早川ミステリ文庫から『2分間ミステリ』として翻訳版も出ている。シリーズ化もされていて、『もっと2分間ミステリ』『まだまだ2分間ミステリ』と続いている。英語で読みたい人は原書を、ハレジアン博士の名前の読み方で悩みたくない人は翻訳版をどうぞ。
2冊目:俗説を科学で疑うと、こんなに面白い

「すごすぎる実験の図鑑」 ライブ (編集)
オーマが紹介したのは、日頃から集めている図鑑シリーズの1冊。タイトルの「すごすぎる」はちょっと大げさだけれど、中身はかなり面白い。
内容は、身近な疑問や言説を科学的に検証した実験の紹介。たとえば「モーツァルトを聞くと頭がよくなるのか」「床に落ちた食べ物は5秒以内なら食べていいのか」「マーフィーの法則は科学的に実証できるのか」。こうした俗説に対して、実際にどこの大学で、どんな実験が行われて、結果はどうだったのかが、見開き1ページ程度で簡潔にまとめられている。
特に話が盛り上がったのは2つ。
ひとつは「モーツァルト効果」。1993年にカリフォルニア大学の心理学者ラウシャーが行った実験が元になっているが、結論としてはモーツァルトを聞いても知能の発達には関係がない。ただし、モーツァルトを聞くとストレス値が下がるという別の研究はある。だから学習時の集中力に間接的に影響する可能性はあるが、「聞いたらIQが上がる」というのは飛躍だ。
もうひとつは「男性より女性のほうが痛みに強いのか」。カナダのモントリオール大学の研究グループが10年間で122の研究報告を分析した結果、痛みの感じ方に男女差は存在しなかった。あるとすれば個人差だ。
そしてこの本の美点は、ちゃんと出典が載っていること。この手の雑学本は出典が省略されがちだが、この本は元の研究まで追える。雑学で終わらず、調べる入口になる。
ちなみに、収録中に「結局何がどうすごすぎるのかはわからなかった」という感想が全員一致で出た。「面白い実験の図鑑」でよかったのでは、という気持ちは正直ある。でも中身は面白い。
3冊目:1回で倒される怪人のデザインを、じっくり見直す

『スーパー戦隊怪人デザイン大鑑 千変万化』シリーズ
スイが紹介したのは、スーパー戦隊シリーズに登場する怪人のデザイン画をまとめた資料集。現在4巻まで刊行されていて、ゴレンジャーの時代から年代順に収録されている。
この本の面白さを理解するには、まず「戦隊の怪人がどれだけ不遇か」を知る必要がある。ウルトラマンの怪獣はソフビ人形として商品化され、名前を覚えてもらえる。バルタン星人、ガラモン、ウーと、みんな自分の推しがいる。しかし戦隊の怪人は、基本的に1話限りで倒される。商品化されることもほとんどない。テレビの画面ではごちゃごちゃ動き回り、コミカルな声が当てられ、あまりじっくり見られることがない。
ところが、デザイン画として静止した状態で見ると、まるで違う。初期の怪人は石ノ森章太郎が手がけていて、立体化を前提としないような自由なデザインが多い。中期になると専門のキャラクターデザイナーが担当するようになり、デザイナーごとのセンスが爆発している。これがいわば黄金期だ。
一方、後期になるとデジタル化が進み、着ぐるみの制作効率が重視されるようになる。近年の作品では、首から下が共通スーツで頭部のマスクだけが個別にデザインされていたケースもあった。番組を見ている時には気づかなかったが、デザイン画として並べて見ると、その変化がはっきりわかる。
そしてスーパー戦隊シリーズは、第49作をもって完結した。今後、毎週新しい怪人が生まれ続ける場は失われた。この資料集は、50年間にわたって作られ続けた怪人デザインの歴史を手元に残せる、おそらく唯一の記録だ。
本は、好きなものを深く見るための道具になる
3冊を並べてみると、ジャンルはバラバラなのに、共通していることがある。どれも「構えて読む」必要がないこと。そして、どれも読んだ後に、それまでと少しだけ違う目で世界を見られるようになること。
英語が苦手でも、謎解きなら読める。科学に詳しくなくても、俗説を疑うことはできる。特撮に興味がなくても、デザインの歴史として見れば面白い。入口は自分の好きなものでいい。そこから見える景色が変われば、それはもう十分に読書だ。
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