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11月22日は、何気ないふつうの日。


11月22日は「いい夫婦の日」だった。
なんでも、“ふたりの時間”を大切にする日で、普段パートナーに伝えられない想いを伝え、気持ちをカタチにして贈る日なのだそうだ。

夫と出会って22年、結婚してまもなく11年になる。

お互い考え方も性格も正反対。けして息のあった、仲睦まじい夫婦ではないと思う。気遣い屋で繊細な夫と、基本「なんくるないさ」精神の、頑固なわたし。わかり合えずにぶつかりあい「もういい!」と家を飛び出すこともある。ママチャリを走らせて向かうのは、いつも近くの河川敷。

なんでこの人と結婚したんだろう。もう実家へ帰りたいとめそめそ泣くが、冷静になると基本、わたしがわるい。結局「ごめんなさい」と、すごすごと家へ戻るのがお約束だ。

自営業の夫の仕事を手伝っているため、ほぼ24時間一緒に過ごしている。仕事とプライベートの区別がつけにくく、ときどき自分が夫にとって妻なのか、それとも従業員なのか、わからなくなる。なにか嫌なことがあっても、相談したり逃げたりする場がなく、そこが少し苦しい。

記念日というものに興味のない夫は、おそらく今日が何の日か、気づいていないだろう。でも、わたしはせっかくの「いい夫婦の日」だから、仲良く気分よく過ごせたらいいなと、ひそかに思っていた。

しかしながら早朝から、夫をカンカンに怒らせてしまった。
夫が出かける直前になって、わたしが用意した書類に不備を見つけ、大至急直すことになった。出発時間はギリギリ、夫は激おこ。近所にも聞こえているだろう、大きな雷が落ちた。

朝から大きな失敗をしてしまい、深く落ちこむ。ああ、やっちまった。

午後。夫はふたたび外回りで、わたしは事務作業。朝のミスを挽回すべく、テキパキ頑張る。そして夕方、夫は会議のため出かけて行った。

夫は会議中もSlackで指示を出してくる。「お疲れさま、郵便局に行ったら終わりでいいよ」「はい」夜間窓口で郵便物を出して、業務が終了した。


ふらりと寄ったコンビニで、限定販売のビールを見つける。
おそらく夫は飲んだことがないはず。1本だけ買って帰る。

自宅に戻り夕飯の支度をしたあと、湯船に浸かって読書をしていると、夫が帰ってきた。そして「疲れた〜」とずんずんお風呂に入ってきた。

夫に連絡事項を伝え、仕事の話はおしまい。
そのあと、明日の予定について話し、話題はお互いの両親のことになる。

「おりさんがお気楽なのは、お父さんに似たんだな。」
「そうだねえ。じゃあ、あなたはどうなの?」
「うちの父親は、俺よりせっかちだからなあ」

夫が頭を洗いながら言う。
「おまえもさ、よく俺に耐えてると思う。けど、俺もよくおまえに耐えてると思うわ。まじで」
「あはは。ほんとお互いに、よく我慢しているよねえ。」

お風呂の中は、ぽわんと気分がよくなるのか、気持ちがそのまま言葉になる。夫がけしてストレートじゃないけれど、ちょっと労ってくれたのが珍しくて、うれしくて、なんだかほかほかする。

もしかして今日がいい夫婦の日なのを、知ってるのかな。

「ビール買ってきてくれたでしょ。」「うん、小さかった?」「いや、いい。あれ高くて買えなかったんだよね。」「ああ、たしかにちょっと高かったかも。わたしビール飲まないからさ、よくわかんないし、見たことないビールだったから買ってみたの。」「せんきゅー」

ふたりでサッカーワールドカップを観戦しながら、夕飯を食べる。
日本代表の方が強いとか、いよいよ盛り上がってきたねとか、
このビール美味いとか、おしゃべりしながら。

11月22日が「いい夫婦の日」だと、話題にもならなかった。
ただただ、何気ない、ふつうの日。

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