この世に、命より大事な仕事はありません|限界の中で視点が戻った日
はじめに
「もう限界かもしれない」
そう思いながらも、 次の日にはまた仕事に向かっている。
辞めたい気持ちはある。
でも、辞められない。
・迷惑をかけたくない
・ここで抜けたら回らなくなる
・自分がやらないといけない
そうやって、自分に言い聞かせながら続けている。
ただ、身体や気持ちは、少しずつ削られていく。
この状態は、珍しいものではありません。
✦1|辞められない理由
辞められない理由は、いくつもあります。
・責任がある
・任されている仕事がある
・人手が足りない
・自分が抜けたら困る人がいる
さらに、
・収入の不安
・生活の基盤
・年齢によるリスク
現実的な要素も重なります。
だから、「辞める」という選択が重くなる。
ここまでは、自然な流れです。
問題は、その状態が長く続いたときに起きます。
✦2|追い込まれているときに起きること
強いストレス環境の中にいると、 少しずつ感覚が変わっていきます。
・疲れているのが当たり前になる
・休むことに罪悪感が出る
・多少の無理が基準になる
そして、「このくらいはやらないといけない」というラインが、 どんどん上がっていく。
本来なら無理な状態でも、 「まだ大丈夫」と判断してしまう。
これは、根性があるからではなく、 状態が変わっているからです。
✦3|判断が鈍る構造
追い込まれているときは、判断が鈍ります。
選択肢が狭くなります。
・続けるしかない
・自分がやるしかない
この二択の中で、考えるようになります。
本来は、他の選択肢もあるはずなのに、見えなくなる。
そして、責任感が強い人ほど、 自分に負荷をかける方向を選びやすい。
ここで起きているのは、意志の問題ではなく、 状態の問題です。
✦4|外からの一言で、視点が戻った
私自身の話をします。
以前、自己愛性の強い社長の下で働いていた時期がありました。
無理な指示が続く環境でした。
納品が済んでいないのに取引先に支払いを求めるよう指示される。
できないと「無能」と言われる。
気に入らないことがあると、深夜でも長文のメッセージが届く。
社長とクライアントの板挟みになり、どちらからも怒られる。
それでも、辞められませんでした。
「プロジェクトを回さなければ」という思いが、 抜け出す選択を遠ざけていた。
少しずつ弱っていく私を見て、 クライアントの方がこう言ってくれました。
「深鈴さん、命より大切な仕事はないんですよ」
その一言で、 少しだけ視点が戻りました。
仕事の中だけで考えていたとき、 出口は見えなかった。
でも外から見ると 優先順位は違っていた。
その言葉が、退職を決意するきっかけになりました。
✦5|最後に守るもの
どんな仕事でも、 命や心身より優先されるものではありません。
これは、例外なく言えることです。
ただ、中にいるときは、それが見えなくなる。
だからこそ、外の視点が必要になることがあります。
そして、一番重要なのは、 限界の状態で判断しない方がいいということです。
判断力が落ちているときに出した結論は、偏りやすい。
まずは、状態を戻すこと。
その上で、どうするかを考えていく。
最後に守るべきものは、自分の命と心身です。
それは、他の何よりも優先されていいものです。
深鈴

