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響け♪ユーフォニアム 「特別」をめぐる物語

『響けユーフォニアム3』がフィナーレを迎えました(フィナーレの使い方あってるかしら)。にわかファンの私でさえユーフォロスというか12話と13話をエンドレスして1期に戻りそうです(『誓いのフィナーレ』ちょっと見た)。動画サイトやnote内でも感想や解説記事を漁っております(まさにオタクの楽しみ!)。

6月に発売されたこちらの短編集も読みました(ちなみに私は原作未読です)。


『響けユーフォ』は主人公・黄前久美子おうまえくみこ(サムネ画像の真ん中の女の子)の成長物語であり、部活群像劇でもあります。

全編見終わって強く思ったのは、やっぱりこの物語は「特別」をめぐるお話だなあと。それとスピンオフの『リズと青い鳥』(さりげなく自分の感想記事をリンク)にもあった「鳥かご」(=部活や音楽を通したつながり)のお話じゃないかと。
以下目次です。(約2900字)



🎺特別でありたい


久美子の親友・高坂麗奈こうさかれいな(サムネ画像左から2人目)はトランペットのプロ奏者を目指している音楽面で「特別」な存在。1期から「自分は特別」と言い切っていてその自意識にヒリヒリしました。
久美子は麗奈の影響もあって自分も上手くなりたいと強く思うわけですが、そんな二人の関係も「特別」でした。お互いを高め合えるようなソウルメイト、みたいな。

3期の山場である公開オーディションでは、アニメ版では麗奈が久美子に引導を渡すことになります。オーディションはブラインド(誰が吹いているのかわからない状態)で行われましたが、麗奈にはどちらの音が久美子かわかっていたうえで、あえてライバルの黒江真由くろえまゆを選んだのです。

この麗奈の選択は、麗奈と久美子にとって音楽の神様に試されていたし親友を信じられるかも試されていました。情に流されずに音楽性で選べるか、お互いの「特別」を尊重できるか。久美子にとっては部長としての正しさを貫けるかも試されていた。
結果、久美子はオーディションには敗れたけれど、皆を鼓舞する演説をかましてあまりにも立派な「英雄」になったと思います。(私的な友情よりも一奏者としてのプライドよりも部長としての正義を通し、結果を受け入れた)

オーディションの結果は原作とは異なるそうですが、アニメ版の方は(視聴者としては心底悔しいけれど)「特別」であろうとする久美子をより強調したものになっていたと思います。


🎺特別になりたくない


で、その「特別」ですが。
誰でも「優れてる」という意味の「特別」になりたいものですよね?(違う?)
先ほどの最新の短編集には久美子のライバル真由の小学校時代のエピソードがあり、それによると真由は人間関係が壊れるくらいなら特別になんかなりたくないと思ってきたようです。

黒江真由は『響けユーフォ』3期で初めて登場したキャラクーです(1番右の制服が違う子)。吹奏楽の強豪校からの転校生で、3期における久美子の最大の障壁となります。

真由は容姿も楽器の腕前も「特別」で本人もその自覚があるけれど「特別」になりたくないと。
真由がたびたび久美子に持ちかける「ソリ譲ろうか」は久美子を困惑させます。後輩のかなでが言うように悪意があるようにとられても仕方がない。自分の進退を相手の強引さに委ねようとしている(強引さを引き出そうとしている)のは非常に狡猾というか傲慢にも見えました。(繰り返しますが私は原作未読です)

真由の存在は部活のオーディションの難しさをあらためて浮き彫りにしたのではないでしょうか。部内の人間関係に影響を与えるし勝っても負けてもトラウマになりかねない。
それでも吹奏楽を続ける子たちは何かしら音楽の(または部活の)「特別」を持っている、あるいは「特別」であろうとしていると言えるのかも。(3年になるまでコンクールに出れなかった夏紀先輩や葉月ちゃんも含めて)

久美子は、真由が音楽に真摯に向かう姿勢を評価していました。「音楽には嘘をつけない、わざと下手に吹けない」と。
つまり真由は「特別」からは逃れられないのです。観念しろ真由(笑)。


ちなみに『リズと青い鳥』みぞれ希美のぞみは互いの「特別」がすれ違っていました。ifの話ですが、自分の音楽の才能に無自覚な みぞれ が、もし麗奈のようにフルート奏者を選ばなきゃいけない立場だとしたら。希美より上手な人がいても希美と吹きたいを優先したんじゃないかと思うのです。そこが全国に行けなかった要因かもしれないなあなんて。(あくまでも勝手な想像です。のぞみぞ好きですぞ)


🎺鳥かごの関係


次いで「鳥かご」について。
キャラクターで言えば麗奈やみぞれは音楽や部活を通したつながり(=鳥かご)を意識していました。
部活が終わってしまえば(久美子が音楽をやめてしまえば)つながりが絶たれてしまうと危惧する麗奈。そんな麗奈に、ずっと麗奈は特別で関係は変わらないと久美子は告げる。オーディション後の大吉山では、麗奈に誇れる自分でいたい(対等の特別であり続けたい)と久美子は言う。互いの鳥かごを解放して別のフィールドであっても。

最新短編集では卒業式直後に沖縄に演奏旅行に行くというエピソードがあるのですが、ここでも真由は鳥かごのアンチテーゼとなります。
久美子と真由が二人で息を合わせて演奏する場面で、もしもソリ争いなどがなければ真由と違う形で仲良くなれたかもしれないと久美子は考えるのです。
鳥かごがあるから絆が深まるケースもあれば、対立のきっかけにもなる。よくある話かもしれないけど、青春期の人間関係を固定化してしまう強固なかせだろうと思います。


🎺鳴らないメロディー


さて。アニメのソリ改変、私は肯定派なのですが、あるnoterさんが改変はあの事件と関係があるのではないかと指摘していて衝撃を受けました(どの記事か探せない、スミマセン。もしかしてアカウト消されましたか)。

原作では全国大会でソリを吹いたのは久美子でした。対してアニメではnewカマーである真由。久美子が奏でるはずだった音色は幻の、鳴らないメロディー。これはあの事件で命を落とされたスタッフさんたちであり、鎮魂の意味合いがあるのではと。鳴らないことで、描かないことで、不在を際立たせる。

最終回の演奏シーンでは過去シーズンの映像がたくさん使われていました。おそらくいまは亡きスタッフさんたちが手がけたものだろうとエックス等で言われています。また、会場の聴衆の中にスタッフさんらしき姿があったとも。

原作から追っている方の中には不満が残る方もいるかもしれませんが、京アニさんのいろんな思いが込められていると思うと、総集編絵巻のような演奏シーンが本当に宝物のように感じられます。関係者の方々のご冥福を心よりお祈りいたします。


最後に、鳥かごと特別について、原作を読んだ上で記事にされてるnoterさんがいらっしゃったのでリンクを貼らせていただきます。読みごたえがある素晴らしい内容です。(あやたか様にリンクのご承諾をいただきました。ありがとうございます)


サムネ画像は公式サイトの壁紙プレゼント画像です。

予告編のあのセリフがもう聞けないのは寂しいですね。
皆さんのそれぞれの生活で

次の曲が始まるのです!



(おわり)

#ネタバレ
#響けユーフォニアム


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