【童話】ズヌーと子ども部屋の魔法
こんにちはと初めまして。おすぬです。
このたび、ことばと広告様主催の「モノカキングダム2023」に参加いたします!
本記事はそのエントリー記事となります。(私にとっては初めての企画ものエントリーです!)
参考までに概要を貼らせていただきます。お題は「あったか」
誰でも#で参加できますよ〜!しめきり14日だそうです。
ショート童話です。(たぶん1200字ほど)
ズヌーと子ども部屋の魔法
子どもに愛されたおもちゃだけが「ほんもの」になれるという「子ども部屋の魔法」。毎年クリスマスにその魔法がおこるとされ、12月に入ると世界中のおもちゃたちはワクワクソワソワしていた。
ズヌーは黒い長い垂れ耳と、まん丸の黒い鼻がついた犬のぬいぐるみ。ポトフくんの3歳の誕生日におばあちゃんがプレゼントしてくれた。
あれから何年たっただろう。かがやくようにまっ白だったボディは、いまや薄汚れて毛並みもボサボサ。ポトフくんと一緒に寝ることもなくなり、いつしかズヌーは他のくたびれたおもちゃや絵の具やサッカーボールに混ざって、物置き部屋で過ごすようになっていた。
ズヌーも「子ども部屋の魔法」のことは知っている。
ずっと前からいる大きなクマのぬいぐるみグマーに聞いてみた。
「グマーはほんものになりたい?」
「私がほんもののクマになったら銃で撃たれちゃうわね。私はこのままでいい。それにこの家ではその魔法は見たことないわ」
最近物置き部屋に来たシマシマのネコのジマーは「ぜったいほんものになってポトフくんのそばにいたい」と息巻いている。
クリスマスの1週間前、物置き部屋の扉が開いた。この家の魔女、ママ・マジョ子だ。いつものように髪の毛をふりみだし、おそろしいまっ赤な口で言った。
「今年はウチでも例の魔法をやろうと思ってね。ほんものになりたい子はいるかい?」
まっ先にジマーが手をあげた。つづいてズヌーもおずおずと。
「二匹だけかい。ま、あの子次第だがね。じゃ、こっちにおいで」
ポトフくんが学校から帰ってきた。
「ポトフ、どっちがお気に入りだい?」
ジマーは目をキラキラさせ、いまにもすりすりと足を踏みだしそうだ。
ズヌーは少し悲しくなった。ぼくはポトフくんと一緒にいたいだけだ。ジマーと競争したいわけじゃない。
「んー。どっちも好きだよ」
ポトフくんは二匹を軽くなでると、中島くんと野球をしに出かけてしまった。
「まったくしょうがないね」
ママ・マジョ子が舌打ちする。
「いいかい、子ども部屋の魔法は一度に一匹きりだ。お前たち、言いたいことはあるかい?」
「ぼくの方がポトフくんが好き!いちばん愛されてるのはぼくだよ!」
ジマーが叫んだ。
「お前さんはどうだい?」
ズヌーの心は震えた。でも決心したことを伝えよう。
* * * * *
1週間後。クリスマスの朝。
ポトフくんの家にジマーそっくりのシマシマのネコがやって来た。ポトフくんは大喜び。ひとしきりネコと遊んだあと、ツリーの足元の包みに気がついた。
ポトフくんはていねいに包みをあける。
「マフラーだ!」
モフモフした真っ黒のマフラーをさっそく首に巻く。
「うん、あったかい!…ねえお母さん、これズヌーの耳みたいだ」
物置き部屋で、クマのぬいぐるみグマーがそっとつぶやいた。
「マフラーになってポトフくんのそばにいるなんて。よく考えたねズヌー。その手があったか」
おわり
あとがきにかえて
『ビロードのうさぎ』のパクリですかと聞かれたら。
はい。いいえ。オマージュです!
この絵本、絵もストーリーも素晴らしいので、機会があればどうぞ読んでみてください!
蛇足ですがこちらは私が「スーくんの耳」と呼んでるマフラーです。スヌーピーの耳みたいなんです。このマフラーがきっかけでこのお話を思いつきました。人魚姫が声とひきかえに足を得たように、ズヌーは耳と引き換えに…。

お読みくださりありがとうございました。
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