【BL紹介】あなたの「好き」は、本当に"私自身"に向いてる?と思ったことがある人へ|『Marble』川唯東子
BLマンガ『Marble』、川唯東子先生の作品。
私が大好きな一冊です。
まず、ちゃんとお仕事もの。
フレンチビストロのシェフとソムリエ。
それぞれが、自分の仕事に真剣に向き合ってるのが伝わってくる。
どんな話かというと
料理人としての腕は超一流、でも無愛想で横暴で不器用なシェフ・近森。
細やかに気が配れて、仕事のできるソムリエ・梶。
近森にとって梶は、仕事の上でいてくれないと絶対に困る存在。
信頼が好意に、好意が恋に育っていく。 でも梶は、まったく気づかない――。
ビストロを舞台に、シェフとソムリエの情熱が交差する物語。
料理がとにかくおいしそう🤤
胃袋をつかむ、ってこういうことか、と思う。
食欲――舌を喜ばせることって、 睡眠欲や性欲と同じベーシックな欲で、一度良質なものを摂取すると、そこから下げることってできなくなる。
梶の、「近森の料理じゃなきゃ」ってのはリアル。
梶が、近森のダメなところ全部許せちゃうくらい、その料理に惚れ込んでる。
ただ、そこにある「好き」のズレ
ここがこの作品の、一番刺さるところ。
梶が近森に言う「好き」は、 胃袋をつかまれてる、料理の技術に対しての「好き」。
近森のセンスと磨いてきた技術が、好き。
――でも、近森自身を好きなわけじゃない。
好きと言われるたび、
近森は舞い上がるのと同時に、
寂しくなる。
自分の「好き」と、相手の「好き」のズレ。
お前が好きなのは、俺じゃなくて、俺の技術だろ、っていう。
自分が積み上げてきた記号や機能に惹かれてるだけで、 それは私自身じゃないよね、っていう諦めの あの感じ、よくあるよなって思う。
しかも近森、デフォルト暴君なくせに、無自覚にドMを発揮しちゃうところもあって、そこがまたおいしい🤤
人と人とが、何を共有するか。
その共有する要素を変化させるって、わりと大変なこと。
地盤を――変えていくような作業。
仕事の仲間としては、最高のバディ。 でも、そこにもう一個「性」を加えるとなると、 一番大きな変動が、地盤に起こる。
それをちゃんと、丁寧に描いてる。
だから、近森とにかく頑張れって思っちゃう。
不器用すぎて、欲しい気持ちはあるのに、手を伸ばすことすら発想にない。 もう、応援しちゃう。
380ページを超える、長めの一冊。関係性を丁寧に描くには、これくらいの分量がちようどいい。
梶と近森だけじゃなく、周りのキャラもみんな生き生きしてる。
BL AWARD 2019 漫画部門 第10位。
こんな人に
あなたの「好き」は、本当に“私自身”に向いてる?と思ったことがある人
ちゃんとしたお仕事もの×恋が読みたい人
おいしそうな料理と一緒に、関係が育っていく物語が好きな人
不器用な人を、応援しながら読みたい人
作品情報
『Marble』 著:川啒東子 出版社:リブレ/ビーボーイコミックスデラックス
🦉
