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おだやかな《再生》の物語 ~絵本『レミーさんのひきだし』~

『レミーさんのひきだし』、斉藤倫・うきまる 作、くらはしれい 絵、小学館、2020年11月


[絵本《SHORT》紹介]

Ⅰ.カバーの表裏と、表紙・裏表紙の絵にご注目!

本作品の表紙には、出版社のホームページや物販サイトで見かける通り、水色のタンスの前でひきだしに手を突っ込んで何かを取り出そうとしている女性の後ろ姿が描かれている。ついでながら、裏表紙の絵はあまり見かけないわけだが、本作品に登場する雑貨小物たち(ほつれたリボン・空き瓶・空き缶・空き小箱)が描かれている。

これらは、実はいずれもカバーのみに描かれた絵で、そのカバーを外すと、なんと、実際の表紙・裏表紙には別の絵が描かれてあって、私たち読者は絵本の外装の部分を2度楽しむことができる。
「レミーおばあさんは、あれを取り出そうとしてたんやな」
「この雑貨たちは、こんなふうに再生したんかぁ」

そう、カバー絵と実の表紙・裏表紙の間にも、物語の時間が経過しているのである。通常はカバー絵と表紙絵が同一であることが多いが、ごく稀〔まれ〕ながら、私たちはこんなタイプの絵本と出会うこともある。 

Ⅱ.《再生》する小物雑貨たち

最近は出版社のホームページにおける絵本の作品紹介が、なんとも非常に饒舌〔じょうぜつ〕で、ほぼ《ネタばれ》のような印象を受けるのだが、本作品についても、次のような詳しい紹介がなされている。

〈書籍の内容〉
耳をすますと、聞こえてくるのは誰の声?
レミーおばあさんのたんすのひきだしには、かつて活躍したたくさんの小物たちがしまわれています。
ある日そこに、チョコレートを宝石のように彩っていた小箱が仲間入り。周りのみんなは、次はどんな役割を与えられるか、ドキドキしていました。時が過ぎるにつれて、小物たちはレミーさんに新しい役割を与えられ、嬉しそうに、次々とひきだしの中から旅立っていきます。だんだんさびしくなっていくひきだしの中で、次第に不安になる小箱。
そんなとき、レオおじいさんが訪ねてきました。
〈編集者からのおすすめ情報〉
このお話にでてくる小物たちは、かつて大活躍した小物ばかり。今は役目を終えて、ひきだしの中にしまわれていますが、みんな、次はどんな役割を担うのか、不安と期待でいっぱいなのです。
なんだか、自分に置き換えてしまいそうです。まだ見ぬ未来の自分に希望を持つ小物たちを、応援したい気分になりました。
物も人間も、人生はいいことと、そうでもないことのくり返しなのかも知れませんね。前作『はるとあき』に次ぐ斉藤倫+うきまるワールドを、絵本デビューとなるくらはしれいさんの、少しレトロで異国情緒漂うかわいい絵で彩ります。たくさんのみなさんに読んでいただけたら幸いです。

小学館ホームページ「レミーさんのひきだし」

Ⅲ.生まれ変わりの母胎=レミーさんのひきだし

そんなわけで、役目を終えた小物雑貨たちに新たな活躍の機会を与えるのがレミーおばあさんであり、彼女は使用済みの小物たちを捨てず取っておいて再利用するエコ生活者なのだった。

物語の《語り手》は、レミーさんのタンスの引き出しに新参者として投じられたチョコレートの小箱。先輩である他の小物たちが、次々と新しい役割を得て《再生》を果たしていくのを目〔ま〕の当たりにする。

シンプルに言えば、再利用とかリサイクルなのだが、ちと大げさに言えば、《役割の全〔まっと〕う→暗い閉ざされた空間(ひきだし)→新たな役割の付与》という流れは、《レミーさんのひきだし》という母胎を経た小物たちの生まれ変わりにほかなるまい。

Ⅳ.結末に描かれるもう一つの《再生》

自分の出番は訪れるのかと、不安にかられはじめていた小箱は、やがてレオおじいさんに引き取られる。そして、小箱が果たした新たな役割=《再生》が、物語のラストで大いなる《再生》へ絡〔から〕んでいく。

私たち読者は、ラストに至ったところで、「おおっ、そうきたか!」と、ほんわかと納得せざるを得ないかたちで《再生》のテーマがつらぬかれていることに気づくはずである。

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