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第10回 好きな曲なのに、今日は聴きたくない。音楽にも「その日の相性」がある

こんにちは。
オトシル編集部です。

昨日まで何度も聴いていた曲なのに、今日はなぜか再生する気になれない。

イントロが流れた瞬間に、「今はちょっと違うな」と止めてしまう。
嫌いになったわけではない。むしろ、好きな曲のはずなのに。

そんな日があります。

朝の電車では元気な曲が少しうるさく感じて、仕事終わりには静かな音楽さえ重たく感じる。休日には心地よかったプレイリストが、忙しい平日にはまったく頭に入ってこないこともあります。

音楽の好みは、ずっと同じもののように見えて、実はそれほど固定されたものではないのかもしれません。

眠いのか。
疲れているのか。
緊張しているのか。
少し気分が沈んでいるのか。

その日の体調や気分、時間帯、いる場所によって、同じ音でも受け取り方は変わります。

アップテンポな曲に背中を押される日もあれば、「今日は急かさないでほしい」と感じる日もある。歌詞に救われる日もあれば、言葉のない音だけを聴いていたい日もあります。

だから、「この曲はリラックスできる」「この音楽は集中に向いている」と一つに決めるのは、少し乱暴なのかもしれません。

大切なのは、一般的に良い音楽かどうかではなく、今の自分に合っているかどうかです。

ただ、それを自分で見つけるのは意外と難しい。

SpotifyやYouTube Musicを開いて、おすすめを眺めてみる。けれど、一曲再生しては「違う」と止め、別のプレイリストへ移り、気づけば何を聴きたかったのかさえ分からなくなっている。

音楽を聴いて整えたかったはずなのに、選ぶことそのものに疲れてしまう夜もあります。

選択肢が足りないのではありません。
むしろ、選択肢は多すぎるほどあります。

足りないのは、今の自分に合う一曲へ、迷わずたどり着く方法なのかもしれません。


そして、もし選ぶ必要すらなかったら。

その日の疲れや緊張、時間や場所に合わせて、必要な音楽がその場で自然に生まれてきたら。

私たちは音楽を探すのではなく、ただ耳を澄ませるだけでよくなるのかもしれません。

「今日はこの曲じゃない」と感じることは、気まぐれではなく、身体や心からの小さなサインなのだと思います。

好きな曲を聴けない自分を、無理に元気づけなくてもいい。再生を止めてもいい。何も聴かないという選択だってあります。

いつか私たちが音楽を探すのではなく、音楽の側が、その日の私たちに気づいてくれるようになったら。

好きな曲を、好きなままでいられる時間も、もう少し増えるのかもしれません。

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