風船で旅するクジラ【3つのお題に空想のひらめきを】
ファンタジーのお題に挑戦しました!
ファンタジーになったのかな…ドキドキ……。
2,700字ほどありますので、お時間ある時にお読みいただけると嬉しいです!
よろしくお願いします☆彡
🎈お題①:「風船で旅するクジラ」
🐾お題②:「雲の住む音楽家」
⏳お題③:「虹色の温泉」
「海は広いな~大きいな~♬」
クジラが陽気に歌いながら海原を散歩していると、カモメが空から「ヘヘッ」と笑いながら
「空は海より~大きいぞ~♬」
と歌いながら近づき、クジラの頭の上で羽を休め始めました。
クジラはちょっとうっとおしそうにカモメを見て言います。
「そんな歌詞ちゃう!
邪魔せんとってくれる?」
カモメは悪びれる風もなく、クジラの頭の上に寝そべり
「だって、ほんまのことやし~。
海より空の方が大きいし、広いで~」
と空マウントをとってきました。
クジラも負けじと海の良さをカモメに伝えるも、カモメは
「空から見た海はきれいやで~」
「空とふわふわの雲の景色見ながら、音楽家の演奏を聞いてみ!
この世のものとは思われへんで!!」
とつらつらと空の良さを語ります。
ついに言うことがなくなったクジラは、頭から勢いよく潮を吹いてカモメを吹っ飛ばしました。
「頭の上で自慢話ばかりぬかして!!
もう2度と休憩なんてさせてやれへんからな!!」
クジラはプンプン怒ってザブザブと海原を進みつつも、ふと考えます。
(そら、見れるもんなら空からの景色、見てみたいけど……
僕には羽もないし、そもそも海でしか生活できひんから、一生見ることないんやろうな……)
クジラはいつもより海の塩を濃く感じながら、チャプンチャプンと泳ぎ続けます。
すると吹っ飛ばされたカモメが飛んできて、申し訳なさそうにクジラに言います。
「すまん、すまん。
ちょっと調子に乗ってもうてん。
堪忍やで。」
むくれたクジラはだんまりです。
カモメはしばらく考え込んで「そうや!」と言うと
「……なあなあ、オレと一緒に空の旅せえへん?」
と突然の突拍子もない提案をしました。
驚いたクジラは思わず大きな声を出します。
「空の旅??
僕、クジラやで?
空なんて飛ばれへんのに、どうやってすんの??
まだ、ペンギンやトビウオの方がワンチャン、いけるんちゃう?」
すると、カモメがちょっと得意げに言います。
「……この先泳いだところにな、『虹色の温泉』って言うのがあんねん。
この温泉は、見た目もきれいな上に、願い事も叶うって有名な温泉やねん」
クジラは少しキョトンとしたのちに笑い出します。
「虹色の温泉って!!
それ、油が浮いてるだけやろ!
僕、体が油まみれになるなんて嫌やで!」
カモメは慌てて言います。
「油ちゃうわ!
もう、自分の目で見たほうが早いって。
オレについてこい!」
クジラはしぶしぶカモメについていきました。
しばらく泳いでいると、湯煙が見えてきて、そこには赤・青・黄・紫……と七色のお湯が滝のように流れていて、その下には七色の温泉がありました。
「うわ~!!
ほんまに虹色の温泉や~!!」
クジラは喜んで、温泉にザブリと飛び込みました。
カモメも一緒に温泉につかり、しばし虹色の温泉を堪能します。
どこまでも広がる青い空には白い雲がゆったりと流れています。
しばらくすると、クジラがポツリと言います。
「こんなきれいな温泉につかってたら……
空の旅もできそうな気がしてきたわ~。
いろんな景色見れて、楽しいんやろうな~。
あ~空の旅、してみた~い!!」
すると、クジラの体からポコポコポコと虹色の風船が生えてきて、クジラの体をふわりと空へと持ち上げていきます。
「え!!
僕、空飛んでる!?」
カモメはしたり顔でクジラに言います。
「なっ!
ほんまに虹色の温泉はあったし、空も飛べるようになったやろ?
さぁ~空の旅、出発や~!!」
クジラとカモメの空の旅が始まりました。
空飛ぶクジラは、キョロキョロしながら景色を眺め、カモメにあれこれ質問をします。
カモメは一つ一つ丁寧に答えました。
しばらく飛んでいると、大きな雲の塊がせまってきました。
「お!
あの雲の中に入るで~。
抜けたら、雲の上の音楽家たちの演奏が聴けるで!」
ボフッと雲の中に入ると、目の前が真っ暗になり、ゴオゴオと吹き荒れる風と、ドンッと体を震わせるような雷が鳴っています。
「ちょ、ちょっと、カモメ!!
ほんまにここ通らなあかんの!?」
「……間違えた。
おっと、右から雷くるで!
あ、でも風船には雷落ちひんか??」
「落ちひんくても怖いわ!!」
カモメはクジラにしがみつき、右だ左だと指示をします。
クジラは必死に胸びれを動かして進みます。
すると突然、ポンと雲の中から出ることができました。
先ほどとは打って変わり、柔らかな月明りと穏やかな風が吹き、どこからか優しい音色が聴こえてきました。
「お~、チューニングしている音やな!
これから雲の上の音楽家たちの演奏会が始まるで~!」
クジラとカモメが音の鳴る方へ近づくと、そこにはピアノにバイオリン、チェロ、フルート、ハープなどの楽器を持った人や動物たちが静かに集まり、それぞれが音を確かめるように弦を鳴らしたり、笛に息を通したりしていました。
そして、指揮者が音楽家たちの準備が終わるのを見届けると、ふわっとタクトを振り上げました。
風のように美しい旋律が響き渡ります。
その旋律はまるで、クジラが暗い海から顔を出して夜空を見上げた時、目の前に広がる満天の星空が降り注いでくるような音でした。
キラキラとした音の粒がクジラとカモメを包み込みます。
演奏が終わり、音楽家たちが立ち上がって丁寧にお辞儀をして、ようやくクジラは大きく息を吸いこみます。
「すごい!!
こんなきれいな音楽、初めて聴いたで!!」
胸びれで大きな拍手をしているうちに、感極まってクジラはブシューと虹色の潮を盛大に吹き上げました。
月明りに煌めく虹色の水飛沫は音楽家たちのもとに降り注ぎ……
「ぎゃー!!
楽譜が~!!
楽器が濡れる~~~!!」
と大騒ぎになってしまいました。
「あっ!
指揮者さんの白髪まで虹色になってる!」
カモメはクジラの頭の上でケタケタと笑っています。
クジラは慌てて音楽家たちに謝罪します。
「今度から気を付けてや~。
でも、そんなに感動してもらえたんなら、演奏した甲斐があるで」
音楽家たちは優しく微笑みながらそう言ってくれました。
そして、クジラとカモメは音楽家たちに別れを告げて、次に旅へと進みました。
カモメはスイ~っと飛びながら言います。
「次の行き先も驚くで~。
楽しみにしときや~!
……でも、1個お願いがあんねん」
クジラはキョトンとしながら聞きます。
「お願い??
なんやろ。
僕にできることやろか?」
カモメはちょっと照れくさそうに言います。
「……空の旅が終わったら、今度は海の旅、してみたいねん。
その時、クジラが案内してくれへん??」
クジラはニコリと笑って
「海の旅!?
お安い御用やで!!
空にも負けへんきれいな景色、いっぱい見せたるわ!」
そういって、虹色の潮を盛大に吹き上げるのでした。
おしまい。
