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風船で旅するクジラ【3つのお題に空想のひらめきを】

ファンタジーのお題に挑戦しました!
ファンタジーになったのかな…ドキドキ……。
2,700字ほどありますので、お時間ある時にお読みいただけると嬉しいです!
よろしくお願いします☆彡

🎈お題①:「風船で旅するクジラ」
🐾お題②:「雲の住む音楽家」
⏳お題③:「虹色の温泉」

🍊第55回 3つのお題(ファンタジー)


「海は広いな~大きいな~♬」

クジラが陽気に歌いながら海原を散歩していると、カモメが空から「ヘヘッ」と笑いながら

「空は海より~大きいぞ~♬」

と歌いながら近づき、クジラの頭の上で羽を休め始めました。

クジラはちょっとうっとおしそうにカモメを見て言います。

「そんな歌詞ちゃう!
 邪魔せんとってくれる?」

カモメは悪びれる風もなく、クジラの頭の上に寝そべり

「だって、ほんまのことやし~。
 海より空の方が大きいし、広いで~」

と空マウントをとってきました。

クジラも負けじと海の良さをカモメに伝えるも、カモメは

「空から見た海はきれいやで~」

「空とふわふわの雲の景色見ながら、音楽家の演奏を聞いてみ!
 この世のものとは思われへんで!!」

とつらつらと空の良さを語ります。

ついに言うことがなくなったクジラは、頭から勢いよく潮を吹いてカモメを吹っ飛ばしました。

「頭の上で自慢話ばかりぬかして!!
 もう2度と休憩なんてさせてやれへんからな!!」

クジラはプンプン怒ってザブザブと海原を進みつつも、ふと考えます。

(そら、見れるもんなら空からの景色、見てみたいけど……
 僕には羽もないし、そもそも海でしか生活できひんから、一生見ることないんやろうな……)

クジラはいつもより海の塩を濃く感じながら、チャプンチャプンと泳ぎ続けます。

すると吹っ飛ばされたカモメが飛んできて、申し訳なさそうにクジラに言います。

「すまん、すまん。
 ちょっと調子に乗ってもうてん。
 堪忍やで。」

むくれたクジラはだんまりです。

カモメはしばらく考え込んで「そうや!」と言うと

「……なあなあ、オレと一緒に空の旅せえへん?」

と突然の突拍子もない提案をしました。

驚いたクジラは思わず大きな声を出します。

「空の旅??
 僕、クジラやで?
 空なんて飛ばれへんのに、どうやってすんの??
 まだ、ペンギンやトビウオの方がワンチャン、いけるんちゃう?」

すると、カモメがちょっと得意げに言います。

「……この先泳いだところにな、『虹色の温泉』って言うのがあんねん。
 この温泉は、見た目もきれいな上に、願い事も叶うって有名な温泉やねん」

クジラは少しキョトンとしたのちに笑い出します。

「虹色の温泉って!!
 それ、油が浮いてるだけやろ!
 僕、体が油まみれになるなんて嫌やで!」

カモメは慌てて言います。

「油ちゃうわ!
 もう、自分の目で見たほうが早いって。
 オレについてこい!」

クジラはしぶしぶカモメについていきました。

しばらく泳いでいると、湯煙が見えてきて、そこには赤・青・黄・紫……と七色のお湯が滝のように流れていて、その下には七色の温泉がありました。

「うわ~!!
 ほんまに虹色の温泉や~!!」

クジラは喜んで、温泉にザブリと飛び込みました。

カモメも一緒に温泉につかり、しばし虹色の温泉を堪能します。

どこまでも広がる青い空には白い雲がゆったりと流れています。

しばらくすると、クジラがポツリと言います。
 
「こんなきれいな温泉につかってたら……
 空の旅もできそうな気がしてきたわ~。
 いろんな景色見れて、楽しいんやろうな~。
 あ~空の旅、してみた~い!!」

すると、クジラの体からポコポコポコと虹色の風船が生えてきて、クジラの体をふわりと空へと持ち上げていきます。

「え!!
 僕、空飛んでる!?」

カモメはしたり顔でクジラに言います。

「なっ!
 ほんまに虹色の温泉はあったし、空も飛べるようになったやろ?
 さぁ~空の旅、出発や~!!」

クジラとカモメの空の旅が始まりました。

空飛ぶクジラは、キョロキョロしながら景色を眺め、カモメにあれこれ質問をします。

カモメは一つ一つ丁寧に答えました。

しばらく飛んでいると、大きな雲の塊がせまってきました。

「お!
 あの雲の中に入るで~。
 抜けたら、雲の上の音楽家たちの演奏が聴けるで!」

ボフッと雲の中に入ると、目の前が真っ暗になり、ゴオゴオと吹き荒れる風と、ドンッと体を震わせるような雷が鳴っています。

「ちょ、ちょっと、カモメ!!
 ほんまにここ通らなあかんの!?」

「……間違えた。
 おっと、右から雷くるで!
 あ、でも風船には雷落ちひんか??」

「落ちひんくても怖いわ!!」

カモメはクジラにしがみつき、右だ左だと指示をします。

クジラは必死に胸びれを動かして進みます。

すると突然、ポンと雲の中から出ることができました。

先ほどとは打って変わり、柔らかな月明りと穏やかな風が吹き、どこからか優しい音色が聴こえてきました。

「お~、チューニングしている音やな!
 これから雲の上の音楽家たちの演奏会が始まるで~!」

クジラとカモメが音の鳴る方へ近づくと、そこにはピアノにバイオリン、チェロ、フルート、ハープなどの楽器を持った人や動物たちが静かに集まり、それぞれが音を確かめるように弦を鳴らしたり、笛に息を通したりしていました。

そして、指揮者が音楽家たちの準備が終わるのを見届けると、ふわっとタクトを振り上げました。

風のように美しい旋律が響き渡ります。

その旋律はまるで、クジラが暗い海から顔を出して夜空を見上げた時、目の前に広がる満天の星空が降り注いでくるような音でした。

キラキラとした音の粒がクジラとカモメを包み込みます。

演奏が終わり、音楽家たちが立ち上がって丁寧にお辞儀をして、ようやくクジラは大きく息を吸いこみます。

「すごい!!
 こんなきれいな音楽、初めて聴いたで!!」

胸びれで大きな拍手をしているうちに、感極まってクジラはブシューと虹色の潮を盛大に吹き上げました。

月明りに煌めく虹色の水飛沫は音楽家たちのもとに降り注ぎ……

「ぎゃー!!
 楽譜が~!!
 楽器が濡れる~~~!!」

と大騒ぎになってしまいました。

「あっ!
 指揮者さんの白髪まで虹色になってる!」

カモメはクジラの頭の上でケタケタと笑っています。

クジラは慌てて音楽家たちに謝罪します。

「今度から気を付けてや~。
 でも、そんなに感動してもらえたんなら、演奏した甲斐があるで」

音楽家たちは優しく微笑みながらそう言ってくれました。

そして、クジラとカモメは音楽家たちに別れを告げて、次に旅へと進みました。

カモメはスイ~っと飛びながら言います。

「次の行き先も驚くで~。
 楽しみにしときや~!
 ……でも、1個お願いがあんねん」

クジラはキョトンとしながら聞きます。

「お願い??
 なんやろ。
 僕にできることやろか?」

カモメはちょっと照れくさそうに言います。

「……空の旅が終わったら、今度は海の旅、してみたいねん。
 その時、クジラが案内してくれへん??」

クジラはニコリと笑って

「海の旅!?
 お安い御用やで!!
 空にも負けへんきれいな景色、いっぱい見せたるわ!」

そういって、虹色の潮を盛大に吹き上げるのでした。

おしまい。


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