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花火が消えたあと【3つのお題に空想のひらめきを】

昭和ノスタルジーに挑戦しました。
1,700字ほどあります。
お時間ある時にお読みいただけると喜びます。
よろしくお願いします☆彡

🎈お題①:「海まで走った夏休み」
🐾お題②:「花火が消えたあと」
⏳お題③:「深夜放送から届いた手紙」

🍊第61回 3つのお題(昭和ノスタルジー)

とある深夜番組から一通の手紙が届いた。

『拝啓

先日は、当番組「夜更かしアワー・べしゃり道」へ貴重なお便りをお寄せいただき、誠にありがとうございました。

慎重に選考いたしました結果、あなた様のお便りを次回放送分に採用させていただくこととなりました。

つきましては、ささやかではございますが、採用記念品として「〇〇ホテル最上階レストランでの花火鑑賞券」を同封いたします。

これからも、皆様の心に残る番組づくりに努めてまいります。
今後とも「夜更かしアワー・べしゃり道」をよろしくお願いいたします。

敬具
✕✕放送 番組スタッフ一同』

手紙と花火鑑賞券を持ったまま、あいはガッツポーズをし、すぐさま婚活パーティーで知り合って、ちょくちょく会っている蜜子を誘うことにした。

(これは……これは……もう、そういうことだろう!!)

あいは、この日に蜜子に告白することを決めた。

そして花火大会当日。

〇〇ホテルのロビーで待ち合わせしていた二人は、少し気恥ずかしい雰囲気をまといつつ、最上階のレストランに行き、食事を楽しみながら、花火を鑑賞した。

鑑賞した……といっても、あいは、花火の音より心臓の音がうるさくて、落ち着かなかった。

食事もほとんど味がしない。

ただ、花火が終わった時に、蜜子に告白する……そのことばかり考えていた。

花火が消え、静まり返った店内で、あいは意を決して口を開いた。

「あんな、蜜子ちゃん。
 実は――」

その瞬間、「ガッシャーン!!」と隣のテーブルでシャンパングラスが割れ、怒号と悲鳴が響き渡った。

店員がドタドタと走り回り、ロマンチックなムードは一瞬で霧散した。

気を取り直して、あいがもう一度口を開きかけた時に、蜜子のスマホの着信音が鳴る。

「あいくん、ごめん!!
 なんや、会社でトラブル発生してもうたみたいやねん。
 私も担当してるやつやから……また、ゆっくり会おうな!!」

蜜子は申し訳なさそうな顔をしながらも、帰り支度をしてお店から出て行ってしまった。

一人残されたあいは、頭を抱えた。

「タイミング!!
 なんちゅうタイミングの悪さや!!」

あいはホテルから出てとぼとぼと家路についていたが、途中から何とも言えない衝動に駆られて、街の中を走り始めた。

何も考えずに、汗だくになりながら無我夢中に走り続け、たどり着いたのは海だった。

ハァハァと息を荒らげながら砂浜に立つと、少し離れたところで、おじいちゃんから子どもまで賑やかに手持ち花火を楽しんでいる「三世代家族」が目に入った。

パチパチと弾ける線香花火の光。

楽しそうな歓声。

(あ……そうか、今って夏休みなんや……)

夜の海でファミリーが花火をしている光景をぽかんと眺めながら、あいは急に冷静になった。

(冷め切った夜の海まで走ってくるとか……オレ、なんかめちゃくちゃ青春してへんか……?)

自分が急に可笑しくなって、くすっと苦笑いが漏れた。

と同時に、胸の奥から妙な開き直りと勇気が湧いてくる。

あいはポケットからスマホを取り出すと、蜜子の電話番号をタップして耳に当てた。

プルルル……プルルル……。

『もしもし、あいくん?
 今日はほんまごめんやで……
 でも、レストランの食事も花火もめちゃ楽しかったわ!』

少し申し訳なさそうな、でも楽しそうに弾んでいる蜜子の声があいの耳に優しく届く。

あいは大きく息を吸い込み、海に向かって叫ぶような勢いで口を開いた。

「蜜子ちゃん!
 オレ、今……海におんねん!」

『えっ……? 海……!?
 あれから、海行ったん??』

「うん。
 なんか……海に来てもうた。
 家族連れが花火してるわ。
 こっちの花火も、楽しそうやわ」

『……そうなんや。
 手持ち花火とか、もうずいぶんやってへんわ』

「オレもや。
 やから、今度は一緒に花火やろう。
 ……あと、オレ、蜜子ちゃんのこと好きやねん。
 付き合ってください!」

静かな波の音の向こうで、蜜子がフッと息を呑む気配がした。

あいの心臓は、かつてないほどに鼓動が速くなっていた。

波の音だけが、二人のあいだを静かに満たしていく。

おしまい。

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