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鬼退治に行ったら、鬼がいなかった話【3つのお題に空想のひらめきを】

日本むかし話のお題に挑戦しました。
2000字近くあるので、お暇な時にお読みいただけると嬉しいです☺️
よろしくお願いします🙇

🎈お題①:「寝坊した桃太郎」
🐾お題②:「鬼のアルバイト」
⏳お題③:「方向オンチの天狗」

🍊第52回 3つのお題(日本むかし話)

「いよいよ、明日、鬼ヶ島へ鬼退治へ行く日や。
 みんな、気合入れて行くで!!」

桃太郎が、サル・キジ・イヌ……そして天狗に言い、サルはウキキと飛び跳ね、キジはケーンと雄たけび、イヌは尻尾をブンブンふります。

天狗はひげを触りながら言います。

「桃太郎殿には、山の中で迷子になっとるところを助けてもろたからな……。
 鬼退治では、わしの羽団扇で嵐を起こし、一気に片を付けるで!!」

その言葉を聞いて、桃太郎は頷きながら言います。

「天狗殿がおれば、百人力やな。
 ……まあ、方向音痴やけどな」

「それ言う~!?」

みんなで大笑いし、その夜は遅くまで盛り上がりました。

***

その頃、鬼ヶ島では伝達係の鬼が、鬼の親分のところへ駆けつけます。

「親分、大変です。
 明日、桃太郎がサル・キジ・イヌ……そして天狗をつれて、鬼ヶ島に来て我々を退治するそうです!!
 先日、人間の村の野菜やら、なんやらを、無理やり奪ってしもたから、とうとう怒りを買うてまいました!!」

鬼の親分は腕を組んでう~んとうなります。

「……ちょっと、やりすぎたか……。
 でも、ええ白菜できてて、うまそうやってんなあ……。
 桃太郎もやけど、天狗はやっかいやな……。
 ……よし、めっちゃ謝ろう!
 心を込めて、めっちゃ謝ろう!」

鬼の親分は手下鬼を何匹か連れて、人間の村に行き、土下座してめっちゃ謝りました。

村の村長さんは、最初は怒っていたけれど、めっちゃ謝るので、

「ほな、しばらくうちの村でアルバイトして、村のために働いてくれたら許してやるわ。
 どや、できるか?」

鬼の親分は頭をあげて、村長をまっすぐ見て言います。

「もちろんです!!
 炊事、洗濯、家事、掃除……なんでもやります!!
 自分、そういうの得意なんで!!」

鬼のアルバイトが決まった瞬間でした。

***
鬼ヶ島へ行く日のこと。

サル・キジ・イヌが待ち合わせ場所に集まるも、桃太郎も天狗も来ませんでした。

3匹は桃太郎の家に行くと、桃太郎はよだれを垂らして気持ちよく眠っていました。

「めっちゃ寝てるやん。
 お~い、桃太郎さん。
 鬼ヶ島行くで~」

桃太郎はその声でハッと起きて、ドタバタと準備をします。

「ごめん、ごめん!!
 興奮して、なかなか寝られへんかってん!!
 よっしゃ、鬼ヶ島、行くで!!
 ……って天狗殿は??」

「……そういえば、天狗殿も来てへんかったな」

「……あ!!
 あいつ、めっちゃ方向音痴やから、どっかで迷ってるかもしれへんわ!
 ……もう、あいつ抜きで行くで!!」

結局、天狗抜きで鬼ヶ島に行くことになりました。

***
人間の村でアルバイトを始めた鬼たちは、今までの暴れっぷりが嘘かのように、真面目に働きます。

重い荷物を運ぶのはお手の物ですが、掃除、洗濯、草むしり……なんでもやります。

しかし、たまに料理の味見をするのに一口が大きすぎて半分食べてしまったり、力が有り余って洗濯物をやぶいてしまったりしましたが、村の人たちは「さすが鬼やな~」と笑って許してくれました。

鬼の親分は汗を拭きながら思います。

(……こうやって、誰かのために働くのって……こんな気持ちのええことやったんやな……)

空を見上げて深呼吸をしていたその時です。

桃太郎の家に行こうとして迷いながら空を飛んでいる天狗と目が合いました。

「……えっ!?
 おい、鬼どもめ!!
 また、村を襲ってんのか!!」

「ちゃうちゃう!!
 心入れ替えて、村で働いてんねん!!」

「嘘つけ!!
 わしが羽団扇で吹き飛ばしてやる~!!」

天狗が羽団扇を一振りした瞬間、干してた洗濯物は一瞬で乾き、落ち葉は空高く舞い上がってどこかへ行き、畑の雑草も吹っ飛んでいきました。

「どうじゃ!
 まいったか!!」

「おお~、鬼の次は、天狗まで村のために働いてくれはるとは!!」

「天狗さんすご~い!!
 ありがとう!!」

村長さんは感心し、村人たちは大喜びです。

天狗はその場の雰囲気に流されて

「……まあね。
 わし、正義感強めやからね。
 このくらい、朝飯前やで。」

と鼻を高くして言いました。

「ちなみに天狗さん、桃太郎さんの家、探してたみたいやけど、反対方向やで」

「……え?そうなん??」

天狗の顔は真っ赤になりました。

***
さて、鬼ヶ島に到着した桃太郎一行でしたが、どこを探しても鬼がいないことに気づきました。

「鬼、おらへんやん。
 もしかして、逃げてもうたんかな?」

空を飛びまわって確認していたキジが言います。

「そうちゃいます??
 ほんまに、すっからかんですわ」

桃太郎は得意げな顔をして言いました。

「よっしゃ!!
 鬼退治、完了やで!!
 今日は祝杯すんで~」

意気揚々で村に帰り、祝杯をあげた桃太郎は、天狗が村で大活躍したことも、鬼が改心したことも、知ることなく、次の日も気持ちよく朝寝坊をしましたとさ。

 めでたし、めでたし。


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