忘れられたラジオ【3つのお題に空想のひらめきを】
こちらも遅刻しているのですが、思いついたので書きました!
1,400字ほどありますので、お時間ある時にお読みいただけると嬉しいです☆彡
よろしくお願いします!!
🎈お題①:「夕暮れの空き地」
🐾お題②:「祖父のラジオ」
⏳お題③:「兄のお下がり」
「晴太じいじ、ラジオ貸してくれへん?
明日のラジオ体操の時に使いたいねんけど」
ケンちゃんは、部屋で眉間にしわを寄せて新聞を読んでいる祖父の晴太に声をかけた。
晴太は双子で、晴夫という兄がいるのだが、この双子、瓜二つという言葉そのままで見た目が非常によく似ている。
背格好もそうだが、顔のしわから髪の抜け方まで一緒で、しょっちゅう間違えられる。
そのため、なんとなく晴夫は青い服、晴太は赤い服を着るようになり、近所の人や家族ですら、服の色を見て晴夫か晴太を区別しているのだ。
「ラジオを貸せやと……?
ええけど、なくしたり、壊したりすんなよ。
明日は夜の六時から、聴きたい番組があんねん。
ちょっとでも傷つけたら、げんこつどころちゃうからな」
「へいへい~、わかりやした~」
「返事は『はい』1回!!
わかりました、おじい様や!!!!!」
「……はい、わかりました、おじい様……」
ケンちゃんは、うんざりした様子でため息をつき、晴太の部屋のタンスの上にある「晴夫のお下がり」とマジックで書かれた段ボール箱をチラリと見る。
(晴夫じいじなら、もっと優しい言い方するし、なんやったら飴ちゃんくれたりすんのに!!
同じ顔でもえらい違いやわ!!)
ケンちゃんは心の中で盛大にあっかんべーをして、晴太の部屋から出ていった。
次の日、晴太からラジオを借りて、ケンちゃんは空き地に行き、近所の子たちとラジオ体操をし、終わるとそのまま遊び始めた。
お昼ご飯を友だちの政やんの家で食べさせてもらい、そのまま政やんの家で遊んで、夕飯前に機嫌よく帰宅。
そして、晴太の部屋の前を通った瞬間に胸騒ぎがする。
(……あれ?
オレ、ラジオ、空き地に置きっぱなしにしてないか……??)
ケンちゃん、大慌てで走って空き地に向かう。
どこかの家から漂う煮物の香りに包まれた空き地に到着すると、夕焼けに照らされたラジオが、土管の上にひっそりと佇んでいた。
(やっっっっっっばかった!!
完全に忘れてた!!
ナイス、オレ!!)
ケンちゃんは、ラジオを大事に抱えて帰宅し、晴太に返そうと部屋に入ると、青い服を着た人物が座っていたので
「あれ~?
晴夫じいじ、遊びに来てたん?
ちょお、聞いてや!
晴太じいじに借りてたラジオ、空き地に忘れててよ~。
そのまま置いてあったからよかったけどよ~。
盗まれてたら、おれ、晴太じいじにボコボコにされるところだったわ!!」
と笑いながら話をした。
すると、青い服をきた人物が
「ああん??
オレのラジオを空き地に忘れてただと!!?
あったから良かったって話しちゃうわ!!」
と怒鳴りだした。
青い服を着た晴太だった。
「なんで青い服着てんねん!!」
「晴夫が新しいの買って、まだ着れんのに捨てようとしてたから、もろたんや!!」
「ややこしいねん!!
青は晴夫じいじの色やろ!
大人しく赤、着とけや!!」
「ああん!!?
何色の服着てもええやろが!!
それより、ラジオ返せ!
連続ドラマ『箱根の休日』が始まんねん!!」
晴太は、ケンちゃんからラジオを奪い取り、ホクホクと「箱根の休日」を聴き始めた。
ドラマの始まりに流れるきらびやかな音楽を噛みしめるように聴きながら、晴太はチラッとケンちゃんを見て低い声で言う。
「……終わったら、説教や。
覚悟しとけよ」
ケンちゃんは(『箱根の休日』が、いっそのこと『箱根の1年』くらい永遠に続けばええのに……)と本気で願いながら、ドカドカと足音を立てて部屋を出ていくのであった。
おしまい。
